162 絶望と後悔と懺悔と
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……さぁ、どうしてかしらね。
[愉しげな声が響く。]
乗り越えなさい。
みんな殺して乗り越えて。
そうしたら――
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………。
[ぴたり。振り上げた左の鈎爪が止まる。 やはり、絢矢の「顔は傷つけたくない」のか。]
絢矢くん……!?
[行き場所を失った鈎爪が、困ったように震えたあと、 右に絡められた袖に向かい、距離を取る。 ふぅ……息が上がりぎみだ。]
謝らないでくれたまえ。お互い様ではないか。 僕を殺して「くれる」のだろう? 僕は死にたくないから、殺してでも抵抗する。
それでいい、それでいいじゃないか。 そうだ、それだけに実に単純だ。
[誰に言っているのだろう。ぎこちない笑みに、 ひどく困ったような表情を返した。]
(412) 2014/02/11(Tue) 20時頃
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直円。
あたしのように遊ぶのは構わないわ。
けど、もしかして貴方。
昔なじみは傷つけたくないとか思ってるんじゃない?
[先ほどまでの先頭の様子を思い返しながら。]
悩むから辛いのよ。
いつもの訓練のように、相手の頭ごと潰してあげればいいのに。
………。
[………。]
違いますよぉ。僕はぁ、じっくり舐ってやろうって。
そう思っているだけですからぁ。
顔が傷つくとぉ、折角の苦悶がぁ。わかりませんからぁ。
[この話し方のときはたいてい。そういうことだ。]
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違う!違う違う違う違う! ただぁ……舐ってやろうって。そう思っているだけですからぁ。 顔が傷つくとぉ、折角の苦悶がぁ、見えませんからぁ!
[この話し方は、一種の防衛反応なのかもしれない。 「架空の狂った」自分なら、仕方ない、と。]
僕はぁ!ホリー様配下のぉ!! 御器被ですからぁ!「お兄ちゃん」では! けっしてぇ!ありませぇんからぁ!!
[誘い通り、鈎爪で薙ぐ。]
(416) 2014/02/11(Tue) 20時半頃
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──…そうしたら、何
[ホリーの優しい声は今は何よりも黒く暗く聞こえる]
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……これはぁなんの「陰謀」だぁ?
[冷静さを失っているように見えた。 だが、それは敢えて「直円」ではなく、「御器被」として、 努めて「御器被」としてあろうとしているようで。]
………。
[背中に回された手。もう「御器被」は抗えなかった。]
(422) 2014/02/11(Tue) 21時頃
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もう悩まなくて良くなるわ。
誰かを殺したりするのも、きっと愉しくなる。
そうしましょうよ。
[そう告げる声は愉しげだった。]
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………か……はぁ?!
[硬直したように口を大きく開く。 白眼を剥いて、がくがくと。その身体は痙攣している。]
……首級………持ってけよぉ。「御器被」の首級なんてぇ…… 何のぉ………価値があるかぁ…………だけどぉ。 軍功…………だぞぉ………………?
[血を吐いた。凄まじく血を吐いた。 あくまで、「御器被」として逝くつもりか。]
(424) 2014/02/11(Tue) 21時頃
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和算家 直円は、メモを貼った。
2014/02/11(Tue) 21時半頃
―回想・理依について―
[喉元に円形の刃が突き付けられた。
一拍おいて引き戻されたそれに、ふうと息をつく]
……もう一本、お願いします。
[理依は根気よく手合せに付き合ってくれた。
自分にはこれ以上ない鍛錬だったと思うけれど、
彼にはどうだったのか、良く解らない。
勝てるようになってほしい、の意味も]
――――、……
[素直に尋ねられれば良かったのだろうか。
けれど、にこにこと誰にでも接していた理依の面影は、
他愛ない話をしなくなり、どこか線を引くように
独りでいたがっている、ようにも見える。
ただ、そうなりたい、とは思った。
もっと強く、いつか届くようにと望んだ。
何に届けと伸ばすのか、自覚のない切っ先を、
刺すように鋭く*]
|
やれやれ……強く、綺麗になったな。絢矢くん。
嫁入る……までは、顔に気をつけ―……
[ザンッ―…… 世界が 逆さまに 見えた**]
(428) 2014/02/11(Tue) 21時半頃
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――お疲れ様。
貴方は優しすぎたようね。
[最後に告げた言葉は直円には届いたか。]
ホリィィィィ様ァァァァァァ……
おぉぉ慕いぃぃぃぃ申してぇぇおりまぁしたぁぁ……。
人形のようにぃぃぃ可憐でぇ……
人形のようにぃぃぃ 「つまらない」
お人ぉぉ でし……たぁ……
[それは誰も気にとめない路傍を這う御器被の羽音。
弱々しい虫けらの それでいて「煩わしい」羽音に過ぎない**]
[笑い声が聴こえてくる。
引き裂かれる心の悲鳴を眼を閉じて聴く。
狂う事すら出来ない痛みを抱えたそれは、妙なる調べ]
何もしてない?
出会っただろう?
