270 食人村忌譚
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/12/03(Sun) 01時半頃
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―― 4日目:→ 集会場へ戻り ――
[兄弟の家は燃えた。 結局死体を確認することなく、 かわりに焼け焦げた木材のひとつを手に集会所に戻り そこに人影がない>>20ことにため息をついた。
儀式はどうなったのだ、とか 容がそれを取り仕切ったのだろうか、だとか
離れる前に聞いた、>>4:136容の言葉 あれのとおりに進を殺したのだろうか。 志乃を、巫女を殺した廉で殺したのだろうか。 けれど炊事場にあたらしく肉が増えたとも思えない様。]
(0) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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―― 帳面 ――
当月 石動、錠 ともに死んだと思われる 屋敷の燃跡の検分あたわず、 よって2人の死体見届けなし
(1) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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[書けることは、多くなかった。 持つ情報は少なく 集会所に人影は見なかった。 誰かいたのかもしれないが、男の視界にはなく。 書き物机に開いた帳面に、拝借した燃えさしの木枠を、 それで証明はなされたとばかりに置き放した。かすれた木炭が紙に残る。
人が来れば分かるようにと 寒空、外廊下も開け放しの宴間、 囲炉裏の火が消えるのを、このようにあれらは燃えていったのだろうかと、そう思いながら。 村に、とうに冬が来ていたことを、今更知覚した]
(2) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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―― 翌朝>>6:27 ――
[宴の間。 火を起こし、鉄瓶に水を入れる。 死んだ人間の名を指折り数え、 では生きているものは、と改めて指数にし、 ――そこに、容や進、丞は込められていたが―― その少なさに、瞬間息をつめもして]
…… 志乃、 おはよう
[そうしているうちに、>>6:27集会所を訪れる人影を知る。]
(6) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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多分、おまえが今日一番だ
――昨日伝えたが、錠と石動はきっと、死んだ 家が燃えていた、多分死んでいる
[告げたのは昨日の情報の、そのあとの話。 それから沸いた湯を急須にいれ、 己の離れた後、集会所で人が死んだのか問いかけた*]
(7) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/12/03(Sun) 01時半頃
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[集会所を訪れたリツへも>>9 同じように昨日の話をして 代わりに返ってきた言葉。]
―― 探し、に?
それはどういう流れであったんだ
[問うた男が集会所にいた時分、容に声をかけもしていた。 その後いなくなっていたとは知らねど、 >>4:15>>4:19弔い肉の準備ができたころには その姿がなかったことは、聞けただろう。]
(10) 2017/12/03(Sun) 02時頃
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容、は
[リツが「様」をつけて呼ばうに慣れない顔をして]
進を、疑ってる素振りだった、 二人で出かけるとは思えんが
探しに行った鬼もミナカタ殿も そのまま進に、……あるいは容に。 二人ともが殺されることは思い難い
[どこを探すといっていた? 問いを重ね*]
(11) 2017/12/03(Sun) 02時頃
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神社
[幼げな顔面の上に、鹿爪らしく寄せた眉を乗せた。
――それが、容が望んで足を向けた場所であるなら。 妹の死んで 初めて向かったというなら。 よかったなどと到底吐きだせない情報に、吐く息だけで返答し]
状況はわかった 俺は昨晩から集会所にいたがその4人の誰とも会っていない 神社か分からんが…… 十中八九 昨日ここをでて、そのまま、
[死んでいるんだろう。
口にする言葉の、この数日でなんと軽くなったことか。]
(13) 2017/12/03(Sun) 03時頃
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であればおそらく、 4人のうちのだれかに下手人は含まれていようが、
[情報を単純に受け取ればすれば、の話だ。 石動が、錠が、本当は死んでいないのなら。 志乃が集会所を離れてから殺していないのなら。 リツが、殺していなければ。 ――そんな数々の可能性は、きっと同様にリツのなかにもあって そこには「源蔵が殺していなければ」が続いていることだろう。]
(14) 2017/12/03(Sun) 03時頃
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[湯飲みで揺れた茶を、縁側、二人の前に置き 勝手にとればいいと言い置いて自分の分を口に含む。]
