308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[7人目は何かぶつぶつと呟いていたが聞き取れなかった。 なぁにって言おうとして、もういいやって腕を動かした。
――だって、 この世界にはもう、かみさまはいないのだから。
ミケは、ずっとこんな気持ちだったのだろうか。 ずっと遠くにいた彼に、ほんの少し近づけた気がする。
そして、土の山は6つになった。]
(165) Pumpkin 2020/10/29(Thu) 06時頃
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――♪
[名も知らぬ歌を紡ぎながら、車はまっすぐ東へ進む。 誰を傷つけても、やがて訪れる最期まで生き抜くために。
――それは、彼に唯一与えられた呪い(いのり)だった。]*
(166) Pumpkin 2020/10/29(Thu) 06時頃
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[荒野にポツンと建つ気象観測所、その屋上にて]
[―――――タンッ]
[うつ伏せになった男がスコープを覗きながら静かに引き金を引く。 軍人の男は、スナイパーだった。 建物の近くへゾンビが近づいてくる前に、こうしてゾンビを倒しているのだった。
――――――タン、タンッ
[1体、2体。 肉眼でも、遠くで歩いてた人型のそれがどさりと倒れる様子がかろうじて見える。 よく当たるな、と感心しつつ、僕はスナイパーと空を後ろから撮っていた]
(167) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[ここに来てからもう6日経った。 ここにはスナイパーの彼と、 通信手段の修理を試みる軍人の女性と、 僕の3人しかいない。 生存者を探しに行こう、と提案した事もあったが、もう生きてる人はいないだろうというのが彼らの結論だった。]
『奴らの動き、見えるか』
[スナイパーとしての一仕事を終えた彼が、双眼鏡を僕に手渡してからタバコに火をつけた。 ヤニの匂いと煙が、風に流されていく。 僕は渡された双眼鏡を覗いた。そして自分が元いた街の方へと目を凝らす。]
………見える。まだけっこうな数いるな。 …みんなのそのそと、ゆっくり歩いている……
『そう、それが重要だ。 もしも生存者がいれば、奴らはそいつがいる建物を執拗に襲うだろう。 外にいるなら尚更だ、ゆっくり歩くことはない。 今はそんな気配が見られない。』
(168) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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…つまり………………… 『もう生存者はいないだろう』
[言い淀んでいたその続きの台詞を、男はなんの躊躇いもなく口にした。]
……いや、まだ断定はできないだろう? 僕達の他にもまだ生存者がいれば、 力を合わせてこの状況を打破できるかもしれない
『は?馬鹿か? この状況を見てまだ生きられると思ってんのか? どうせ死ぬんだよ、俺も、お前も』
[あぐらをかいて呑気に煙草をふかす男の言葉に、少し苛立ちを覚える]
やってみないと分からないじゃないか 希望を捨てちゃいけない! [詰め寄って強い口調で諭す僕を、彼は鼻で笑った]
(169) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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『いや、どうせ死ぬ。 俺はいつでも死ぬ覚悟はできてる。 ただ、ゾンビになって死にたくはねぇ。 それだけだ。 死に方くらい自分で選ぼうぜ、お前もそう思うだろ?』
[…暫しの沈黙。目を閉じて考える。そして結論が出る。]
いや…僕は死なない。 死ぬわけにはいかないんだ。
[ロケットペンダントをギュッと握りしめた。 彼女は日本で僕の帰りを待っている。ずっと。 だから僕は生きて日本に帰らなきゃいけないんだ。 彼の目を真っ直ぐ見つめて、言葉を紡ぐ]
死に方なんか考えない。僕は生き方を考える。 絶対に生きて帰るんだ。 …妻のためにも。
(170) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[スマホが電池切れになり、結局妻とは全然連絡が取れていない。 SNSの返事>>6:*2も確認できなかった。 それでも、彼女は生きているという根拠のない確信があった。 連絡が取れないことは不安だったし寂しかったけど、 絶対に生きていると信じていた。]
……明日香…
[ロケットペンダントを開いて、その笑顔を見つめる。 目を閉じて、彼女の声を思い出す。 そう、今度もまた、いつもみたいに空港で彼女が「おかえり」って抱きしめてくれるはずだ。 だから、絶対に生きて帰らないと。]
(171) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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――その日の夜――
2人に相談がある。
[荒れ果てたオフィスの部屋に2人を呼び出した。月明かりの入る窓際にテーブルを移し、その上に地図を広げる]
僕達のいるのがここだろ? 西のこの街はもうダメだった。 南もおそらく既に生存者はいない…だろ?
