151 雪に沈む村
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>>29 んん?大丈夫か…じいちゃん…
[老人の言うことはなんだかちぐはぐだ。 始めはからかい口調だったが、だんだん心配になってくる。]
そうだな。一緒に帰ろうぜ。
[道案内してほしいのもあったが、このまま老人を一人にしておくのは心許ないと、トニーは老人の手を引いた。]
そういや、じいちゃんはどうすんの?冬の間。**
(30) 2013/11/29(Fri) 16時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2013/11/29(Fri) 16時頃
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―― 墓地 ―― [この村が昔はなかった、なんてことも、近くに全く別の村があった、なんてことも、青年にとっては思いもしないことだった。 バーナバスは、10年に一度は必ずここに来るのだという。>>22
そうやって、この老龍は幾度の冬をここで過ごしてきたのだろう。 青年にとっては、長い冬でも、バーナバスにとってはあっという間なのだろうか。]
……うん、楽しみにしてる! 一年会えにゃいからって、俺のことまで忘れちゃわないでね!
[にいと口の端を持ち上げ、笑いながら手を振った。]
(31) 2013/11/29(Fri) 18時半頃
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―― ソフィアの店 ――
へっ!? 抜けがけ?え?何が?
[>>5ノックの音のあと、店の中へと入ってきたドリュアスに真面目な顔つきで言われれば、何か怒られているのかとおどおどとしながら頭に疑問符を浮かべる。ジリヤの表情がゆるめば冗談だとわかり、ほっと胸をなでおろしたけれど。
ジリヤがふんわりとした色合いのたくさんのコサージュを取り出して>>6、彼女らしいゆったりとした調子でソフィアに話しかける。 彼女も、ソフィアの元気がなさそうなのが気にかかっていたのかもしれない。抜けがけ、と言われたことに、なるほどと内心納得し、二人のやりとりを邪魔しないよう眺めて、独り密やかに微笑みを浮かべる。]
(32) 2013/11/29(Fri) 18時半頃
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[不意にジリヤの顔がゆっくりとこちらを向いて尋ねられれば、尻尾をピンと立てて、勢いよく首を縦に振る。]
うん、俺も行きたい! ねえ、チャルやサイラスたちも誘ってもいい?
[この秋の国では、10年に一度しか見れない風景。 そんな風景を、みんなで一緒に楽しめたら、きっととても楽しいだろう。]
(33) 2013/11/29(Fri) 19時頃
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[ドナルドやサイラスに頼んで、春の風景を空から見せてもらうのも素敵かもしれない。 ソフィアのお茶と、ピエールの焼き菓子とをお共にして。
チャールズは足が悪いけど、ピクニックは大丈夫かな。 バーナバスも誘ったら来てくれるだろうか。 ピエールやウォーレンみたいに、お店を持っている人も一緒にこれたらいいなぁ。もちろん、ピエールのとこのちびっこも一緒に。 花の事はあまりわからないから、ジリヤに聞いたりして。 トニーやカルヴィンは、イタズラをしてジリヤやウォーレンに怒られないといいな。 アリスともお花見の約束をしていたけれど、あんまり外に連れ出し過ぎると止められるかな。それならこっそり壁を登って連れ出してしまおうか。 後で、一緒に怒られることになるだろうけど。
そんな想像をして。 青年は、春が来るのが一段と、待ち遠しくなる。**]
(34) 2013/11/29(Fri) 19時頃
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[少年に冬の過ごし方を聞かれれば、>>30 老人はいつも通りの答えを返すだろう。]
冬はゆっくり休むつもりじゃ。 春に、みんなが目を覚ますのを…じっと待ってるんじゃよ。
[手を引く少年の手が温かい。 老人の手は、氷のように冷たかったことだろう。 腹巻きの効果も、寒さに奪われる老人の魔力に比例して弱まっていた。]
坊やも…家の中で温かい恰好をして、ゆっくり休むんじゃよ? こんな何もないところを宛もなく歩いていたら、寒さで凍えてしまうじゃろう。
[村の方へと歩き続けながら、少年と話を続ける。 正しい方向へ歩けば、すぐに村の明かりが見えただろう。]
(35) 2013/11/29(Fri) 20時頃
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―村の付近―
おお、そう言えば…お主、『ウォーレン』というものを知らぬか? ちょいと用事があっての、そのものに会わねばならんのじゃ。
[手をつなぐ少年に、バーナバスは質問を投げる。 古い友人から頼まれた言伝を届けるためだった。>>4:65]
(36) 2013/11/29(Fri) 21時頃
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-工房前-
[工房前へとやってきた老人は、懐から一通の手紙を取り出した。 内容はたった一文。 春になって、工房の主がこれを読めば、意図は伝わるだろう。 風で飛ばされぬよう、しっかりと玄関扉の奥へ差し込み、老人は工房を去った。]
(37) 2013/11/29(Fri) 22時半頃
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…と、じいちゃん、手、すっげーつめてーぞ?
