人狼議事


217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】

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[けれど、心の内では思っていたのだ。


 それは違う、と。
 自分のことではない――――と。*]


―後の世―
[戦の面影が残る村。ひとりの少女が泣いていた。
大粒の涙を溢すのは朱金の目。

その気味悪さから皆からは蛇の目を意味する「鬼灯≪カガチ≫」と呼ばれ、捨てられたその子は親も知らず、名も知らず。
ただひとつ、己の中にあるのは大切な大切な、名前だけ。]


[ある夏の陽が降り注ぐ上佐川。
そこで佇み川を眺めながら、はらりはらりと涙を流す。]

 何処にいるの……『しんしょう』……

[産まれ出でた時より持つ、誰かの名。]

 あなたに逢いたいの
 また、わたしの名を呼んでちょうだい……

[己すら知らぬ己の名。
それはきっとこの者が持っている、と何故か疑わず。
春の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日も。
何処かにいるとも知れぬ名を呼ぶ。]


【人】 鉱滓皇帝 モスキート

 泣きたくは、無い筈なのだけれどね。

[寅はいつも何かを隠して笑う。何故かは知らぬが、寅はいつも、痛く笑う。
気付いてはいけないのだと、何も言うべきではないのだと言い聞かす。
寅の矜持を傷つけるなどと己に説いて、誤魔化す様に笑って見せる。]

 ほんに、寿命が幾分か縮んだ気分だよ。
 主様にも言わなければいけないね。

[澄んだ空色が顔を覗く。己が目に溜まる雫にゆらりゆらりと空が、揺れる。
頬を撫でる指がこそばゆい、ぱちりと一つ瞬きを。はらりと一つ涙の雫。]

(113) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[雫に寄せられた唇に、久方ぶりに感じる感触に、目を見開けば。
映る悪戯な笑みは―――――――――――思わず見惚れる程、眩しくて。

この子もきっと、健やかに大きく育つのだろう。
眩しさに思わず目を閉じれば、離れてゆく体温を少し名残惜しく思う。
再び開いた視界に移るは、次々に起き出した同胞達。]

 元通り、いや元より以上か。
 ふふ、人間万事塞翁が馬…いや、雨降って地固まる、かな。

[皆の様子に笑みが零れる。この光景も主様の見通しどおりか。
ふらりとまだ足元が覚束ないが、よいせと立ち上がり仮面を探せば。
どうにも何処にも目当てものが見つからぬ。]

(114) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[はたと思い当り寅の姿を探せど、時既に遅く見つからぬ。]

 櫻。これ、櫻は何処に。

 さくら、悪戯が過ぎるよ…

[袖口で顔を隠し、其方此方をふらりふらりと。

慣れぬ日の光に目が眩む、髪色と同じの睫毛では日の光を防げぬ。
細めた視界にふらつく足取りで座敷を目指せば、誰にとんとぶつかり。]

(115) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[賑々しく宴の準備が進む中、一人姿の見えぬ者がいる。
クリアになった視界できょろりきょろりと辺りを探せば。

縁側にぽつりとひとつ、月を肴に酒を飲む人影が。
静かに近寄り、尾を振って酒を呷る背中へと声をかけ――――――。]

 タロ。

[振り向いた頬へと平手をひとつ。パシンと乾いた音がその場に響く。]

(119) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時半頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[戌はどんな顔をしていたか、見る事もなく傍へと膝付き戌の頭を抱え込み。]

 タロ、すまなかった。
 でもね…あのような事、今度したら平手では済まないよ。

 あんなに肝の冷えるようなこと、やめておくれ。

[戌を抱く己が腕は少し震えていたか。己より高い体温が冷たい体に沁みてゆく。
常の様にゆるりと頭を撫でて身体を離し、戌の瞳を見つめ。]

 約束して、くれるかい?

(120) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時半頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[軽い衝撃に袖の端から覗いてみれば、小さく笑う酉の姿。
手を取られ向かうは座敷、座る様にと促され。
あれよあれよという間に手には、神酒注がれたる清めの杯>>117。]

 ほんに心配したよ、無事で何より。

 でも紅羽、少し待っておくれ。
 ちがうんだ。話を…

[手で傷口を覆いかくし、眉を寄せて酉を制すが聞く耳持たぬ。
次ぐ話には遂に口も挟めず、ただ静かに耳を傾け。]

(131) k0ske 2015/02/20(Fri) 23時半頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[にこと頬染め笑う酉。微笑ましき姿に小さき息つき苦笑い>>122。]

 お前達は、すぐ爺を置いていくのだから。
 私が何時までも待っていると思うてはいけないよ。

 …なにせ一人で、泣いてしまうぐらいだ。
 寂しさ故に、いなくなってしまうかも知れないね。

[いつから酉にはしなくなったか。
巳が来るまでの幼き頃は、己が特権と言わんばかりに頭を撫でてやったもの。

傷隠したる手を離し、ぽんと酉の頭を一撫で。]

(134) k0ske 2015/02/20(Fri) 23時半頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

[酉と酒を酌み交わし、喋りたる所に巳の姿>>125。]

 準備は若い子等に任せるよ。
 爺はゆっくり一足先に、美人の酌で酒盛りだ。

[隣の席に腰を下ろし尋ねる巳に、杯をゆらと揺らして見せて。]

 …おやおや、何の話だろうね。
 世話を掛けられた覚えなど、私にはないよ。

[小さく告げたる巳らしい言葉に、はてと首を傾げ。
くつりくつりと肩を揺らして、はてさて何の事やらと恍けてみせる。]

(137) k0ske 2015/02/21(Sat) 00時頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

 時に螢惑、櫻を見てはいないかい?