―― 容は、 巫女になりたかったんだろうかね ……いいや いまさらの話だ ひとまず、神社あたりを見てみよう
[ついてくるか も ともにいこうも 特に言わず、 飲みかけの湯飲みを置いて立ち上がる。]
(15) 2017/12/03(Sun) 04時半頃
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[立ち上がって、けれど、歩き出さなかった。 男は、ふと、眩し気に目を細めて 集会所の、外へ続く道を眺め]
[そこに人影の、見えた気がして**]
(16) 2017/12/03(Sun) 05時頃
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やれやれ。この身体ごと、もう不要か。
[この村全てが不要なら。
俺自身も不要。
まともに動かぬ身体の俺なんて要らない。
錠や源蔵たちと同じものになる位なら
自分から棄てなければ]
[家畜とは違うと自覚した者たちは
恐らくもういない。
石動の願いは錠と共に食らい合い、死ぬことだった。
進の夢を聞くのを忘れていたと、
進みながらぼんやり考える。
この村に生まれなかったら、
彼は最初から立派に生きて行けただろうにと
憐れんで]
でも。
次にこの村がお前を引き戻そうとしても。
この群れは永くは生きないさ。
[俺が出来なくても、この群れはいずれ。
血の気が下がるせいでまとまらない考えのまま薄ら嗤った*]
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[志乃>>17>>19の分の茶は、湯気をあげ、 手を伸ばされないうちに冷えていく。 「死にたい」 耳にしたそれへ、微か眉根が寄って]
勘違い しているわけじゃないだろうが、…… 俺も、ここにいたやつらも、 下手人を殺すために探しているんじゃない
その罪を、そそぐために、探している 下手人自身のために だ
[手段と目的、二つが違うといい]
(22) 2017/12/03(Sun) 22時頃
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禁忌を犯した罪が清算されなけりゃ そいつはまた、次の世に運んじまうだろ どんな酷い生まれようになるか、 ……俺ぁもう 手前以外にそんなのは見たくない
[発破、とはいえない。 志乃のほうを見ずに向けた言葉は、 それ以上志乃を詰めるつもりもなかったが 心動かす糧になるべくもなく、だから男はリツを見た。 「任せられるか」と視線だけに込め 己の視線を動かし>>16 外へ、 向け>>21]
(23) 2017/12/03(Sun) 22時頃
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―― …… っ
[た、 っと一歩 常の大股 踏み出した。
なにを考える前の一歩は 肩から羽織を落とす動作を、 片手を袂に入れる動作を、伴い―― 伴いかけて、]
(24) 2017/12/03(Sun) 22時頃
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[歩みとともに止まる。]
―― ――
[真一文字に引き結んだ、結ばれた口 その奥でかみしめられた歯がぎぃと鳴く。
顰めた眉、瞠目の眼差し。 そんなものは、いまさら言葉にすべきでないほど さきの行動と合わせて――視界にある薬師を、 その赤黒く染まった半身を、覆われた顔を 刹那案じ
案じたこころうちが、驚愕 疑念 そのようなもので澱んだのを、 澱んでいったのを、映し出して]
(25) 2017/12/03(Sun) 22時頃
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……、 お前
殺したのか
[問いかけは、奇しくも>>6:19鬼と同様のものになった。 言葉だけは同様、 けれど、勢いはなにも 似たものはなく。
"誰を" の指示語もなく零れ落ちたそれが 雄弁に、 下手人なのか を問いかけ、 確信にも似たものを滲ませて*]
[なかば無意識に、何故、と言葉なく唇が動く*]
(26) 2017/12/03(Sun) 22時頃
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(それが家畜への情と何ら変わり映えしないものだとしても)
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[「嫌になった」>>28 あっけないほど単純な無音の問の答え。 頑是ない子供が、捕まえた虫を潰すような。
答えに呼応して鼓膜のうちで蘇る言葉がある。 ―― 嫌いじゃない。 かすか、煮える音。 嗚呼、と よぎった。僅かに得心があった。 過って、眉がなお寄り、それでも。 それでも。けれど。]
(31) 2017/12/03(Sun) 23時頃
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[こともなげに言う薬師は、この、男>>29は 名も知恵も受け継いだ“ミナカタ”としてここにあるのだろうか。 日頃 ずらすを好んだ“ミナカタ”の仮面は、 これほどに、歪んでいたのだろうか。
たった1日前。 石動を殺す前に、と 望んだ仮面の奥が、この顔だった、だろうか。 たった一日前と異なり、けれどいつもと同じ。 見上げた視線はいつもように、見下げる視線と交差する。]
(32) 2017/12/03(Sun) 23時頃
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…… もう、 おまえ
[、死ぬだろう。][その怪我で。][その血で。] [目玉はどうした。][色男が台無しじゃないか。]