[触れた老人の手は氷のように冷たかった。>>35 効果があるかはわからないが、両手で包んで温めてやる。]
へえ、じいちゃんは冬眠すんのか。 じゃあ、人間族じゃないの? それとも、冬眠する人間もいるのかな?
[初めての冬。まだまだ知らないことだらけだ。 思いつくまま、口にする。
老人に、温かい格好をして休めと言われれば、]
オレは大丈夫だよ。 クシャミにいちゃんから服もたくさんもらったし、それに、旅に出るなら、これくらいの寒さに負けてらんねーしな。
[そして村が見えてきた頃、老人がウォーレンのことを訊ねてきた。]
え?ウォーレンじいちゃん?工房にいると思うけど…ほら、あのでっけー木のとこ。
(38) 2013/11/29(Fri) 23時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2013/11/29(Fri) 23時頃
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>>38
ほれ、私は神様じゃよ。神様だって冬眠ぐらいするわい。 …とまあ、冗談は置いといて。 冬は雪に閉ざされちまうからのぅ…やることが無いからの…
[孫でもいればオセロでもするんじゃが、と小さく呟いた。]
[どうやら少年は旅に出るらしい。 初めて会った時にも薄着でガタガタ震えていた少年が、 冬に旅に出て大丈夫なのだろうかと老人は心配を覚えた。]
[村が見えてきたころ、ウォーレンなる人物の所在を少年に聞いてみた。>>36 すると、木と一体化するように建つ工房の扉が見える。]
おぉ、あの木じゃな。 ……ちょっと行ってくるわい。
[少年はついてきただろうか。 老人は工房へと向かって歩き出す。>>37]
(39) 2013/11/29(Fri) 23時頃
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>>39 って、じいちゃんひとりで大丈夫かよ?
[ウォーレンの工房の場所を教えると、老人は、行ってくる、とそちらへ向かって歩き出した。 少年は自分の方が心配されていたとも知らずに老人を心配する。 氷のような冷たい手が、少し気になったのだ。
もっとも、老人が大丈夫だと言えば、無理について行くことはないだろう。]
(40) 2013/11/29(Fri) 23時半頃
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―ソフィアの店―
えぇ、もちろん。 どうせ大人数になるのなら、カルヴィンやトニーや、ピエールの子達も誘ってあげたいわねぇ。
[勢いよく首を縦に振るクシャミの様子に、自然と口元が綻んだ。 子供達が一緒に来てくれれば、きっと賑やかさは更に増す。 収集が付かなくなったら困るから、お目付け役にウォーレンやドナルドも誘ってみようかしら、なんて思案するのだ。 彼らが誘いに応じてくれるかはわからないけれど、想像しているだけでも楽しそうだ。
偶然にも、クシャミが同じような事を想像しているだなんて、夢にも思わない]
(41) 2013/11/29(Fri) 23時半頃
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[ソフィアの返事が帰れば、話題はささやかな世間話に移ろう。 長話というほどではない程度に少しだけ談笑してから、ちらりと窓の外へ視線を向けた]
……それじゃあ、私はそろそろ帰ろうかしら。 眠ってしまう前に、冬の景色を目に焼き付けておきたいの。 お散歩をしてから、家に帰って冬支度を整えるわ。
[冬支度、といっても、ジリヤのそれは片付けのようなものだけれど。 冬の間、使わなくなるものを片付けて、家の中をすっきりさせてしまうだけだ。 ドリュアスの冬の『眠り』は、人の眠りとも冬眠とも違うから。 家に篭る事はないし、冬眠場所を探す事もない]
少し早いかもしれないけれど、また春にお会いしましょう?
[再会の約束を交わして、ソフィアへと微笑み掛けた]
(42) 2013/11/29(Fri) 23時半頃
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クシャミ、貴方はもう少しここにいるのかしら? それとも、途中までご一緒する?