[赤ペンで街の上にバツをひきながら、男に確認する。 男は腕を組みながら、こくんと頷いた。]
北は山脈で東は荒野だ。一見するとどこにもいけない。 だけど、東の更にその先に行くと…空港があるんだ そこまで行けば生存者もいるかもしれないし、 食糧もあるかもしれない。だから… 3人でこの東の空港に行ってみないか?
[地図上に現在地から東へ向かう矢印を描いて、2人をじっと見つめた]
(172) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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『お前、馬鹿か?』
[男の反応は、十分に予想していたものだった]
『その空港、敵国のだろう? 国境はまず越えられないだろう。 そもそも距離がありすぎる。 どう考えても無理だ』
(173) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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いや、この緊急事態だ。 紛争もおわってる。今人類共通の敵はゾンビだろう? 向こうの国の人達だって迎えてくれると思うんだ。 今度は一緒に力を合わせて戦う時じゃないのか?
『無理ね』
[冷淡な蔑んだ目で女が言う]
『少し前まで私達はあいつらに銃口を向けてたのよ? あいつらが迎えるなんてありえないわ。 それに、あいつらと一緒に食糧を分け合うなら 私は死んだ方がマシだと思うわ』
(174) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[2人共ここから出て行く気はないようだ。 2人の偏見は、想像していたよりも根深かった。 それでも何とか3人で出ようと、説得を続ける。]
生き残るためには 今動けるうちに行動したほうがいいと思うんだ。 食糧も残り少ない、銃弾だって限りがある。 いつまでもここで閉じ籠ることはできない。
『だが、出て行けばゾンビに襲われるぞ』
(175) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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いや、荒野には元々人が住んでいない。 ゾンビもきっと多くはいないだろう。
『不確定事項ね。 完全にいない、とは言い切れないわ』 『それに、空港に食糧があるとも限らない。 空港に着けば助かるという考えは甘すぎる。』
行ってみないと分からないじゃないか
[話はずっと平行線のまま…]
(176) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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…分かった。 なら、僕1人で行く。
『そうか、好きにしろ』
[男はぶっきらぼうにそう答えると、部屋を出て行った。
僕は地図を乱暴に畳んでザックに押し込む。 コンパス、2.3日分の食糧と水、電池の切れたスマホ等を背負って 久しぶりに入り口のドアを開けた。 月の明るい夜だった。]
(177) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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『ちょっと待って!』
[建物から出発しようとしたその時、後ろから声がした]
『歩いて行くなんて自殺行為よ これ、持って行きなさいって』
[女が投げたそれは、宙を描いて僕の手の中に収まる。 …バイクの鍵だった。]
『どうせ私達は使わないから。 言っとくけど、ガソリンもそんなに無いからね それでもいいなら使いなさい』
…ありがとう。 空港に着いたら、すぐに君達の事を伝えるから。 救援が来るまで、待っててくれ。
[女は苦笑いしつつも頷くと、ひらひらと手を振って建物の中へと入って行った]
(178) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[バイクに跨り、エンジンをつけた。 アクセルを数回回してエンジンを温める。 …よし、まだ使えそうだ。
東に向かってスピードをあげる。 ふと、南東方面にどこからか迷い込んだゾンビを見つけた やばいと思ったその瞬間、ゾンビの頭に何かが当たったようで、ゾンビはその場に倒れ込む。
誰かが僕の背中を見ている気がした。 サイドミラーをちらっと見たけれど、建物の暗い影がどんどん小さくなっていくのが見えるだけだった。 心の中でありがとう、と呟きながら 僕は東へと土埃をあげながら進んで行った*]
(179) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[少年たちの行動は。 校舎に残る人々の目には、どのように映ったろう。
