85 私達しか、居ませんでした。
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――回想・出勤前、自宅から墓地へと――
[火照る身体を静めたい一心で、訪れた墓地。
欲望、渇望、――求める儘、]
ヨーランダさん。
[ナイフを彼女に振りかぶる。
ヨーランダは驚いた表情を浮かべたが、
ふっと冷たいかんばせをして、
私を、軽蔑した]
……貴女は黙って殺されれば、それでいい
[殺めたいの?幸せを壊したいの?と彼女は問う。
そのとおりだと頷いた。]
[ヨーランダはくるりと手を回して、
イリスに「魔法」を掛ける。
罪と咎に苛まれながら生きていく魔法。
「赤い世界」
同胞の声が頭を過ぎった。
そう、全て赤に染まってしまえば其れで良かったのに。
なのに、ヨーランダの「魔法」は、
心までも白に染めてしまう―――]
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