18 'Cause I miss you. 〜未来からの贈り物〜
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――…何が、楽しいのよ。
[少年の後姿をぼぅっと眺めていたけれど。
笑う気配にそっと視線を動かす。
“たのしい”“たのしくない”
何度かここで聞いたセリフ。
ふと、なんとなはしに自分はどうだろうと、考えてみる。]
………たのしいだなんて、思うはず、ないじゃない。
[楽しくは、ない。
あるのは、恐怖。
何への?
死?
それとも――
――自分への?]
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……やに、く…?
[揺れる視線の先、涙を流すヤニクと、傍にそうアイリス。]
…笑いたくない時に、笑わなくても。いいんじゃ、ない、かな…
[ぽつり、まるで独り言のように。
呟きは、ヤニクに届いただろうか。]
(349) 2010/07/03(Sat) 01時半頃
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[ 同胞の囁きに、唇を歪めた。]
……楽しくない? 楽しくない、ねえ?
[ くつくつと笑い、告げる。]
その割には随分と悩んでるみたいじゃねえか。
初めての時はあんなにきっぱり嫌だと言ってた口がよぉ?
楽しくない、よ。当たり前、じゃない、こんな、こんなの。
[自分を抱くように腕をまわして身体の震えを抑えようと。]
なっ、悩んでなんかないっだいたいなにを悩むっていうのよっ
[ 怖がるように体を抱く同胞を見た。]
へえ、その割に歯切れが悪いじゃねえか。
自分自身をどう騙そうかってツラだぜ? それは。
[ 首をすくめてみせた。]
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[ヤニク>>356と視線が合えば、少しだけ笑みを浮かべる。]
アイリスが言うように、笑顔の方が、好きだけど。無理はしちゃ、駄目だよ。
[小さく、述べた]
(363) 2010/07/03(Sat) 02時頃
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……騙そうだなんて、思ってない。
[首をすくめる姿から視線を外す。]
それに、自分なんて、そうそう騙せるような、相手でもない、でしょ。
[歯切れが悪いこと、自分でもわかっていたけれど。
それでも、“声”だけははっきりと。]
他人を騙すよりはよっぽど楽だと思うがな?
その証拠に……。
[ 盗み見るような視線をアイリスに向けた。
その空気だけで、何を伝えたかったのか知れるだろう。]
……な? 考えないようにしてて、そして忘れてただろ?
[ 意地悪く哂う。]
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[何かに怯えるように、自身を抱いたまま、ヤニク>>370の視線を受けて。]
知らなかったんだ。てことは、至る所で女の子泣かしてたりしてね?
[軽く、冗談っぽく、笑った。]
(372) 2010/07/03(Sat) 02時半頃
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………っ。
[ドナルドの視線を無意識的に追えば、アイリスに辿り着いて。
意地悪げな哂いに、再び唇を噛む]
[ 視線の先に気づいたらしい。]
言ったぜ? 俺はアイツを喰いたいってなぁ?
[ 視線は獲物の首筋を捉えたまま。]
なんで。そんな、いや、だ。
[ドナルドの視線の先、アイリスを見つめて。
俯いて。
弱々しく、“声”にする。]
[ 弱々しい、吹けば飛ぶような細い声に顔をしかめた。]
みっともねえ声出してんじゃねえよ。
言っただろう? もう忘れたかこの馬鹿野郎。
[ 喰いたい奴が居るなら優先してやる、そう言ったのを思い出して、暗い笑みを灯す。]
…食べたくなんて、ない。
[同じように思い出して、す、と視線をそらす。]
そんな、食べなくても、いいじゃない。大人しく、してれば。
[ 大人しくしていればいい。その言葉にわずかに首を振った。]
今更無理だな。
俺も、お前も、人間どもも、今更止めることなんざ考えられねえ。
例え俺達が食わなくても、奴らは俺達を殺すまで誰彼構わず殺し続けるさ――俺達を殺すまでは、な?
