235 夏の終わりのプロローグ
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―祭りのあとと、―
[明かりの消した裏庭を包んでいく、夜の帳。
消えゆく火薬のにおいに混じった、名残惜しげなヒナコと先輩の声。
もしもじゃないもしもの話に、首を傾げたマドカの声。
花火と共に落ちた、エリアスの疑問の声。
チアキはどんな顔をしていたっけ。
夢うつつな思考の中で、
寮生たちの顔が、声が、言葉が、
まわる、まわる。めぐる。]
―それから、祭りのまえ。―
[鳴ったアラームを止めて、寝ぼけ眼を滑らせれば、携帯の画面には8月8日の表示。
気象情報を開いたなら、明日の予報は2/1.雨 2.晴れ 3.曇り。]
……今日も、バーベキュー、?
[ぎしり、ぎしり。
軋むベッドの上で、寝返りを二度。
今日もまた、"きょう"が始まる確信。]
楽しみ――…だよね?
[楽しみだったはず。楽しみ、なのだけれど。
躍る心は何処へやら。何かが足りない気がして、じとりと滲んだ汗を拭った。]
[めぐる、まわる、顔と声と言葉。
ところどころに違和はあれど。
明確に認識しているのが自分だけだってことは、わかってる。
何をどうすればいいのかは、まだ。わかってない。]
[楽しみなことが、なかったわけじゃない。
今が楽しいのは、確かで。
明日も同じかどうかなんて、理解らなかっただけ。]
[留まっていたかったのは、懐古して憧れた"きょう"。
毎日少しずつ塗り重ねられていく絵のように。
毎日少しずつ姿を変えていく、終わらない"きょう"。]
[なんとなく。
なんとなくだけれど、予感はあった。
明日があるから。
そんな気持ちで臨んだバーベキューは、それはもちろん楽しくて、充実した時間だったけれど。
明日があるから。
そんな甘えが、安心が、まるで当たり前の物のように、受け入れてしまっていたから。]
―祭りのあと―
[ ほたり、 と。
黒い地面に落ちて、一瞬だけ火花と共に、最後にはじけて。
そうして消えてしまった線香花火の光に、細めていた瞳を、ゆるり、細めた。]
[夏休みなんてすぐ終わるんだから。
そんな自分の言葉は、だんだんと遠くに離れていったけれど。
取り壊されてしまうらしい貯水槽の下に住み着いた、裏庭の子猫の居場所が無くなってしまうのも。
賑やかな時間が終わってしまうのも。
それがしばらく、訪れなくなるのも。
打って変わったように、ひとりの時間が始まるのも。]
寂しかった、……けど。
["明日"からしばらく寂しくなるからこそ、最後の一日が楽しみで。
次がないからこそ、一度だけのバーベキューは、とてもとても楽しかった。
同じ日を重ねたからこそ、最後の一日がこんなにも楽しかったのか。
それとも何も知らず"明日"を迎えていたなら、その思い出を噛み締めていられたのか。
それは、わからないけれど。]
[満足げに呟いた言葉と、消えてゆく花火の光。
遠く聞こえる虫の音と混じり合いながら、湿った夏の夜の空気に溶けた声と、熱。]
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