24 明日の夜明け
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(一度に、ひとりだけ)
(ふたりには偉そうに言ったけれど、誰を選ぶの)
(それは、大切な人?)
(――わたしの大切な人って、だれ)
うん。合流できるといい、ね。
……。
[何となく、心の声のさらに心の声が聞こえた気がした。この守護神の力の、ある意味で弊害だろうか]
(……髪、準備しておこうかな)
[の少し元気が出た様子に、*くすりとした*]
[そういえば、マーゴはどこに居るのかと]
もう、図書館に戻ったのかな。
[肯定の返事が返って来ただろう。それならば]
テーブルの上の飲み物、飲んでいいからねー。
[いつもの調子でそう言う。
まだ自分の渇きがない異常には気付かずに]
わたしも、逃げるよ。
みんなを帰すまで、絶対に生きていなきゃ。ね。
[何となく彼女の"貞子姿"を思い出し、笑っただろう]
あ、これ先輩が用意してくれたんですか?
ありがとうございます。いただきますね。
[そう言って、何度か口をつけているだろう**]
どういたしましてー。
[マーゴにそう返し。決意を込めるように、手を握った]
そういえば自動販売機、破壊したなー。
弁償させられたらどうしよう。
[この状況に似つかわしくない呟き。
それは空気を明るくしようという作戦だろうか]
よし。生きて帰って、みんなのせいにしよう。
[しかし、どこまで本気か分からないのがスタイルなのであった]
外の渦巻きにだけは、触れては駄目。
……嫌な感じが、するから。
[心の声で、ふたりに警告を送った**]
[なぜか不穏な気配・を感じて、ゾクリとした。
心の中で両の手を頬にあてて、再び級友の言葉を借りる]
(『逃げろ。逃げろ!おまえらだけでも逃げろ。』)
……て、先輩。破壊しちゃったんですか。
この力じゃ、自販機の再生はできませんよね。
そうですね。生徒会費で予算組んでもらいましょう。
[なんて笑いながら、冗談で返す。
渦巻きの話には『何かありました?大丈夫ですか?分かりました』と答えて。そして]
赤い月が来て、『敵』が来て。
『敵』が諦めた境界に押し戻せる、って言ってましたよね。
……赤くなるまで、どの位時間、残ってるのかな。
[そうなれば、逃げて。逃げて。
あまり話す余裕はないかもしれないとそう思って、*きり出した*]
先輩とマーゴは、一番に帰したい人、決まっていますか?
[メアリーの提案に、ふむ、と頷いて]
生徒会費、か。
ソフィちゃん、そこはしっかりしてるからなー。ううん。
まずは会長を抱き込むのが、先だね。
[ふふ、と笑う。自動販売機の話はそこで終わりにして。
渦巻きは北門で感じたことを説明しただろうか]
[青い月。それを見上げながらに]
どれくらい時間があるのか……。
[説明されなくても、方法は身体が知っている。
隣のサイモンに気付かれぬよう、そっと掌を見つめて]
"その人"が見えている時しか、飛ばせない。
それだけは覚えておかないといけないね。
[質問の問い。なかなか返答をしないまま、時は過ぎる]
[ズリエルに会ったなら]
メーちゃん、裏庭でズリエールくんに会ったよ。
[と、伝える。右手の傷については、何も言わずに]
[そっと、そっと、メアリーに問いかける。
マーゴのことは深く知らないけれど、彼女は屋上仲間だったから、
色々な話を少しは聞いていたのかもしれない]
……メーちゃんは、1番に誰を選ぶの?
[脳裏に甦るのは、まだ新しい記憶。
夕方の自習スペースで、仲良さげに会話するふたりの影]
フィリップ、くん――?
