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[ そう、なにも辛くない。
身体に痛いところはないし、服の汚れだって気にならない。
ガーディとシメオンはわたしを大切にしてくれているし、
世界樹の力が失われた今でもわたしは信仰≪いのり≫によって生きている。
なのに、泪が出るのはどうしてなのかしら。
彼等の言う救いなど、約束など、結局はただのまやかしでしかないというのに。
それを軽々しく口にする人間が──あゝ、愛(かな)しい。]
バルメロス…
あなたの、あなたの意思は人間に引き継がれているわ。
それが、それがただわたしを闇に縛り付けるの…
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[自動人形≪オートマタ≫の少女を眼前に置いたまま、思考は巡る。
ここに彼女が来たということは、近いうちにここに救世主≪La Ferioの後継者≫が来るということ。 PERFEC HUMANの預言《アカデミック・スコア》にすら記されない──それこそ黒の預言書≪ブラック・クロニクル≫にしか記されない──イレギュラーであるわたしを、歴史が正しに来る…。 本来史実では、この世界樹の…PERFECT HUMANの守り手には、英雄≒正義の執行者"バルメロス=ラフェリオン=レイオス"≪Justice≫が存在しているはずであったのに。
彼は叶えられもしない約束≪ギアス≫を交わしたまま、世界樹(封印の礎)に身を捧げ散ってしまった。
──その歴史を、歴史の通りに彼の子孫が正しに来る。 彼の歩む道を記した地図≪ウ・スイ・ホォン≫に導かれるままに。
何という皮肉だろうか。彼に救われ、彼を殺し、彼の子孫≪Oをその身に宿し者≫と再び出会う──割れてしまった卵は、もう元には戻らないというのに。 歴史の修正は、不可能だ────。]
(103) 2016/12/03(Sat) 17時頃
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トレイル… トレイル=オルディス=ラフェリオン… (世界の 幸福の象徴)
[彼すら知らない、彼の"真"名…。 彼が目覚めた時、その名も目覚める────。]
同じ幸福の象徴を冠した名前なのに、ふしぎね。
[深く深く、永遠の少女の形をした女神は息を吐いた。]**
(104) 2016/12/03(Sat) 17時頃
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──回想:いつかの世界線──
ねこちゃん、また来てくれたの?
[高く蒼い空の下、少女と男が二人、腕を揺らして歩いている。 緩く繋がれた手のひらに戯れるように少女はきゃらきゃらと笑い、男はそれに応えるよう、緩く笑みを浮かべた。 いつかの世界線。猫と少女≪まだ異分子ではなかった女神≫は友人であった。 少女は英雄と導きの猫を豊穣の神として慈しみ、英雄の友らをその深緑の大地へと迎えた。本来、少女の本分は繁栄と命の祝福にある。 世界樹の中心は、祝福を与えるに相応しい場所であった。]
そうだわ、ねこちゃん。 あなたにこれをあげる。 前にお話ししてくれたでしょう、あなたが何度も繰り返しているって。 わたしにはよくわからないけど、あなたが辛くないように。 いつでもあなたが優しく、楽しくあれるよう。
[そうして猫の手に握らせたものが雛罌粟の栞≪アーティファクト:生命の祝福(めがみのほほえみ)≫であった。]
(133) 2016/12/03(Sat) 23時頃
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[最早現代≪現世界線≫の彼女にその記憶はない。 しかし、雛罌粟の栞≪アーティファクト:生命の祝福(めがみのほほえみ)≫には、変わらぬ彼女の祈りが…世界への祝福が込められていた。
そうして、女神であった彼女は再び眠りにつく。 再び目覚める時は、現代の創世記。
──異分子≪イレギュラー≫としての、 闇に染まった世界樹── ]
(134) 2016/12/03(Sat) 23時半頃
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お前≪世界≫の思う幸福と、幸せ≪デメテル≫の想う救済。
この世の摂理《PERFECT HUMAN》と正しい摂理≪fall from virtue≫。
PERFEC HUMANの預言≪アカデミック・スコア≫と黒の予言書≪ブラッククロニクル
どちらが正しいか、魅せてくれヨ
堕ちてきても…良いんだゼ?
