22 共犯者
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……とりあえず、私は村長夫人の所へ行きます。
もうどなたかがお伝えしたしれませんが、万が一のことを考えて……。
(179) 2010/07/29(Thu) 23時頃
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お前の言った通りだ。
彼らは忘れてしまった。
[ 遠巻きにソフィアの死体を眺めながら騒ぐ人間たちを凝視し、同胞に語りかけた。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/29(Thu) 23時頃
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―ソフィア発見現場―
[村長夫人の家に向かおうと踵を返したその時、イアンはふと、全身の血が一気に沸き立つのを感じた。
そこには、昨日見た「森の神様」が居るのだ。 あの獣性に満ちた、美しい肉体と鼓動を持つ、絶対的な「力」の象徴のような存在が。]
(183) 2010/07/29(Thu) 23時頃
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>>189 [金縛りのような心地。 己の中の何かを射貫かれたような気がした。]
……行ってきます。
[月の瞳が、己の肉体を捕らえている心地がする。 それは気のせいであると、イアンは言い切ることができない。
その視線が目に見えぬ灼熱の手となり、 彼をひとつの罪の囚人へと変えてゆく。
――少なくとも、イアンにはそう感じられていたのだった。]
(197) 2010/07/29(Thu) 23時頃
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>>194 [宵闇のカーテンを振り解き、イアンは走り出す。
その色に、己の脚が絡め取られぬように、慎重に。]
(201) 2010/07/29(Thu) 23時頃
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―故・村長宅―
すみません、リンドクヴィスト夫人はどちらに!?
[使用人に彼女の居場所を聞く。 息せき切らしてやってきた青年記者の様子に驚いたのか、使用人は事のあらましを問いただした。
そしてそれを聞いた使用人は、彼をリンドクヴィスト夫人の元へと案内したのだった。]
……すみません。 お客様もご一緒であるというのに、こんな状態で失礼します。
単刀直入に言います。 「ソフィア」と言う女性の惨殺死体が、森の中で発見されました。
(206) 2010/07/29(Thu) 23時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/29(Thu) 23時半頃
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>>210 ……はい。 村の方のお話から、「ソフィア」嬢であることは……おそらく間違い無いと思います。
左手の薬指にこう…銀の指輪を嵌めていまして…… その、とてもその方に近しい若い男性が……
[声のトーンが落ちる。 郷里に置き去りにした婚約者の笑顔を思い出し、胸の痛みを抑えるように、シャツを握った。]
そのご遺体を、「ソフィア」と呼んで……抱きしめていらっしゃいました。
(215) 2010/07/29(Thu) 23時半頃
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>>217 ……本当です。
[低く籠もった声で告げる。]
もう既に……村人のうち何人かの方が、「その光景」を見ています。そしてあの方は「ソフィア」嬢である、と。
あれは……ヒトの為せる業ではありません。 そう、例えるならば……
……『獣』の、為したものです。
(223) 2010/07/29(Thu) 23時半頃
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ああ、そうだな…。
[苦々しい思いで吐き捨てる。
――我らを思い出す者はおらぬか?思い出しても畏れから口に出さぬだけか?]
村の年寄り共もどれだけ使えるやら。
[ヘクターを補佐する立場にある「キツネ」も、人口が増え、近代化へと向かう村に対し絶対的な力までは持っておらず、祭の形骸化を食い止めるには限界があったようだ。]
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>>222 リンドクヴィスト夫人。 まだそこは分かっておりません。 自警団の方の調査次第では分かるでしょうが、正確な情報を知りたければヤード……警察を呼んで正式に調査すべきかと思われます。とはいえ、祭の日にそれは無理な話かもしれませんが……
[続いて発せられる男の声に、鋭い視線を向ける>>227]
取材対象をからかって遊ぶような、信頼を失うような真似はできませんよ。「前夜の祈り」の写真撮影や、その場でメモを取ることすら自粛したというのに、そんな馬鹿な真似をしたら、全てが台無しになるでしょう?
ただでさえ「余所者」の私がさらに妙な真似をしたら、その時は私は「村から追い出される」だけで済むでしょうか?