[声にするつもりではなかったのに、つい零れてしまって]
[北門と渦巻きの話をこくこくこくと頷きながら、聞いて]
……そうみたいですね。
[守護神に説明されなくても、なぜか分かった事。
やはり先輩も同じ事を思ったのだと思って。そして]
携帯もおかしいみたいだから。
帰す人とは、『種』を植えるまではできるだけ一緒にいた方がいいかも、しれませんね。
[『敵』が襲ってくるというのに、それは叶うか分からないけれど。
そして、ズリエルの話には]
そうですか!屋上で別れてしまったので。
無事で良かった。
[月は青いから、敵に襲われたはずはないのだけど。そんな事を言って。
手の傷の事は知らず。そして、零れた問いには]
……。
――……はい。
[ごめんなさい。謝って、済む事ではないけれど。
私はフィルを、助けたい……]
[全員の幸せは望めない力。
フィルを苦しめていた力。なのに。
私も同じこと、するんだ……]
(……なんて、思うかな)
[胸をぎゅっと掴む]
(ごめんね。でも。今回だけは。願う事を、許して)
[ううん。例え許して、*もらえなくても*]
[帰す人とは出来るだけ一緒のほうがいい。
そのメアリーの言葉に、心の中だけで頷く]
そうだね。出来るだけ、そのほうがいいかも。
それか、チャンスを逃さない事が大事、かな。
[ただ"敵"は対抗出来るものなのか、などと、
メアリーと同じようなことを考え込み、そして――]
[メアリーの肯定する声は、消え入りそうに聞こえて。
それでも強い意志を感じさせるそれに、きつく手を握り締める]
謝る事なんて、ないんだよ。
[雰囲気から、それを察して。彼女を包むように]
大切な人がいるって、――素敵、だよ。
助けたいと思うのは、罪なんかじゃない。
わたしは、そう思う。
[彼女の葛藤が、全て分かるわけでは決してない。
だから自分に掛けられる言葉はこれしかなかっただろう]
(でも、現実は無常だ)
(助けられる力を持つ者は、3人いるのに)
(1度のチャンスに、ひとりだけ)
[保健室の窓越しに、闇に浮かぶ伝説の樹を見つめる。
まだ月明かりは青白くグラウンドを照らしていた。
長い長い沈黙。そして心の中で、ふたりに問いかける]
……種、いくつ蒔いても、ひとりだけ。
どうする? 3人で1人に決めてから、植える?
それともバラバラに植えて、――運命に任せる?
[密やかで、真剣な声。それは非情にも聞こえるか]
わたしは……バラバラで、いいのかなって思うけれど。
[大切な人をこの上選択するなど、出来るのか、と。
そうして静かにふたりの返答を待ち続けるだろう。
自分自身の答えは出さない……出せないまま。時は過ぎていく]
ありがとうございます。
でも、いいんです。
本当の事だから。
[そうして、『種』の事には]
分かりました。そうしましょう。
[本音はどうしても、帰したい。だけど。
そう自分が思う様に、2人も誰かの無事を願うのだろう。
ぎゅっとする胸を抑えて、同意した]
[のホリーに答える]
外の渦巻きは、危険なのですね。
……つまり、物理的な脱出は、やはりほぼ、不可能なのですね…。
[のメアリーには]
一番に、か。…んふ。いまだと、メアリーとホリー先輩は、帰してあげたい、かな。
…でも、私にはそれは、できないような気がする。なんとなくだけど。
守護神様の力、二人より私の方が弱いかも。
優しくしてくれたルーカス先輩や、助けてくれたっていうカルヴィナさん…助けたい人でいっぱい過ぎて、なかなか、決められないね。
[誰かを救う事を、3人で決めるか、という話は]
……その時、その時でいいんじゃないでしょうか。
基本的には、助けられそうなとき、助けたい人、目の前にいる人に――。
何か、この人を助けなければ、と思えることがあったら、その人を。
わたし達、こうして心で相談できるんですから、困ったら話しあえば、いいと思うんです。
[メアリーとマーゴに、頷いて]
答えてくれて……ありがと。うん、そうだね。
[そしてマーゴには、これも伝えておく]
保健室でソフィちゃんが起きたの。
もうすぐ、図書館に戻るね。体調は大丈夫?
よかった。ソフィアちゃん無事なんですね。私は大丈夫です。
…じゃあ、私は多分、ここを動かない方がいいかな。
あ、こちら、メアリーも来ましたよ。
[そう、ホリーには答えた]
敵が、来るの? ――気をつけて!!
[メアリーとマーゴに、心の中で叫んだ]
そっか。ありがとう。
[帰してあげたいと言われて。それしか言えなかった。だって。
同じ力を持つ2人だから、今すぐにはとは言えないけれど。
手遅れにならない内に、2人は自分が帰したいと思っていたから。
そして]
……そうだね。
[こくりと頷いた]
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