ま、今すぐ─バトルとはいかないが。
見極めさせてもらうぜ。幸福の象徴とやらを
幸福の象徴、わたしとあのこ、どちらが本物なのか。
──みきわめてあげなきゃ。
…ね、シメオン。ガーディ。
あなた達のマリオネットを期待してるわ。
これからの未来を、救済≪delete≫するために。
もちろん。期待してろヨ。
─ちゃんと踊ってやるゼ。
英雄を巻き込んだ人形劇≪崩壊の序幕≫をな。
[其の希望を育成し、踏み躙る。
絶望への転換による悲劇は
多くの人の心に闇を齎すに違いないから
喜劇的な序曲へ、腕を伸ばす。]
そ、見極めてあげなくちゃねぇ。
[頁を捲る指先は喜悦に塗れていた。]
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あら、"それ"だなんて酷いこと言うのね。 あなたも、歴史修正主義者≪KE-bi-ishI≫の一人なのかしら。
[自動人形≪オートマタ≫の手を離しながら、突如現れた男を見据える。 酷い、酷いわ。嘆く言葉は絶望に息喘ぐ人の慟哭≪On dull ur git an Deep Scar≫と重なるように、世界樹の枝を揺らす。]
悲しいわ、案内の猫。導きの猫。 わたしを許さないというのね。
[酷い。酷い──呟く言葉は、まるで呪詛のように。唸りを上げた暗黒の魔法≪ルシ=ヴェード=アルタイル≫の片鱗が闇色をした美しき蝶の精霊≪モーチェ≫となって吹き上がる。]
(150) 2016/12/04(Sun) 10時半頃
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英雄は、わたしが生きることを望んだというのに。
[赤い瞳が深淵を映したように暗く、闇く染まり──そして一粒の雫を落とした。]
(151) 2016/12/04(Sun) 10時半頃
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[ そうして緑色の雫が地についた頃、バチン!と弾かれたように少女は体を揺らした。]
(154) 2016/12/04(Sun) 16時頃
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──彼の魂が、目覚めつつある。
(155) 2016/12/04(Sun) 16時頃
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[譫言。呟いた少女はゆるりと顔を上げて、…そうして、先程祓われた筈のワンピースの闇が、再び侵食を始めた。]
あゝ、バルメロス…!
[わたしのところに来てくれるのね、嬉しい。嬉しい。 ──憎たらしい。 約束を破った彼が、目覚めつつある。 英雄の意思を継ぐものが一つ、また一つ目覚める度に世界樹が魂を寄越せと叫ぶ。
蒼天を見上げた少女の瞳に映るのは、あの頃の思い出(しあわせ)ところに、絶望の色──…]**
(156) 2016/12/04(Sun) 16時頃
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[自動人形≪オートマタ≫が駆け出したのが赤く艶めく光に映る。>>165 ──ああ、救ってくれようとしたわけでは、なかったのね。 期待など初めからしていたわけではなかったのに、自身に対しての嘲笑が溢れる。 教会すら、わたしの力にはなってくれない。
そして甘んじて──いいや、或いはその場から動けなかったのか──少年の死神の鎌≪タナトスの口づけ≫>>165を受け入れれば、噴き上げる紅の薔薇を撒き散らして少女は呆然と口を開いた。]
──いたい。
[まるでその呟きは、ただの少女≪Tada no girl≫のよう。 散る薔薇が、少女の涙が地に落ちる度に、そこから新たな命が芽生える。 そして───瞬間的に枯れていった。世界樹の根元から吸収するように暗く、黒く花々が染まっていく。そうして世界樹から伝った闇色の光が、決して無事ではない、大きく傷付いた体を柔らかく癒した。
──少女の本分は、繁栄と、命の祝福だ。]*
(188) 2016/12/04(Sun) 23時頃
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わたしに、ひどいことしないで!
[キン──!と空気が反響し、悲痛な叫びが世界樹の周り≪PERFECT AREA≫に広がる。 もはや少女は豊穣の女神≪Δημήτηρ,Dēmētēr≫の力を持った、ただの小娘≪KUS=OG=AKI≫であった。元々、その資質はあったのだろう。永遠の少女、永遠の命。永遠を約束されたからこそ、大地を慈しむ女神で在れたのだ。
無数の死者達《Undeads》が、月の怪物≪moon beast≫が彷徨う空間≪AREA≫の中で、少女はただ少女であった。 背後から溢れ出す美しき蝶の精霊≪モーチェ≫が、化け物達すらを養分として成長し、そして大きく膨れ上がる。]
わたしは、ずっと、バルメロスといっしょにいたかっただけなのに!
[──闇の一閃。 蝶達が猫を喰らうように、襲いかかった。]
(189) 2016/12/04(Sun) 23時半頃
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どうして、どうして、どうして!
