126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜
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……イ…アン……。
[疼く右腕が求めているのは、この村にいる誰よりも
俺に近い存在の命だった。
失うからこそ誰も近付けず、
守れなかったからこそ力と命を求めた結果。
何より俺に近い存在の命を、魔物である俺は求めたのだ]
お前達ニハ贅沢すぎル。
[魂も魔力も勿論だが、抜け殻となった遺骸でさえ。
回復出来なかった事を残念に思うと同時に]
ヲ前達はこれで3人一緒カ。
[面倒な筈なのに。
少しだけ、これでも良かったのかもしれないと
残った理性が何かを想う。
解放された先に、その魂は何を想うのだろう。
そんな感傷の様な思いを持ちながら、
2人の遺骸に近付く雑魚を喰い尽していた]
イアン…か…。
[降り注ぐ雨の中、掻き消される名前]
[ヴェラと戦いながらも、隙を見て遺骸に近付く魔物には
遠慮なく尾を振い叩き潰す。
放置していても朽ち果てるだろうが。
朽ち果てるまでは……魔物に穢させたくはなかった。
何も残っていない遺骸だからこそ。
魔法使いとしての姿を残してやりたいと思ったのは。
久しぶりに大勢の魔法使いに関わったから
何か鈍っているのだ]
ヲ前の群レは強いナ。
[ヴェラには一切の言葉を話さないが、
その眩いほどの魔法使いの誇りに目を瞬かせる。
彼ほど強ければ、あの時何かが変わっていたのかもしれない]
全テ、過去だ。
[だがもう何もかも遅い。
何も変わらない。
変わるとすれば、彼が死んで、俺が喰う事]
イアン…。
[そうか、それ程大切か。
魔物と化しても酷く冷静な視線が霧と化したイアンと
ヴェラの右腕を片目で見つめる]
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