25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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―――…、
[鉄色を見た黒檀は本郷の言葉に 憂いを帯びて、伏せられる。 ――…そうか。 そうとだけ、返事が返せた。 高嶺としての言葉が上手く、返せない。 花を喪ったばかりということもあったからか、 裡の願いを口にしてしまったということもあるからか。]
…無理に、花主である必要も無い…
[己にも本郷にも背負う名がある。 その言葉のまま生きることは容易なことではなく]
――…そう、容易に生きられれば楽なのにな。 …お前も、…私も。
[世話、と愁傷なことを口にする本郷に眼を細めた。 ―――…水音は、渇望は 止まない。]
(296) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 00時頃
懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 00時頃
天満月を喰らうには、先ずは夜光を。
たとえまかり間違ってあの子が使い手であっても、自分自身は守れますまい。
懐刀 朧は、そろそろ華月も戻ってくる頃だろうか。どれだけ勘がいいのか蓮茶を持ってきたことには驚いたろうが。
2010/08/08(Sun) 00時半頃
/* 色々と考えましたが、やはりあまり良くは思われていないようなので申し訳なく。
なんとか切り抜ける方法を考えるなりしましょう。
私が最後に残っても構いませんから。
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[扉から鈴の音が聞こえる。 ――…戻ってきたのだろう。 黒檀は本郷から扉の向こうの華月へ]
――…入れ。
[そう促して。 華月が入ってきたのなら常より多い茶葉と その手に持つ刀を見つめ…瞳を細めた。]
…まさか、
[本当に調達してくるとは。 憂う黒檀は、それでも笑みの形を描き]
(305) 2010/08/08(Sun) 01時頃
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……本郷、…すまないが…
[苦しむ本郷をここで追い返していいのか。 ここで留まらせれば、華月の持つ刀が為すことも 先送りとなるだろう。黒檀は迷うように憂い、]
…暫し華月と二人にさせてくれるか?
[対を喪ったばかりの花と、花を喪ったばかりの主。 それだけで、本郷には通じるだろう。 刀のことを問われれば、手向けの演目の為とそう答えて。]
[もしかしたら本郷は気付くかもしれないが、 それに対して高嶺が何かを明かすことはなく。]
(312) 2010/08/08(Sun) 01時頃
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――…また、後で…話せたら。
[それが叶うのかは、わからないけれど。 そう言ってから華月の方を見た。]
(313) 2010/08/08(Sun) 01時頃
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― 高嶺の部屋 ― [本郷からの謎掛けの答えは出たのだろうか。 少し興味を示すように本郷と華月を見たが、 結局は本郷には出て行ってもらうことになった。]
―――…見られる方が、好きか?
[真意を問うような苔色の瞳には微苦笑を浮かべる。 黒檀が映すのは憂い、寝台へと向かい]
…湯浴みを済ませたにしては少し早いな。 ―――…構わぬが。…来い、華月。
[指す先に続くのは部屋を出る前に告げた添い寝の話だ。]
(322) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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…まずは夜光を。
裏庭の納屋に呼び出して喰らいますから、これそうならば落ち着いた頃に。
…本郷殿?
[かける声には僅かに心配の色。
元より、同胞とは言え利害でしかつながりのない仲のはずだったが、
…それだけでは無くなってしまいそうで、それが少し恐ろしい。
情に流されれば、きっと仕損じる。]
/*大丈夫ですかー?寝おちてはおりませんかー?
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― 高嶺の部屋 ― [華月の出した答えに、本郷はどう答えたか。]
―――…私があまり好かん。
[苦笑いには、そう言って返す。 厭わぬ言葉、それは主を選んだ時も変わらず。 胸中宿る思いはあるけれども、 拒まれぬのは今は丁度――…都合がいい。]
……構わない。 …お前は楽しめんかもしれんが…、――…許せ。
[告げる黒檀には微かな艶が宿るだろうか。 羽織ってきた着物を乱すことなく寝台へとそっと押し倒し 華月に―――…己の花に、触れる。]
(329) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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[触れる手は背中の瑕の悦を思わせるような動きはなく、 月を宿す花の名の花弁をも傷つけてしまわぬようと、 優しく――、ただ優しく 時間を掛けて慈しんで]
(334) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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イアン……
お前、大丈夫か?
[明から何か報告を受け、話しかけた。]
………えーと……
[もう、人がいないのに声が聞こえることに驚かない。]
貴方は……何方でしょうか……?