……いえ、おそらく違う筈です。
(232) 2010/07/30(Fri) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 00時頃
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>>237 猪……熊…… それなら……まだ「マシ」かもしれません……
ですが……
[首をぶんぶんと左右に振り、頬をぴしゃりと叩く。]
ソフィア嬢のご遺体は、その……状態は「食い散らかされた」という言葉そのものだったんですが……
整然と、並べられていたんです。 身体の、パーツが。
まるで、マーケットの品物か、或いは美術品を展示するかのように、整然と。
(243) 2010/07/30(Fri) 00時半頃
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>>249
……そうですね。本当に。
[溜息をついて、首を左右に振る。]
けれども……それが私が見た光景の全てなのです。嘘偽りはありません。
それを「やった」のは獣らしくもあり、人間らしくもある……本当に奇妙な話です。
(253) 2010/07/30(Fri) 00時半頃
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[青年記者は、そっと目を伏せた。]
(「獣」であり、また「人間」でもあり、そしてその「どちらでもない」… そんな存在を、私は知っている……
……けれども、私は……)
(255) 2010/07/30(Fri) 01時頃
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(「それ」を告げてはならぬと、 私の胸が早鐘のように鳴るのだ。)
(258) 2010/07/30(Fri) 01時頃
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>>259 ……分かりました。 その「信じがたい光景」をご覧になりたいならば、ご案内いたしましょう。
その代わり……その、決して見ていて心地良いものではありません。何人かは、その場で吐いたり、倒れたりもしています。それでもよろしければ、現場までご案内します。
[村長夫人に一礼し、その場を辞した。]
それでは行って参ります、夫人。 くれぐれもご身辺にはお気を付けください。
(264) 2010/07/30(Fri) 01時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 01時頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 01時頃
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>>267 [何やら聖職者らしい男に、一礼する。]
どうもお邪魔いたしました。 私は、この村の「祭」を取材しにきた、イアン・マコーミックと申します。こんな事態の時に恐縮ではございますが、以後、お見知りおきを。
[聖職者に手短に自己紹介をすると、今度は「屠殺を生業とする」男の方を見た>>269]
ええ……そうですね。 私は殺人事件を追う記者ではありませんから、ヒトの遺体は見慣れておりません。軟弱と言われても仕方のないことです。
行きましょう。 ですが、これは人知を超えた世界なのかもしれません。 少なくとも私は、こんな世界を、民話やゴシップの世界のほかでは見たことがありません……
―→ソフィアの遺体が発見された森へ―
(275) 2010/07/30(Fri) 01時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 02時頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 12時半頃
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−ソフィアの遺体発見現場−
[青年記者は、屠殺を生業とする男を引き連れて森の中を歩く。時折、森の小路から大きく外れてしまうのを、相手に咎められながら。
巨木の傍で、2人の男は歩みを止める。 そして残虐さと様式美を併せ持った、奇妙な「惨殺死体置場」の縁に立つことにした。]
……こういうこと、なのです。 やはり私は見慣れることができません。 まして、婚約指輪を付けた指を見ると……
[少しだけ己の心情が漏れ出るのを、彼は彼自身に赦すことにした。 そしてイアンは、彼が案内した男の横顔をちらりと覗き見る。]
[ほどなくして、自警団らしき者や村の者たちがやってきて、何らかの宗教的様式らしきものに則って並べられた「惨殺死体」を、苦しそうな表情を浮かべながら運んで行った。]
(295) 2010/07/30(Fri) 13時頃
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……行きましょう。 ここにいても、これから先、何かができるわけではありません。
[踵を返して、歩き出す。]
その…もしかしたら、「祭」は中止になるのでしょうか。 いえ、私の「仕事」の問題ではありません。取材費は会社持ちですから。少しだけ恐ろしい思いをした他には、これといって損失はありません。
だから問題はそちらではなくて……
皆様にとっては大切だったのですよね。この「祭」が。村にとっては重要な意味があるものでしょうから。
(296) 2010/07/30(Fri) 13時頃
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−森の途中−
[青年記者は遅ればせながら自分の名を名乗り、相手の名と職業を尋ねた。そして…]
つかぬことをお聞き致しますが。 村長さんは、最近お亡くなりになったんですよね…… その、以前からご病気だったとか、そういう感じだったのでしょうか?
……いえ。せっかく取材にご協力いただけるお話だった上、うちの支社長とも交流があったとのことだったので。私の一存ではどうにもなりませんが、何かできないかと思いまして……**
(298) 2010/07/30(Fri) 13時頃
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[何故忘れる・・・何故・・・
こんなにも人の子は愚かだったのか?