[ 鼻を鳴らす。
過去を思い出し、一瞬だけ面白くない顔をした。]
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[ヤニクの問い>>384に、床に投げていた視線をそっと上げる。]
……怖い、の、かな。よくわかんない…なにが、なんだか、もう。
[口にして、余計増したのか。 にへ、と笑みを浮かべるも、きっとうまくは笑えなかった。]
(386) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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[届いた“声”にちらりとヤニクからドナルドへ視線を動かす。
一瞬見えた表情に、少し違和感を感じたりもしたけれど。]
……殺すまで。
[言葉を、反芻する。
殺し合い。
抵抗しなければ、ヤラレル?
ふるり、浮かんだ考えに、身を震わす]
[ 視線を感じ取り、天井を眺めた。]
ああ、殺すまで、だ。
俺とお前が抵抗しなくたって、奴らは危機として殺しに来るぜ?
なんつったって……。
[ 怒りを押し殺すように、呟く。]
俺達はな、奴らにとっちゃ殺すべき敵だ。
その辺に転がってる本を見てみろ、確実にそう書いてある。
で、だ。
誰も、その事を疑問に思う奴は居ねえ。
お前の大事な大事なアイリスだってそう信じこんでるだろうさ。
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[ヘクターに名前を呼ばれて、びくりと、今までのそれとはまた違った意味で身を震わせて。]
………なんで、だろうね…
[ぽつり自分自身に問うように呟いた。]
アイリス……
[同意を求めるように視線を投げてきたアイリス。
ちらり、ドナルドに視線を向けたけれど、すぐに彼女に戻して頷いた。]
――…うん、そうだね。仲間。みんな、仲間、なんだ……
[段々と、小さくなって行く声。
どこか、泣きそうになっていること気付くものはいただろうか]
(392) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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アイリスは、アイリスは…
[違う――そう、言いたかったけれど。
そう言えるだけの、自信が、今の自分にはなかった。]
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[ヤニクの優しげな笑み。 視界の滲みが激しくなるけれど、まだそれは零れおちることはなく。]
……みんな、そう、だよね…あたし、だけじゃな、い。
[自分自身に言い聞かせるように、呟いた。]
……守って、くれるの?あたし、を?
[あたしでいいの?少しきょとんとしてそんな風に、問いかけた。]
(396) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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アイリスは……何だって?
[ 続けられるものなら続けてみればいい。
覚めた目で続きを待つ。]
ア、イリス、は……ち、が…
[目線から逃れるように、瞳を固く閉じて。腕にぎゅ、と。力がはいる。]
「違う」……と思いたいだけなんだろう?
自分を騙して安心したいだけだぜ、それは。
[ 唯一縋るものを砕くように呟く。]
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ん、そう、かもしれない、ね。寝たら、楽、かなぁ…
[寝て。起きたら。
全てが夢になってたりしないかななんて。思ったりもするけれど。
届く“声”が、それを許さない。]
……ね、アイリス…
[何かを問おうと口を開くけれど。続けることはできなくて。 ぎゅ、っと嫌がられなければ、抱きしめて。 ごめんねと、心の中で呟く。 それは、何への、謝罪だったか。
おやすみと返す気にはなれなくて。ただただ、階段をかける姿を見送った。]
(407) 2010/07/03(Sat) 03時半頃
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――うん、守って。みんなを。守って。
[アイリスの姿が階上に消えれば、ヤニクを振り返って。 祈るように、瞳を閉じて声にする。]
……いい、のかな。でも、でも…
[傍にいて欲しい、人は。
きっと。]
…あり、がとう。
[続かなくなった言葉の代わりに、礼を述べて。少しだけ、笑う。]
(408) 2010/07/03(Sat) 04時頃
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………。
[アイリスを見送って、ヤニクに言葉を返して。
ちらり、ドナルドを見る。
それは、本当かもしれない。
でも、本当にしたくなかったから。
何も、言わなかった。
何も、言えなかった。]
[ 黙りこくる同胞に、溜息をつく。]
まあ、生きてりゃ、その内嫌でも思い知るさ。嫌でも、な。
[ アイリスが出て行くのを目で追う。
結局は、止めなかった。
もはや同族だと、心中でほくそ笑む。]
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