[けれど、知らない声に困惑して]
[一方、こちらを知らないとするイアンには困惑いているが、
今はどこにいるのかもわからず、返事が返せない。]
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[涼やかな鈴の音が鳴る、 鳥の声を思わせるかのような。]
…私の手の中で…咲け…
―――…華月…、
[―――…鵠…、 鳴る鳥の声、もう一つの名は口に出さず呼んで。
苔色から零れる雫に口付けて。 美しい、と囁くは自然と零れた言葉。 りぃん、布擦れの音と共にまた鈴がなく。
花が疲れて寝てしまうその時まで。 華月の花へと性急に強いることは最後までなく――]
(348) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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…………?
[返らぬ声に首をかしげて。
その表情は今までの青年よりもずっと幼い。]
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[華月が寝たのを確認したのなら、 珍しいその毛色の髪を撫ぜて―――… 名残惜しむように、撫ぜて。
着物の乱れを直すと寝台から降りる。 ……目的を、果たす為に。]
[先程まで花を慈しんでいた手が持つのは、 白鳥の名の花を討った、その太刀。]
(351) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[通信機器。それから聞こえる声。
……刷衛のもたらしたセンターと去勢、避妊された
獣の話やその他は、
事実であり正しかったのかもしれない。
けれど、それは青年にはとても有害で。
とてもとても有害で。加速してほつれた心。
心は自己防衛で壁を作る。現実への。
特にほつれの加速の原因には
幾つもの壁を隔てて。
その壁に刷衛の存在も通信機器も置き去りにして。]
[そうして置き去りにされた通信機と刷衛の記憶。
けれど通信機を通して聞こえる声。
人の姿なく聞こえる声。
それは、幻聴を聞いているのでは
ないかと言う恐怖を植えつける。
繰り返された恐怖。
……ほつれた心は理屈で答えを出せないまま圧縮される]
[人と約束を交わし生きることを考え始めた心は
生きたいと少しづつ思え始めた心は
悲鳴を上げる。生きたい。狂いたくない。と。
でも、声が聞こえる。それは狂っていると?]
[疲弊した心は、軽く背中を押される。
常であれば、それは快方に
押し出すものだったかもしれないが]
[その言葉は、青年がずっとずっと逢いたくて
でも、逢えないと思った存在を彷彿とさせて。
ほつれた心は、ただ、その存在に縋ってしまう。
それまで、生きたいと、狂いたくないと思ったことも
そのために痛みに耐えることも置き去りにして。]
/* ご心労かけ、申し訳なく。独断が過ぎたでしょうか?
見ていらしたらご返事頂ければありがたい。
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[光る白刃はよく研がれたもの。 その切っ先は胸元、鵠の瑕と同じ場所に宛てられる。
その切っ先が、迷うように揺れたのは一寸。
死を望みながらも、欲した二つの花。 この二つなら、何時かは高嶺を殺すのではないか。 そんな期待を込めて。 この二つとなら…高嶺であることも楽しいかもしれぬ。 そんな希望を…抱いて。 成った――…大事な、大事な…大事な、]
―――…蝶の姿に戻っても… ……花であった姿を偶には…思い出せ……。
(366) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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[…朝には、白鳥の血を。そして今、胡蝶の血を。
柄を握る手に力が篭められ――… 憂う黒檀に映るのは、高嶺に美しく咲く 紅の華。]
(367) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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[高嶺の部屋に華が咲いた暫し後、 部屋から出でる太刀持つ血濡れの花主の姿に 屋敷の使用人が、劈く悲鳴をあげた。]
[高嶺の花主は紅の色を床へと落とし、 向かうのは己がもう一つの花の眠る場所へ。]
(368) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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[通信機からはあれからまともな反応はない。
そう、彼には早すぎた。
のだと思う。
悲しいと思う。
チャールズほどの男に愛された花であるなら、
きっと、わかってくれるはずなのだ。
そう、早すぎただけ。]
[そう、早過ぎた。あまりにも早過ぎた。
まだ、視界からの現実を
きちんと受け止めることさえできないほど
突然の主の死に打ちのめされた青年には
正しいこと、事実、それを受け止めるのは早過ぎた。]
懐刀 朧は、血塗れた花主が己の花を屠ったことは、直ぐに屋敷中に知れ渡るだろう。
2010/08/08(Sun) 03時頃
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[赤を零し辿り着いたもう一つの花の眠る場所。 その胸元に飾られるのは、 蝶の血を吸い紅に染まった紙の蓮。]
―――…誰か、鵠を高嶺の部屋へ。
[その声に、応える者はいただろうか。]
――……それがかなわぬなら、華月を此処へ。
[何故そのような、と誰かが訊いたのならば 高嶺は紅滴らせ 花にも劣らぬ美しい笑みで言った。]
(379) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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[…私の双花は…並んだ姿が一番美しい…と。**]
(380) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 03時頃
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