なんでわたしだけがこんな目に遭うの、
ひどい、ひどいわ。
[しくしく、しくしく。啜り泣き。ぽろぽろと翡翠の涙が溢れる。]
ひどい…だから、はやく、みんなを救ってあげなきゃなの。
わたしも幸せなれるような、そんな救いを。
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[伸ばされた腕>>193に、蝶──否、蛾の群れが食らいつく。 吸血をする蝙蝠のように、獲物を待ち受けていた喰虫花のように。 猫の腕から生気をじわじわと吸い取りながら、そしてその腕に纏った炎に焼かれながら、それでも尚その腕は目前へと伸びる。
そして闇が辺りを舞い散る中、その手は、炎を失いながらも──届いた。]
……あ、
[眼前に広がる、風で巻き上がった少年の髪が揺れ、少女は目を見開く。思い出すのは、いつかの、どこかの世界線での、あの会話。>>141 足元でぐしゃりと鳴る、枯れた雛罌粟。 わかっている、わかっているのだ。バルメロスが既に死んでいることなど。ただ、ただひたすらに、約束≪ギアス≫が少女を縛りつけていることなど。]
…ねこちゃん、あなた、うそつきだったのね。
[柔く、緩く微笑むと、少女の周りから蝶が霧散した。 そして広がるのは世界樹の枝。約束≪ギアス≫から逃れられぬ運命を共にした世界樹。]
(199) 2016/12/05(Mon) 01時半頃
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だからこそ──ごめんなさい。
[いつかの昔に受けた少年からの友情と、少女自身から少年へと捧げた祝福を裏切るような真似をして。
ひらり、ひらり、蝶の残骸が蒼い羽となって降り注ぐ。 神々しい光が、辺りへ広がってゆく。 そうして世界樹が伸ばした枝(うで)が、大きな翼を模った時──少女の背後、"青い鳥"≪bluebird≫が顕現していた。]
(200) 2016/12/05(Mon) 01時半頃
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─── 謳え、"青い鳥"≪bluebird≫。世界を救いなさい。
(201) 2016/12/05(Mon) 01時半頃
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核≪コア≫──O・cupo・pusの心臓──を壊すのは、このわたしよ。
[針金のように鋭く睨みつける、今度こそ敵意を込めた──全ての救済≪delete≫を望んだ瞳が、猫を、或いは遥か遠く…"英雄"の魂を引き継いだものを見据えた。]
(202) 2016/12/05(Mon) 01時半頃
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だってこうするしかないのよ。 わたしを救って、あの人も生きて、またみんなで一緒に過ごすなんて約束≪ギアス≫はもう破られた。 理想は所詮、理想だったの。
誓い≪ギアス≫を破ったならば、それの対価は払わなければいけない。──たとえ、払う者がわたしではなかったとしても。
[どこか苦しげな…堪えるように、しかし穏やかな表情をした猫>>206を見据えたまま、ゆるゆると首を振る。 何度も何度も振られるそれは、まるで振り子のように。癇癪を起こした子どもが、駄々をこねるように。]
だから、あの人がいない世界の、わたしの救いは世界の破滅≪ALL DELETE≫なの! 全てを無に帰せば、全ての者が救われる!そうでしょう!?
(214) 2016/12/05(Mon) 10時頃
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わたしがひとり、世界樹に残されるなんて、おかしいもの。
[放たれた炎刃>>207がその鳥≪bluebird≫に辿り着く前に掻き消える。羽ばたきが、本来の彼の属性であろう風を乗せて炎をかき消していく。 そして彼女の嘆きと共に、世界樹≪bluebird≫は啼いた──。
裁きの夜≪JUDGMENT NIGHT≫こそが全ての救いだと叫ぶ女神は滑稽だろうか。救いの本分を履き違えた≪フォールダウン≫した女神など、救いを語るに足らないだろうか。 けれど、──これが少女の本心であった。
これが寂しさなのか、愛なのか。 最早少女にはわからない。 ただ刻々と増幅し、溢れ出す感情に身を任せ、有り余った力のままに叫び続け──そうしていつしか力尽きるまで。 彼の英雄に亡ぼされることを待ちながら、二つの希望を抱えて。]**
(215) 2016/12/05(Mon) 10時頃
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ちょっと早い到着…だったカ?
まぁいい、苦しかったら呼んでクレよ。
僕は世界の絶望の象徴≪Dullahan≫なんだからヨ
ま、苦しくないなら…旧友≪ハーデース≫のところにでも遊びに行くさ。
[そう、可愛らしい蝶にしか聞こえない声で※呟いた]*
(※ここにタナトスはいないが全ての聲を聴ける彼なら聴こえてしまうだろう。)
ホッント、お前らって慌てん坊だよねぇ
死に急いでくれるのは、大歓迎だけど
[聴こえてくる者たちに、そしてこれから救済を捧げる者たちへ、細やかな独り言を落とした。]**
あゝ、たすけて、たすけてほしいの。
[嘆き。けれどそれは戦闘力(現状況)の話ではなく。
しくしくと泣き続ける少女の心が叫ぶ声。]
お願い、ふたりとも。
はやく現在の"英雄"トレイル=モンブラン=オルディス=ラフェリオンを連れてきて。
───そして英雄の剣≪Lightning sunshine Excalibur≫を、ここに。
大丈夫だよ、デメテル様ぁ
使える物≪殺人人形≫は、使うから
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