我等が慈しみ護ってきた者らよ
幾度の潮の満ち引きと共に、汝のその英知はいずこかへ消えてしまったのか]
[ 同胞の憤りがじわりと伝わってくる。
「声」は殆どの場合において、音声による言語以上にその感情を能弁に伝える。
彼は伝わる怒りの感情を、舌の上で転がすようにじっくりと吟味した。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 18時頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 18時半頃
[聖なる樹、聖なる泉に捧げられし供物は、
再び人へと巡るだろう。
その肉体は人として大地に還そう。]
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ありがとうございます、ニールさん。 そうですか……村長さんは事故死でしたか。
[胸の前で十字を切り、溜息をつく。その横顔には、疲労の色がありありと浮かんでいた。 自分に向けられる尖った排他的な空気と、人知を超えた残虐な事件の中で、彼が寄り添う場所は皆無なのだ。]
普通に考えれば、祭は中止でしょうね。 皆さんの村の教えがそれを赦せば……ですけれども。
私がソフィアさんの死を私が悼んでも良いのなら、せめて村の端で祈らせてください。祭の取材には、また4年後に来ます。大丈夫、私は神に選ばれる器は持ってませんから、4年後もおそらく生きてます。
[ふと、自嘲的な笑みを浮かべた。]
(324) 2010/07/30(Fri) 22時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 22時頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 22時半頃
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……いいんですよ。 皆さんに望まれてもいないのに勝手にやってきて、取材だなんだと言う方が悪いんです。
[進める足の動きが、少しずつ早くなる。]
これからどうなるのでしょうね。この村は。 部外者の考えを押し付けても良いのならば、警察を呼んで、早く解決した方がいい……私はそう思います。ですが、長老さんがそれを否とおっしゃるならば、私はそれを「仕方ない」と思うことにします。
ああ…… 村長さんと電話で話したあの日が、まるで遠い遠い昔のようだ……。
[夏の空を見上げる。 空の色に希望を探したが、そんなものは何処にも転がってはいなかった。]
(330) 2010/07/30(Fri) 22時半頃
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>>329 ……ありがとうございます。
[「余所者もへったくれもない」。 その言葉はきわめて断片的なものだが、今の青年記者にとっては、それは刹那の安堵を呼び起こすに十分すぎるものだった。]
村長さんの……お悩み。 私には、村長さんの声がそんな風には聞こえませんでした。もっと希望に満ちていたような、溌剌とした……村の祭を知ってもらいたいという熱が、受話器越しに伝わってきたくらいでした。
(332) 2010/07/30(Fri) 23時頃
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[空を見つめていた視線が下り、自分よりも若い男の声がする方へと向いた。]
……どうも。お邪魔しております。
[自分に話し掛けられたわけではないことを知っているから、記者はそれだけをぽつりと告げた。]
(334) 2010/07/30(Fri) 23時頃
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[学者という言葉に、再び胸がずきりと痛む。>>335]
そうですか…… でも、私は「もう」学者ではありません。 そんなことで少しでもお元気になってくださっていたのならば、嬉しいのですけれども。
[過去を振り払うように笑うと、自分よりも随分と若くて無邪気そうな青年の顔を見た。]
ええ。イギリスの某新聞社からやってきた、イアン・マコーミックと申します。もうすっかり私の存在は「お騒がせ」なのですね。
……すみません。
(339) 2010/07/30(Fri) 23時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/30(Fri) 23時半頃
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[不思議そうに見つめられ>>346、曖昧な微笑みを返す。]
テッドさん。 今、広場はどういう状況ですか? 皆さんはご無事ですか? 随分と具合が悪そうな方もたくさんいらっしゃいました。
あれ以上のことは何事も無ければ良いのですが。
……祭のことも、皆さんのことも、心配です。
(348) 2010/07/31(Sat) 00時頃
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>>347 そう……なん、ですか。 村長さんがお亡くなりになった経緯が、村の方々には分からない……噂がいろいろ飛び交っているのですね。
[テッドの表情から、この村の情報伝達手段はさほど発達していないことを感じた。]
いえ、大丈夫です。 私はただ、あれだけ生きる力が漲っているように感じられた村長さんが急にお亡くなりになったことが信じられなくて。
理由が分からなければ、仕方ないです。
(349) 2010/07/31(Sat) 00時頃
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いけ……にえ?
[テッドの言葉>>351に、目を見開く。 慌てて口を噤む彼の様子を、眉をしかめて見つめる。]
何ですかそれは?
「ハジャアールトゥー」…… 「生贄」であり、「浄化」であり、「贖罪の巡礼者」でもあるという、祭特有の「言葉」……
「生贄」とは一体何ですか?
……いえ。質問を変えましょう。
「生贄」は「祭」に関係があるというのですか?
(357) 2010/07/31(Sat) 00時頃
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