[外に出る前に、冷たい風が隙間から忍び込んでこないようにショールをしっかりと羽織りなおす。 そうして、クシャミへ首を傾けて問い掛けた。 彼がいると答えれば、ソフィアに向けたのと同じように、春での再会の約束を交わすだろう。 一緒に帰るというようなら、道中を途中まで共に歩いたろうか。
店を出る間際、もう一度だけソフィアに笑顔で手を振った。 ――彼女の幸福を祈りながら*]
(43) 2013/11/29(Fri) 23時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2013/11/29(Fri) 23時半頃
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>>40
ん?何も面白いことなんぞないぞ? なんなら一緒に来るか? ついでに身体が温まるお茶の店でも知ってたらありがたいんじゃが。
[老人は手紙を残すだけ、少年が居てもいなくても構わないだろう。 むしろ、冷えた身体を温めるためには室内に行く方が先決だろう。 少年も老人も、随分と外を歩いていたのだから。]
(44) 2013/11/29(Fri) 23時半頃
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―― ソフィアの店 ―― [お茶のカップを傾けながら、もうしばらく話して。 ふっと話が途切れた頃、ジリヤが窓の外へと目を向ければ青年もその視線を追いかけるようにして窓の向こうを見る。>>42]
うん、俺もそろそろ帰る。 途中まで一緒にいこー。
[ジリヤからの誘いに頷いて、上着の前を寄せて、椅子から立ち上がる。>>43]
じゃあソフィ。本、任せたからにゃー。 またね。
[にっとソフィアに笑って。 ジリヤと共に店を後にした。]
(45) 2013/11/30(Sat) 00時頃
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―工房前―
[老人が特に断らなかったので、そのままついて行った。 ウォーレンは留守なのか、工房には人気がない。 老人は手紙を扉に差し込んだ。>>37
そして、お茶の店を知りたいと言うので、>>44]
んー、そうだな。 じゃあ、ソフィアねえちゃんの店かな。
[さすがにトニーも身体が冷えてきた。 寒さを凌ぐためにも、バーナバスが頷けば、ソフィアの店まで案内しただろう。]
(46) 2013/11/30(Sat) 00時頃
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[外は一層雪が積もっていて。 世界は色をなくしたように真っ白だ。 ざくりざくりとその雪を踏み歩く。]
へっくし! さっむーい…。
[それに、なんだかとても眠い。 せめて、時計塔までは自分の足で行かなければと眠気を吹き飛ばすように頭を軽くふる。]
そういえば、ジリヤってどう過ごすの? 眠るって言ってたけど、冬眠? ジリヤも寒さには弱いの?
[青年が知っているドリュアスの知人は、ジリヤしかいない。 まったく想像がつかず、首を横に傾ける。]
(47) 2013/11/30(Sat) 00時頃
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―ソフィアの店―
[店に入ると、室内の空気が二人を優しく迎える。 他に客は居ただろうか。先客がいれば、挨拶がてら言葉を交わしただろう。]
……坊や、そのブーツは…
[バーナバスの視線が、少年の足元に釘付けになる。 道すがら雪を被った、真新しいブーツ。 同族ゆえか、そこに煌めき宿る『加護』を感じたのだろう。 雪を払うために老人が少年のブーツを触ると、暖かい炎の熱気を感じた。]
おぉ…なるほどのぅ…
[うんうんと感心するように頷く老人。 席へと座り、店のものへ注文を伝える。]
ほれ、お主もお座り。 代金は私が払っとくよ。
(48) 2013/11/30(Sat) 00時半頃
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[少年といくつか会話を紡ぎ、 そしておもむろに、少しだけ静かに何かを考えるように目をつむった。]
………そうじゃのぅ。
[古き存在は、新しき存在へ。 眠るものは、旅するものへ。 己の持つ何かを、受け渡すのだ。 もう見ることのできない、地平の向こう側を見てきてくれと。]
(49) 2013/11/30(Sat) 00時半頃
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[老人は少年に背を向ける。 少しだけごそごそと何かをしていたかと思うと、次の瞬間おもむろに少年へと振り返った。 その手には、なめらかな光沢を放つ外套が握られていた。 大人一人が身につけるには小さいサイズでも、少年が身につけるならば丁度よい大きさ。]
……旅に出るなら、こいつを持っていきなさい。 そのブーツと一緒に身に着けていれば、寒さから身を守ってくれるじゃろう。
[それは、老人が遥か昔に身に着けていた外套。>>4:44 龍族が唯一冬を克服できる、今を生きるものからすれば神話の時代に等しい、遥か昔の時代からの贈り物。 今や老人の身体を寒さから守ることも叶わず、腹巻きでしかなかった布地。細々と持ち主の魔力を吸っては小さく燃える外套だった。]
(50) 2013/11/30(Sat) 00時半頃
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[同じ属性の魔力がこもった品を、ドナルドの鱗と炎から作られたブーツが近くにあれば、魔力に共鳴して外套も効果を発揮する。 身を包めば、冷気を遮断し、柔らかい春の日差しのような暖かさを外套の内側にもたらすだろう。]
[はたして少年はうけとっただろうか。 受け取らなければ、また老人の腹の周りに腹巻きが出現するだけのことだろう。]
(51) 2013/11/30(Sat) 00時半頃
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―ソフィアの店―
[店内の暖かい空気にほっと一息つく。]