[浮かんだことは欠片のまま、音にならず降り積もる。 そのけがで、なおここにきて。 そうまでして。殺したかったのか。 おまえ、]
[ おまえ、そんな顔をしていたっけか]
(33) 2017/12/03(Sun) 23時頃
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[>>30振り上げられた鍬を、視認してから。 うごくほどの余裕すらあった。 ほらみろ、 そのけがで。せめて薬はどうした。ミナカタだろう。
風を切る音、 かわいた血の欠片が舞う。 半身引いて 袂に手が伸びる。短刀。 鬼の研いだ、血を知らない、 子供じみた短刀を引き抜く。 鞘が落ちる。]
―― ―― 本当に、
見下げられるも 飽きたぞ
(34) 2017/12/03(Sun) 23時頃
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ひとつ、聞きたいことがある 餓鬼に殺されるお前は、 [俺がこれから殺すのは] どちらだ
[切っ先に映るのは誰の顔か。硝子板越に見上げるのは友―と思っていた男の顔だ。 >>29「放っおいてもいい」を侮りと、そう受け止めて。受け取ることにして。いつかの>>4:169言葉をかり。薬師と、その前の名。誰の望みで、誰が罪を犯して、眼前に立つのか*]
(35) 2017/12/03(Sun) 23時半頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/12/04(Mon) 00時頃
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[ひとつ、と言い置いた問い、 けれど答え>>38は拒絶に近い色合いで返ってくる。 それへの瞑目は一瞬、 明りのなかば失われた視界にはきっと映らないだろう。 降ろした瞼が憂色を押し込めたことも、きっと。 次にひらいた眼差しは常と同じく、ただ、顰めた眉の意味だけが違う。]
(40) 2017/12/04(Mon) 00時半頃
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[鍬は地を穿つ。 誰の血か。赤黒い鉄の塊は、誰の血でも吸い込んでいるのだろう。 そこに、己を増やすことを厭いはしない、けれど。 けれど、その前に為すべきことがある。]
…… …… 言われずとも 、 っ
[餓鬼でない、 牙をむいた刃物の使い方は知っている。 おにが研いだそれは、暗んだ視界でもなお美しかろう。 光を吸い込んで 生々しく明るむ その刃は。
子供ほどの手に、逆手に収まった短刀。 切っ先は眼前の男に向けられている。]
(41) 2017/12/04(Mon) 00時半頃
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……、
―― リツ !
[伸ばされた手をみとめ、 一瞬、開いた唇に乗る名前に迷いはあった。 けれど呼んだ名は一つ、 まだ声の通るうちに せめて振るう力のある名を口にし、]
(42) 2017/12/04(Mon) 00時半頃
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[口をつぐみ、一歩踏み込む。 倒れこむような不安定な重心>>39の、その下 たとえ非力だろうが 崩れる自重を刃に受けるようにすれば 伸びた手指、その表皮。指の合間、母指球、 いくども村のために草木を積み上げたその指を 裂き、切り裂くも可能だろう。 その奥の腕といわず 肩骨といわず ―― ―― 刃を横にするように滑らせば 胸骨につながる肋骨の合間をくぐるか、能わずか――]
[硝子板、奥で目を細める。 肉に刃の入り込むも分からず、 けれど 倒れこむそのしたに体差し込むようにするその合間は、 けして瞼の降ろさぬように*]
(43) 2017/12/04(Mon) 00時半頃
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あ、あ……さみぃ……。
[自分の身体から熱が流れていく。
生きながら死に逝く感覚に。
思ったことはそれだけ。
後は……身体が傾ぐだけ*]
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[ あつい。 視界すべてを覆うほどの、生きた、生きている匂い。 むせかえるほどの生が飛び散る。
矯正された視界の多くを染め、 なお顔面に滴り落ちるそれ
鋭く吸い込んだ呼吸に混じり、鉄錆臭が肺を満たす。 ぐ、と眼差しを細めた。 手の内の感触、たしかに、肉を裂くこれは。 >>45眼前の、視界を覆う、男の肉を貫いている。]
(47) 2017/12/04(Mon) 01時半頃
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[地に背をつけている。 ふりそそぐ血潮のある。
それがどうした、 これはまだ生きている。
手の中にある刃は肉を食み、がちり、と硬い感触がある。 動かせない。姿勢か、力が入らずか。噛んだ骨が悪いか。 肋骨、胸骨、どうせそのたぐいだろう。 視線はやらない。 赤紅で奪われていない視界を、そんなもので覆ってたまるか。 見上げるのは、ねめあげるのは。一人しかいない。]
(48) 2017/12/04(Mon) 01時半頃
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―― ― ― “ “
[欠けた“四指”に押しつぶされる名。 一瞬まどうた名 は、 かすか 憧憬と悔恨の味がする*]
(49) 2017/12/04(Mon) 01時半頃
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