84 戀文村
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最後の夜だろ。
ゆっくり……自分の言葉で伝えればいい。
[薬を一緒に飲むと言えば、ヨーランダは死ぬと判っていても
飲むだろうか。
だがそれをセレストに伝える事はない。
嘘偽りない自分を受け入れてくれた相手を最後に騙すような
形になる事を、セレストは望まないだろうと思ったから]
自分の…言葉で…
[できるだろうか、自分に。
一時の別れの時間は…近づいている]
食合せてはいけない食べ物ってあるでしょう。
そういう感じで、ヨーランダの薬草にも
決して混ぜてはいけないものがあるのを知っているわ。
昔、それこそギリアンさんが生きている頃に
墓場で遊んでいたら教えてもらったの。
……母さんも、ほかもそれを使ったから効果は。
でもね、アタシがそれを良しとすると、思う?
セレスだけじゃない、一緒にヨーランダも失えって、
言うんだよね。
そんなこと、アタシが黙って見ていられると思うかい?
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―本屋―
……ブックカバー、ですね ありがとうございます、大切にしますよ。
[青年は愛らしい其れを代わりに受け取って 代金をそのまま彼女の手のひらに握らせる]
多すぎます。 私にとっては、大した作業でもなかったんですよ。 [苦笑いを浮かべ、それから少し視線をさ迷わせた。 受け取ってしまっては同じ修復作業をしたヤニクに気を使わせてしまうかもしれないと思っての事だが]
(301) 2012/03/27(Tue) 23時頃
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[ダーラの言葉は痛いほど分かる。それだけに胸に突き刺さる]
ダーラさん…そうだよね…
やっぱり…我儘だよね、私の。
[だからこそ、戸惑いがある。]
…ダーラさんがどうしても嫌というなら、
私…ひとりでも、いいよ?
[自分より、年の近いダーラのほうがヨーランダへの思いは強いだろうから。]
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ミッシェルさん セレストさんは今日中に……?
[見送らなくてはと言っていた ミッシェルの言葉をふと思い出し、首を傾いだ]
何時出てゆくのか、確かめなくてはなりませんね。
(303) 2012/03/27(Tue) 23時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/03/27(Tue) 23時頃
[……と口に出来れば良かったのだろうか。
ただの機械の筈の通信機から何かが溢れて来る。
その想いに衝動的に口を付き掛けるが。
だが結局それを言葉には出来ず]
すまない。
[口に出来たのは何に対してか。謝罪のみ]
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[ミッシェルの言葉に、青年は困った顔で微笑んだ]
赤紙が来た、と 朝一番に駆け込んできたのはヨーランダさんでした。 若しかしたら、本人から直接聞いたのかもしれませんね
[窓の外をちらと見遣る。 随分時間が過ぎていたのだなと、少し驚きつつ]
……あれから随分経っていますし ご存知の方も多いでしょう 気になるようでしたら、行ってこられては?
[そう返事を向けた。 自身は外に出る気が、矢張り無い様子で]
(308) 2012/03/27(Tue) 23時頃
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人殺しでいいなら、アタシにくれば良かったのに。
ねぇホレーショー。こうなったら、皆で静かに眠りましょう?
手伝ってくれるわよね。
[ヨーランダの決意が固いから、出る言葉は、村を覆う仄暗いもの]
順番に、すれば……ネ。
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……戦争が始まって、村の青年が召集されてから 外は針のむしろのようなものですからね
[思いついたようなミッシェルの声。 青年は微笑み頷く]
人目につく時間に外には出ませんよ。 精々真夜中に墓地に向かうくらいです。
[其れこそ他人が見れば怪しいことこの上ないが]
(315) 2012/03/27(Tue) 23時頃
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ああ、あんた達が安らげるなら手伝ってやるよ。
[その場にはいないが、無機質な鉄の塊の向こうの張り詰めた、
痛い程純粋な想いが伝わって来る。
この想いを戦火で散らせるくらいなら、と改めて決意を固め。
ただ、それに自分を含めなかったのは。
この村の人々には安らいで欲しいと思ったから。
自分は戦場で散るべきだと判っていた。
地獄に落ちて、馬鹿な上官達を引き摺り込むのが役目だと。
だからこの村で眠る事は出来ないと…決めていた]
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……私にはこのブックカバーだって 十分贅沢品ですから。
[返した代金は受け取らぬよう、カバーを持った両手を 後ろ手にし]
そうですね 出発の時間がわかれば、私にもお知らせください 余裕があればで構いませんよ。
[クラリッサの言うに自身も同意を向ける。 口実にしていることへ、罪悪感が僅かに湧いたが]
(317) 2012/03/27(Tue) 23時頃
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……アンタも、もうこの村の一員よ。
そこ忘れないで。
[小さく息を吐いて、あのときの―母を殺めた時―と同じ顔になる]
アタシは皆を眠らせるまで、起きているわ。それでいい。
…ダーラさん。
私は(戦地に)行くよ、…だから…私には毒を盛らないでね。
[おどけた言い方をする。でも本気である]
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―本屋―
居心地の良い空間だと思っていただけるなら何よりです。 好きなだけ入り浸ってくださって構わないんですよ? その代わり、新鮮な血を少々頂きますが。
[冗談交えて少し嬉しそうに返す。 代金については、それでも微笑んだまま受け取る様子を見せず]
此処で酒盛りは……そうですね 店の奥でなら是非に。 ダーラが店を閉めてまで来てくださるかは、謎ですけどね。
[店を出ようとするミッシェルを見送ったが]
――――え?
[振り返った彼女の言葉に、青年はぽかんと 一瞬素顔で驚いたのだった]
(328) 2012/03/27(Tue) 23時半頃
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あら、バレちゃったなら仕方ないわね。
ふふ。
[一緒に飲めたら、どんなに良かったか]
ちょっと、冗談で言ったのに。
ダメだよ。私が行かなかったら村が危なくなっちゃう。
[融通が利かない“妹”である。]
……感謝する。
[ダーラの言葉に目を閉じて数秒の沈黙の後、静かに礼を。
本当なら抱きついて大人気もなく大声で泣き喚いてやりたかった。
共犯者として、村人として、家族として……。
だがそれだけは出来なかった。
2人に嘆きを背負わせたのは戦争で、結局は自分達のせいなのだから]
セレスト……ヨーランダ…良い夢を……。
[絞り出した言葉がヨーランダには届かないとは知っていても。
酒を呑もうと言った彼女を思い出しながら、呟かずにはいられなかった]
[ヨーランダの行動にうろたえた]
ヨーランダさん…ここまで本気だったなんて。
……やっぱり盛っちゃうべきかしら。
[真顔でぼそり]
それだけ……あんた達の絆が深いんだ。大切なんだよ。
もう賽は投げられた。
ダーラさんが盛るくらいなら、自分でヨーランダさんから貰った薬飲むから。
[真顔で返す]
ほんと、仲良いよな。お前ら。
[通信機は小さな呟きも拾うのか]
次は、戦争の無い時代に平和な世界で姉妹で生まれて来いよ。
二人共ウチのベッドで、ずっと寝ていればいいわ。
[割と本気の呟きも、機械は拾うか]
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