9 【飛入】バンドオーディション村【歓迎】
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おニイ、おニイ。
[レシーバーの向こうから聞こえてくるのは、
ゴウンゴウンと何らかの機械の音と彼の呼吸。]
みちるさん……だっけ?どこかで見たことない?
[それが思い出したことの内容であった。]
・・・いや、あの娘に関してはどっかで見た覚えがあると思ったが・・・
[第1審査が終わったときに感じていた邪推がさらに現実味を帯びてくる。]
いや、それならなおさらの事オレたちのオーディションに参加する理由が・・・
[ギリアンは思わずぐぐもる。]
ライパチくんさ、僕たちにプライベートのこと
あまり教えてくれない…ふう。
教えてくれない人だったから、余計に印象に残ってるんだ。
[機械の音とムパムピスの息が荒くて、
レシーバーには余計な音が混じったりする。]
スパイなんじゃないの?ライパチくんが送り込んだ。
きっとそうだよ。はあはあ……あの人案外陰険なんだよ。
[思い込みが激しいというか何というか。]
いや、お前それはちょっと考え・・・
[レシーバーの向こうの息が荒くなっている。向こうから聞こえてくる機械音。]
ちょっと、お前、どこにいるんだっ・・・!?
[少し慌てたような様子でムパムピスに問いかける。]
どこかって?えっと、ここはね……。
(ゴウンゴウン!!)室だよ。
[肝心なところは、ボイラーの音にかき消されてしまった。]
はあ…はあ……ライパチくんね。
実は意地っ張りなだけで、本当に寂しがりなんだよ。
だから…ふう……トルっくんが放っておけないって、
一緒について行っちゃったんだよ。
はあ…はあ……おニイ、いつまで怒ってるの?
・・・怒ってるとかそういう問題じゃないだろ。
[口ではそう言っているものの説得力は皆無で。見切りをつけられたという思いは非常に強く。]
・・・そんなことよりもだ、お前はいったいどこにいるんだ!
[少し大声でレシーバーに向かってしゃべるギリアン。]
暑い……とっても暑いよ…。
[微妙にうわごとめいたことを呟いている。
熱気すら伝わってきそうな声色である。]
おニイはいつだってそうじゃないか。
僕には何も話してくれないでさ。
おニイとライパチくんはある程度話し合ったみたいだけど、
僕には「ライパチくんとトルっくんが抜ける」って
段階まで、誰も話してくれなかったじゃないか。
どうして、おニイは僕に何も話してくれないのさ!!
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