103 善と悪の果実
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――――――――…ぼくは、だれ?
[父は浮浪者、母は貴族]
[父は名も知らぬ国の、母は由緒正しき血統の]
[その身は女にしては大きく、男にしては華奢であり]
[善を知り、悪を覚え、他者を翻弄する蛇となった]
[本質は望まれるままに。
生きる為に唯、その性質を入れ替えて来たにすぎぬ。
"答え"は何処にもない。何も、ありはしない]
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[寝転がった体勢のまま、傍らまでやってきた男を見上げる]
―――――――……。
[自嘲めいた笑みも、絶望の涙も、全て表情は抜け落ちる。 大切そうに、真っ赤な林檎を胸に抱いたまま。 白と赤のコントラストのワンピースを纏う学者。
ただ、抜け殻のような両の瞳が夕闇を見つめていたのは、数瞬]
(40) nanami 2012/09/30(Sun) 23時半頃
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…ふふふ。
[やがて学者は、例の穏やかな微笑みを浮かべた。 それは仮面だろうか。 それとも、最も本質に近い何かだったのだろうか]
夕闇伯様。
この林檎が、欲しいですか?
[ゆっくりと三日月を作る口端は]
(41) nanami 2012/09/30(Sun) 23時半頃
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[胸に抱かれた林檎、 天井へ向けて、高く高く放り投げた]
[彼は視線を奪われただろうか、否か]
[真っ赤な林檎は宙を舞い、そして]
(42) nanami 2012/09/30(Sun) 23時半頃
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[学者は奥歯をかみしめる。
いつでもその命を終わらせることができるように。
毒を其処に仕込んでいた]
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[最後の力を振り絞って起き上がり、夕闇伯の胸元を掴んだ。
―――――――…望むのは、死の口付け]
(43) nanami 2012/09/30(Sun) 23時半頃
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いずれまた逢いましょう、愛しい人。
銀の運命は断ち切れなど…しないのですから。
[子供らしさの無い言葉を別れの挨拶にして。
綺麗な歌声の重なる中、僕は楽園を飛び去った**]
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―――――――…うふふ。
[突き放されて、華奢な体はあっさりと床へ沈んでいく。 二度と浮上できないことを、知りながら。 けれど浮かべるのは穏やかな微笑み]
(61) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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どさり。
[床へ学者が倒れ伏す]
(62) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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ぐしゃり。
[其れと同時に、夕闇の指先が届かぬままであった赤い果実は、 床へ勢いよく落ちて哀れに潰れた。
"それ"は、禁断の果実などではなく。 ―――――…真実、"ただの"血塗れた林檎]
(63) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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ふふふ…。 っはは、 は 。
信じましたか?
林檎なんて、――――…嗚呼、 この中の何処かにはあるでしょうけれど。
[散乱する無数の林檎。 夕闇の光を受けて、朱色に輝くそれらは、眩しいばかりで]
もう、間に合いません。
(64) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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あなたもぼくも、もう、どこへもいけない。
[手にしてすぐに、それが唯の林檎だと気づいていた。 そして、改めて手を伸ばす力が 己に残されていないことも、知っていた]
(65) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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["禁断の果実"は大広間の片隅、 暗がりへと転がり、ぽつねんと佇んでいる。
果たして夕闇伯は、其処にたどり着けるだろうか。
嗚呼、いずれにせよ、もはや学者には]
(66) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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ぼく、 は だ
[惨めに血を吐き出しながら、やがて、動かなくなった**]
(67) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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/*
……大好きだよ?
可愛い、可愛い、ポーチュラカ。
[ちゅう]
/*
にゃ、にゃあああ!!!(*ノノ)
私のほうが
ずっと、ずーっと
兄様のこと好きですわ!!
(ぎゅう)
/*
こうして、ぼくの赤ボッチ率が果てしなく上がっていくんだ。
[すねた**]
ジョセフどのは、やはりすてきだなぁ、ほくほく。
まだ一店舗めだからまじめにお仕事にもどるよ!
/*
ふふ、素直な子は好きですよ。
[ポーチュラカ様、なでなでなで]
…烏様には、ジェフ様がいるではありませんか!
赤には引き込むことが、できませんでしたけれども!
もう少し、お話しする時間が取れればなぁ、と。
烏様に対しては、本当にもだもだなのです。
守る って…
[伸ばした手は、赤い手は黒蝶の翅へと伸ばされ
羽ばたこうとするそれを、逃しはしない、と握り締めた]
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―むかし―
[薄暗い路地に蹲り、棒のような足を抱えている。 淀んだ瞳は、じっと人の波を観察していた。 今日の獲物は誰にするか。
金持ちからスリをして命をつなぐ日々。 ばれて瀕死まで殴られることなんてざらだった。 それでも神様は意地悪で、 まだ死ぬことができずにいるから、 今日もこうして息をひそめて隙を窺っている。
ふと、声が背中にかかる。 煤だらけの顔が振り向いた。 さらり。ストロベリー・ブロンドが揺れる]
(78) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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[この掃き溜めの中で、 声をかけてもらうなんて初めてだった。 私を私として誰かが見てくれるのは、初めてだった。
きっと彼にとっては、詐欺の駒にできるとか、 その程度の思い付きだったのかもしれない。
そう、こんな曖昧な世界で、信じてなんていなかったよ。
――――――――…それでも]
(79) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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―いま―
[ゆらり、ゆらり。 頼りない足取りは、ゆっくりと進んでいく。
その髪に咲く蝶はもういない。
ふわりと揺れるワンピースの裾は、 赤と白の歪なコントラスト]
[やがて赤い惨劇の中、縫いとめられた黒へ辿り着く]
(80) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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オスカー、くん。
―――――…あのね、林檎、…見つけられなかったよ。
(81) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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私(わたし)は、役立たずだね…。
[亡霊が手にするのは、真っ赤な林檎。 何の価値もない、ただの、林檎。
ずるりと果実が手から零れ落ちるのと同時、 その場に崩れ落ちる]
(82) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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ごめんね……。
[あの日、言えなかった言葉。 今更それが彼に届いているのかも、分からないのに。
いつものように微笑んだはずの顔は、 なぜか泣き出しそうになっていた**]
(83) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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――扉をくぐる前に――
[烏の背を追い掛ける目に、殺意と怯えが消え去ることはない。
輪廻の環に囚われるまで。
何度でも何度でも、この運命を抱くのだろう。
扉の向こう側に消える背に、羨望を抱くことは出来ず。
―――女を、子供を手に掛けて。
今はまだ沈んでゆくばかりの輪廻だ。]
その目。 刳り貫いてしまえば、良かった。
[震える口唇が、小さく呟いた。]
ペラジーは、グロリア[[who]]をつついた。
nanami 2012/10/02(Tue) 21時頃
ペラジーは、コリーン様、なにこれかわいい。もふもふもふ。
nanami 2012/10/02(Tue) 21時半頃
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