人狼議事


256 【突発RP村】胡蝶の夢

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[喉を震わせながら、私は“囁く”。]

あなたたちは、“何”?

[人の言語を超越した、赤色の音となって、
それは空気に乗っかって飛び立った。*]


何かって?

それは“仲間”、だろう?

[聞こえた囁きに、一人廊下を歩きながら、ヒトではない声で、つぶやく。]





“獣”、さ。

[次いで返った声はどこか吐き捨てるように。もう、困惑と驚きを見せない。
姉によって詳細に語られたこの場所に集まる者達に潜む存在のこと、
それを踏まえ、一つの結論を出していた。]

お前は違うのか?


なかま?

[最初は、ピンとこなかった。
だって私は何も分かっていない。]

……けもの?

[疑問符は残るものの、なんとなく伝わる。
人間とは異なる存在である、その事実。
驚いたのは、——その声色は、聞き覚えがないわけではないこと。
人狼は、こんなに近くにいたのだろうか。]


私は、獣ではないです。

でも、人間でもない。
何も生み出せない、ひとりぼっちの、ただの土塊です。

[何故か、本能的に。
怖くて誰にも打ち明けることがなかった自分のことを、伝えなきゃいけないと思った。

私は人間じゃない。
人間じゃないのだから、同じく人間じゃない人になら、きっと、
拒絶されたりなんかしないよね、って、盲目的に。]


[そうなってくれなければ、
   人の味を知った俺は。]


……そんなこと、言うものじゃないよ。

[この女性らしき声は誰だったか、幾つかの顔を想い描きつつ。返ったのは思いもよらない答え。
それはつまりどういうことなのか、理解は出来なかった、が。
己が人ではないと知った時の気持ちがどんなものだったか、考えれば自然にそう返していた。]

しかし、変な奴だね。
獣じゃないのに俺達と話せるのか。


人間ではない、だから、仲間だろう?
ここで話せるとは、そういうことだ。

[若い二人の会話を聞きながら、そっとほくそ笑む。
数日後に、この“仲間”たちと別の場所を求めて歩くことを思い浮かべながら。]


どうして?

だって、お母さんとお父さんが教えてくれたんだもの。
私は土塊から生まれたんだって。

[耳許で聞こえる男の囁きは、心の痛みを突つく。
話しすぎないように抑えようと思ったけど、つい。]

……昔、本で読んだことがあったから。話し方。
私にできるとは思ってなかったけど。


人狼が自警団員さんの仲間っすか、
それはまた、ねえ……。

[その時、確信に至るものがあった。
本能としか説明は出来ないけれど、この男がやはり、と。
昨日自分が寒空の下で待とうとしてまで距離を取りたがった理由を、今更ながらに理解した。]


[私にも多くは理解できていない。
けれど、声は確かに私を仲間と呼ぶ。]

……あなたたちは。
何かをしようと、しているの。

[胸の奥が、高鳴る。
その正体を確かめようと問いかけた。]


[その男が傍を通りかかった時、囁き声の主の顔を、確信した。

人間の群れに混じった、ふたりの獣を。]


土塊、……本……はあ、そっか。

[相変わらずこの子の、花屋の娘の言うことは分からない。後者はむしろ、己が無知なのかもしれないが。
そんな筈がないと、そう思う。
獣でないのなら、人間だろうと。
けれど家族のことまで持ち出されると、これは簡単に首を突っ込んではならないのだろう、と。
姉の夢みがちとは違う印象を持ち、相槌と共に引き下がった。
信じていないことが隠せてないのは、否めない。]

……何かをしようとしてるんじゃない。
何もせずに済みたいんだ、俺はね。

[その胸に何が宿るのかを知らず、ただただ切実な本音を口にする。

今はまだ、けれど夜になれば、どうなってしまうだろう。]


[青年の言葉には、笑みを含んだ声で]

“便利”、だろう?

何かを?
生きているだけだと、ただ、単純に。ヒトと同じように。

[少女の質問にはそう、静かに答える。
青年の苦悩は聞いてはいるが、咎めも慰めもせず。]


便利、……か。

[繰り返すだけの、意味の無い呟き。
彼が口にしたその言葉にどこか余裕と貫禄を感じた。
多分、雄の人狼としての。
年上であろう男は、獣としても己より時を重ねているのだろうか?]