私と。
[何の罰だと、罪だと求めるなら。
退屈しのぎの遊びを求める鬼の前に、姿を見せたそれだけだと]
―回想・直円について―
……相容れ、ない。
[時の幕府、権力者にとって不都合だったからと理解する。
神のもとに平等――それはまるで。
この場で言う事は憚られた。]
そう。……これも、きぼうなんだ。
[形は変わっても。]
ありがとう。
[「優しい」眼差しに、笑みを返す。
血に塗れ、擦り切れていく道の上で、
――「思い」は隠れても忍んでも、強い**]
和算家 直円は、メモを貼った。
2014/02/11(Tue) 22時頃
雑草になりきれなかったようだな。
[貪欲に根を伸ばし、蔓延り、地位を逆転させる程
徹して狂えたならまだ良かっただろう]
私を愉しませると言う点では及第点か。
[狂い切っていれば、生き延びたかどうかは知らないが]
前座にしては愉しめた方か。
[強者には強者の、弱者には弱者の愉しみがある。
それを彼は果たしただけ。
諦め従いながら、結局雑草に成り切れなかった鬼に
何かを思う事はそれ以上は無かった]
―回想―
[明乃進の手鏡を見せて貰った日から、
牡丹の形試す傍ら、毎日1羽ずつ鶴を折り始めた。
“祈る”という行為を、どうすればいいのかわからなかったから。
とりあえず皆を道連れにしようとした]
一緒に折って?
[まず直円の部屋に持ち込んだ千代紙、
有無を言わせぬご指名なのは、“弓矢ごっこ”の頃から変わらない。直円の変わったことは受け入れた、変わったのは彼だけではないのだから]
……わたし、あなたの言葉を覚えている。
[ 昔のことを引っ張り出したのは、ただの気まぐれではなかった。正攻法では勝てない、そんな相手にはどう戦えばいいのだろう。考えるようになっていた*]
……お父様、
ひとつ伺いたいことがあるの。
手柄を立てたら、ご褒美を下さると先ほど仰られました。
[>>:*68 その囁きが届いた後しばし、
本当に不意に思いついた、とでもいうように
“父”の元へと届く、こえ]
――所望したいものが、
他にもあると言ったら、聞いて下さるのかしら。
[真弓は、初めて人を殺してから従順になった。
もちろん従順さがすべからく美徳とは限らぬけれど、
吸血鬼はそも人の言う美徳など好まぬだろう。
従順という美徳の反対は、反抗という悪徳。
はじめて人を殺した時
憎しみという感情がどういうものかを知った。
その感情は他の全ての感情ごと氷の下に押し殺した。
―― 少女はあの時の言葉を覚えている。]
―回想―
僕にぃ?拒否権はないのでぇすねぇ?
[やはりこの頃も、敢えて「狂って」見せていた。
それでもなお、嫌な顔せずに付き合うのは。]
僕の言葉ぁ?さぁて、何ぞ言いましたかねぇ。
[恍けているのか、どうなのか。ただ、これだけ言った**。]
一夜にしては成らず。よく―……時勢を見たまえよ。
− 過去 −
[城の全てが己の部屋。
扉の向こうに何があろうが、
どのような状況か等確認する必要は無い。
女の部屋だろうと構わず開けた]
何をしている?
[最初の頃こそ絹裂く悲鳴を聴かせてくれていたが、
マユミはそのうち、悲鳴をあげる心を
何処かに隔離する術を覚えた様だった。
ホリーの教育も素直に吸収し、素直に育っている様には見えた]
教育係の吸血鬼が覚えが良いと褒めていた。
持って生まれた素質だろう。良い事だ。
[マユミの上達は認める所だから、そこは正しく評価してやる事に。
もう少し抵抗するかと思ったが、
今はその容姿も相俟って人形の様にも見える]
……時勢を動かすのは、難しいのね。
[>>:111 自分と直円と、
折られた鶴は2羽ある。
1つは黄金色の月手毬
1つは漆黒の花模様、
両手にもって、かつんと、その嘴をぶつけた*]
[マユミが折っていたのだろう、紙から生まれた形を手に取り
眺めて見るが、それが何かを理解出来ない。
興味が無いのだから当然だが]
一枚の紙から出来ているのか。
面白い事を考え付く。
元は同じものが、過程1つで全く違うものに変わる。
[まるでお前達家畜の様だと、薄ら笑う]
人間達はこんなものを折って愉しいのか?
[子供の遊戯以外に、祈りを込めて、願いを込めて、
想いを込めて折られる等想いもつかない]
− マユミの問い掛け −
[折り紙の返答は何だったか、と雑魚を斬り捨てながら
ふと思い出していると、
まるで測ったかのように問いが届く]
お前が望む等、珍しいな。
何が欲しい。
[叶えるとも叶えぬとも言わず。
いつも控え目に、従順なマユミの望みに、
ただ興味が沸いたと言う様に]
―回想―
[>>:*112父の訪れに立ち上がる、
学んだ作法に適った振る舞いは動作の一つ、
しぐさの一つとっても、優美なものといえただろう。
――作法の教育係は1人か2人は裂かれて死んだけれど]
ごきげんよう、お父様。
[部屋のそこかしこに散らばる色とりどりの折鶴たち]
お褒めいただくのは、光栄です。
――けれど、お父様、わたし思うのです。
いつになったら、お姉様に追いつけるのでしょう。
[双眸の、緋花のような虹彩は“父”を見上げる。
その存在にこの血が焦がれるのは、抗いようのない事実だ。]
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