ああ、これ?いいだろー? すっげーあったかいんだぜ! だから、ちょっとくらいの寒さは平気なんだ。
[老人がブーツに気が付くと、得意げに指し示してそう言う。]
>>50 …え?これをオレに? 確かにあったかそうだけどさ… でも、もらっちゃって大丈夫なの? じいちゃんだって、そんなつめたい手、してんのに…
[老人が差し出した外套は少し小さく、老人には着られないことが明らかだったが、先程触った冷たい手の感覚を思い出すと、少しためらってしまう。 しかし、最終的には好意を受け取っただろう。]
(52) 2013/11/30(Sat) 00時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2013/11/30(Sat) 01時頃
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若者は遠慮なんぞしなくていいんじゃ。 前に会った時にも言ったじゃろぅ。>>2:70
[光の加減に依って柔らかく光る温(ぬく)い布を、少年の手にふわりとかける。 重要なことは忘れたように喋るくせに、細かいことを覚えてるバーナバスであった。]
[やがて、温かい飲み物を飲んで一息ついた老人は、帰路へ着くために席を立つ。 2人分の代金を置いて、店の外へと出るだろう。]
(53) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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[ソフィアの店を出ると、途端にひんやりとした風が吹き抜けて体温を奪ってゆく。 凍てつくほどの寒さ、というには程遠いけれど、日中の中途半端な寒さはまた妙に寒々しく感じるものだ。 少しだけ身震いして、掌に息を吹きかけた。 ――その瞬間、響いてくるのはクシャミのくしゃみ。 あら名前どおり、と妙な感心をしてから、はたと我に帰ってクシャミの方を振り返った]
まぁクシャミ、貴方大丈夫なの? 風邪を引かないようにきちんと温かくしなくては駄目よ。
[お節介な忠告をしてみたものの、今の彼はどこか眠そうに見える。 数度ゆっくりと目を瞬かせ、クシャミも冬眠の時期よねぇ、と一人納得した]
(54) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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クシャミ、貴方――
[冬の間はどうするのだろう。 人の身でありながら、永い時を生きる神父を思い起こす。 彼の事だから、きっとクシャミに不自由させる事はないだろうけれど、つい気になって口を開いた。
けれど、続くべき言葉は、ほぼ同じタイミングで紡がれたクシャミの疑問に途切れる>>47 奇しくも内容は同じようなもので、ついクスリと笑みが溢れた]
私は、冬の間は眠っているわ。 ……とはいっても、人のように睡眠を取るわけではないけれど。
[言いながら、視線を流して見つめたのは傍らの街路樹だ。 冬の訪れに葉を落とし、裸になった枝に少しだけ雪を積もらせている]
(55) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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同じドリュアスでも個体差はあるでしょうけれど、私は冬の間は木に還るの。 半身たる樹木と共に、冬を耐えて春の訪れを待つのよ。
[店の隣に生えたサンザシ。 ジリヤの半身はそのサンザシで、冬の間はその樹木と溶け合い、ひとつになる。 だから、その間は『ジリヤ』の姿はどこにもないし、家も留守のようにがらんと空いてしまうのだ]
植物にとって、冬は大事な準備の季節だから。 春に備えて力を蓄えて、沢山の芽や蕾を膨らませるのよ。
[眠っている間のことは、何も記憶としては残らないけれど。 それでも、本能的にそれが大切な事だというのは知っている。 それゆえに、ジリヤにとって眠りは厭わしいものではなく、むしろ歓迎すべき事柄なのだ。 話す口振りは、自然と和らいで穏やかな響きになる]
(56) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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寒さは……、そうね。 針葉樹の子達よりは苦手かも。
[寒さは苦手かという最後の問いに、少しだけ迷ってそう答えた。 ドリュアス基準なのでいまいちクシャミには伝わらない気もするけれど、人より少し苦手、というくらいである]
……それでクシャミ、貴方はどうするの?
[先ほど紡ぎきれなかった問いを、改めて口にした]
(57) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2013/11/30(Sat) 01時頃
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−外−
[店を出れば、冬の到来はもうすぐそこまで迫っていただろう。 塵のように視界の中を舞う銀粉が、老龍をねぐらへと導く。]
おお、アチャポ、ポプラ、すまんのぅ。 カンテラなんて用意してくれるとは…ありがたやありがたや。
[途中、見知った友の妖精たちがカンテラや小さい炎を持ちより、鱗が露出した老人の肌を温める。]
「寒さにしびれていた老人の手も感覚を取り戻し、 目が爬虫類のギョロ目になろうと、肌が鱗を露出させようと、冬の妖精たちは恩人のために防寒の手を尽くす。]
(58) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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[あと少し。 もう少しで。 ほんの目の先のところに洞窟が見えて――――]
(59) 2013/11/30(Sat) 01時頃
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