まあ、俺を捕まえる気がないのなら、何でもいいさ……。


捕まえる?

[くくっと、喉が鳴るように笑いがこみ上げる。]

自警団に捕まるようなことを、したんだな。


[私はこの場所に集った人たちが好きだから、
私が好きな人たちだから、

この人たちと、こどもを作ることができたらどんなに楽しいだろう、と、

そんなことを夢に思い描いては、虚ろに笑む。]


[人狼たちが言うことは、私にはよくわからない。
何もせずに済みたい、ただ生きているだけ。
ならば、“仲間”とはなんなのだろう。
私が役に立つことはないのだろうか。つい、笑みが曇った。

それならそれで仕方ないと、口を閉ざす。
人間でも人狼でもない、ただの土塊は所詮、何もできやしない。]


[誕生日を持たず、
知恵も足りず、
両親の愛に報いることもできず、

普通の人間とは違った生まれ方をしたせいで、
父とも母ともかけ離れた容姿を持ち、

自らは子供を作ることもできない、
いのちを育むこともできない、
ただ店先で笑うしかできない私は、惨めで、情けなくて、

壊れていきそう。]


[——この人狼騒動の記録が、後の世に残っていたならば。

アイリス・ハーノットは狂っていた、と、一つの事実が書かれているだろう。]


[そう、何もせずに済みたいと言いながら、喰らった罪を咎められたらと昨夜落ち着かずにいた奴なんて。]

っ……

なんだよ、どうせ気付いてたんだろ。

[自覚はあれど、失言に言及されると息が詰まる感覚があった。]


この近くに“仲間”がいることはね。

いいさ。
これからのことだって、咎めはしない、お互いに。

[これから。ただ“生きる”ために行うのだから。人にも咎められる謂れはないはずだ、と。]


これから……

[その意図するところを考え、声は沈む。
それでも尚、否定は出来ない。己だってこのままでは、また繰り返すのだろうから。]

やはりあなたも……腹が減って、喰うのか?

[人を、とは
未だ口にするのは躊躇われる言葉だった。]

人狼とは、そういうものなのか。


それはそうだ。

……愉快犯も、いることはいるがね。
私はそこまでではない。

[淡々と。何の感情も持たないような声音で。]


そっか。
人狼なら皆、同じなんだな。

[感心しているのがありありと表れている
この程度のことも話を聞いて漸く確信出来たのだ、なんせ彼が初めて出会った同胞だから。]

……今まで沢山、喰ってきたのか?

[なんて続けざまに質問を投げたのは、その声に感情を見つけられないから。
気軽に聞く内容ではないと、己の声は小さくなったが。]


アイリス。

[暫しの間、彼女の声は聞こえていない気がしてそう呼びかけた。]

もしかして、怖いのかな。

[検討違いとは知らぬまま抱いた感情は心配、だろうか。
獣ではないらしい彼女に告げ口をされるという危険性ではなく、恐れられたかと気遣う。
己もまた、少女を仲間と認識している自覚は未だ薄い。]


ああ、そうだ。たくさん食った。


……考えてもみろよ。

人は、食った牛の数を覚えているか? 絞めた鶏の数を数えているか?
そういうことだ。

[小さくなる彼の声に対して、自分の声は大きくなる。
せせら笑うような声音で、何を笑うのかは、判然としないまま。]


……そうか。

[呆けたような、哀しむような、静かな相槌。
己と彼に大きな違いを感じて、複雑な気持ちだった。]

あなたは、人狼として正しく生きているのだろうね。


[赤い囁きを、じっと聞いていた。
食べる、とか、そういう話——

知ってる。キャサリンから教えてもらったもの。
人狼は、人間を食べるって。
今の今まで嘘だと信じ込んでいたから、キャサリンにはごめんねをしなきゃ。

不意に話しかけられて、じっと考える。

怖いのかな、私?
どうなんでしょう。
怖い、という感情は、探してみても見つからないけど、でも。]


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