[居心地悪そうに右眼を潰す傷を撫ぜ、巳に問いを返す。]

 私の、仮面を持っていってしまったようなんだ。
 櫻の悪戯にも困ったものだ。

 まるで、いつかの誰かの様だよ。

[ちらりと見たる酉の顔。すぐに巳に視線を戻すが、酉には気付かれただろうか。]

(139) k0ske 2015/02/21(Sat) 00時頃

【人】 鉱滓皇帝 モスキート

 私にしたら、皆若い若い。

[口ではそう言いつつも、杯を渡して酒を注いでやって。
気にもせずに名を呼べば相も変わらずの仏頂面に、楽しげに笑って見せる>>140。]

 ははは、呼ぶよ。これからも、ずっと。
 私は螢惑の名が好きだと、言っただろう?

 そうか、知らんか。
 これから宴だ、あまり気の良うないものを見せたくないというのに。

[俯き袖で顔を隠せば、羽織も返っておらぬことに漸く気付く。
ちびりちびりと酒を呷って大きく溜め息をひとつ。]

(144) k0ske 2015/02/21(Sat) 00時半頃

[赤き血潮に染まった頃も。あったという。
 怨嗟の声が止まぬ夜も。あったという。


 お伽噺にするには新しい、昔ばなし。]

 ………だれ?

[岩陰の、奥から人の声が聴こえた気がして。
 少年は足を向ける。]


[血に染まり、怨みに染まる事もあった上佐川。
そうと知っても其処に佇み、飽くることなく泣いたのは、其処にいれば己の持つ名を持った人に、必ず逢えると思ったが故。]

 逢いたいわ 逢いたいの……

[何時までも何時までも泣いていると、誰かが此方へ来た気配がして。]

 誰なの……? 『しんしょう』……?

[それは、そうであってほしいという、願いにも似ていて。
肩までの長いとも、短いとも言えぬ黒髪を靡かせながら振り返る。]


[振り返ったその少女は。

 川面の光を黒髪に受け。まるで光の輪を冠しているかのよう。

 初めて聞く声が、初めて聞く名を呼んでいる。

 それは誰の名?]


[いや。
 己の名だと―――信じることができた。]

なつひ!

[叫んだ。開いた口から飛び出た名前。
 駆け寄り、腕の中に抱き締めて頬を擦り合わせた。]


夏日、夏日、なつ……ひ

[手は黒髪を乱す。光を払うかのように。]


[振り返った前にいたのは見知らぬ少年。
駆けてくるその少年が紡ぐ名は、聞き覚えのない、知らぬ名ではあったけれど。
其が己を示す名であることは、すぐにわかって。]

 しんしょう……? 辰星なの……?

[尋ねなくとも、己の中で答えは出ていて。
駆け寄り、すりより、されるが侭に髪を乱れれば、今度は嬉しさで目が熱くなる。]

 今度はちゃんと、忘れなかったわ
 貴方もちゃんと、覚えててくれたのね

[抱き締め、その温もりが本物であると実感すれば安堵し。
やっと逢えたと、鬼灯色の目からまた涙を溢した。]


[巳 火性 陰
その方角を司る神は『おそれ』を表し、凶とされ
司る星も凶星たる星『螢惑星』 別名『火星』

方角も、星も、司りし神も、己が名でさえも
凶事ばかりを示すもの


軈て来る吉事を、深く味わう為に在るもの]


[禍福は糾われる縄の如く、表裏一体を成すもの
何れ程願い、神にすがろうとも、大吉は何れ凶に還る


其は禍とて同じこと
身に振り掛かりし厄は、廻り廻って何れ吉へと還る


――だが、その何れも必要な事に非ず
大事は、禍福は神が決めるに非ずと云うこと
総て己が決めし事、と云うこと]


[己を不幸と思う者よ 己の禍を嘆く者よ
禍凶を知りし時、初めて幸福を知ると思し召せ

禍凶ありてこその幸福だと思し召せ]


[総ての禍福は意味あること
総ての禍も福も、己が決め、定めたと云う事]



   [其を胸に刻み、己が手で幸福を*掴み取れ*]
 


[―――――――幸せだ、



    と思えたのは久方振りだった。]


[その瞳は赤橙。
 遠くからでも招き、誘う色。

 胸焦がす名前を呼べる幸せは喉を震わせる。]

……あぁ、そうだとも。
僕が「辰星」だとも。
 


[遠い記憶。暗闇のなか。光のなか。
 確かな感触、甘やかな香り、心地好い声。

 なつひ。


 其れ以外の名前など知らないとばかりに、繰り返す。

 なつひ。 夏日。


忘れさせるものか。赦さないと――言っただろう?

忘れるものか、忘れるなんて――…
もう一度喪うなんて。


――――嫌だ。


……今度こそ離れず、共に生きていこう。

夏日。
君の全てが―――欲しいんだ。

生きる時間も、何もかも。
もう待たせないで済むように。

[奪わせて欲しい。

 独りにしないで――と
 請い願う。恋願う。**]


[己が紡ぎし名を肯定せし少年に、繰返し繰返し名を呼ばれ、幸を噛み締める。
赦さないという愛しい名を持つ相手に暫し目を見張るが、軈て笑みへと変えて]

 そうだったわね 赦さない、と言っていたわ

[嫌だと紡ぐ口に、ふふ、と笑いを溢し。]

 いいわ 全てをあげる
 あの時叶わなかった、全てを――

[あなたに奪われてあげる。
其は、娘なりのもう二度と離れないという契り。]


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