無謀きわまりない。 若さ故の過ち。 死に急ぎ野郎たち。 漫画の見すぎ。
そう揶揄う大人が多かったことは、事実だ。 だが、止めるものはいなかった。 それもまた、事実だ。]
(180) nordwolf 2020/10/29(Thu) 23時半頃
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[ーーーパシャッ
パシャッ パシャッ、パシャッ パシャッ]
(181) nordwolf 2020/10/29(Thu) 23時半頃
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[誰かが撮った写真は。
ネットの海に、流れた。]
(182) nordwolf 2020/10/29(Thu) 23時半頃
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ー 北関東某所 ー
[その画像のうち何枚かは、バスもめったに停まらない山村に新しい暮らしを求めた少年のもとへも、届いた。 少年は、大きな瞳から大粒の涙をボロボロ零し、ブツブツと切れる電波と戦いながら、それらの画像を拾い集めた。
集められた画像は、まとめて、SNSにあげられた。]
(183) nordwolf 2020/10/30(Fri) 00時頃
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☀KENT☀ ーーーーーーーーーーーーーーー 彼らは、ぼくの自慢の、友達です。 お願いです、ひとりでも多くの人が、彼らのことを、覚えていてくれるように
#キカンシャ工業高校動屍斃隊 #ゾンビに負けるな
[背を見せて笑う少年たち。 そして、誰かが撮った、たくさんの画像。]
ーーーーーーーーーーーーーーー
(184) nordwolf 2020/10/30(Fri) 00時半頃
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[ 拡散希望** ]
(185) nordwolf 2020/10/30(Fri) 00時半頃
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――中東、荒野にて――
[道なき道を走る1台のバイクがいた。 舗装されてないとはいえ、乾いた大地は思っていたよりも走りやすかった。
時々コンパスを取り出して、方角を確認する。 GPSが使えないから自分が今どこにいるかも分からない。 とにかく真っ直ぐ東へ進むしかなかった。
黄色い土と所々生えている雑草。 見渡す限りの地平線。 まるでこの地上に自分1人しかいないような、そんな錯覚がした。
そう、もしかしたら今までの事は全部夢で 次の街や空港に着いたら、普通に人々が生活しているかもしれない]
(186) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[普通? ふつう、って、なんだっけ]
(187) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[照りつける太陽と長時間の運転。 疲れていないわけがなかった。 変わりばえのない景色をずっと見ながら、色々なことを考える。
ふつう、ってなんだ?
それは、明日香と一緒にご飯をたべること お互いくだらない冗談を言い合いながら笑うこと 好きな歌を2人で歌うこと
そうだ、そんな日常が、日本で僕を待ってる だから早く東に行って、明日香に会いにいくんだ]
(188) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[ゾンビだらけになった非日常の世界から抜け出して、 今はひたすら荒野を駆け抜ける。 夕陽が背中を押して、前方に影を作っていた。 そして徐々に空は赤、濃い青、黒へと変わっていく。
その頃、ついにバイクはスピードを出せなくなった]
くっ…、動け…!
[アクセルを回すも、 バイクはもううんともすんとも言わない ガソリン残量のメーターはEの下をさしていた]
ここまでか…………
[バイクを停めて、近くでごろんと大の字になった]
(189) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[空には無数の星が見えた。 天の川の白い帯もくっきり見えた。 人口の灯りが無いと、こんなにも綺麗に見えるものなのかと感心した。いつもそこにあるはずなのに、見えていなかっただけなのだ。 きっと月が無ければもっと見えていたかもしれない]
明日は満月かな………
[月明かりがバイクと兵太郎を照らしていた。 ここでゾンビが来たら一巻の終わりだなと思いつつも 疲労困憊の身体は、迫りくる睡魔に抗えず ゆっくりと意識を手放した]
(190) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[翌朝目が覚めた後、カロリーメイトを1本だけ食べた。 昼間は暑すぎるので、夕方になったら出発しようと バイクの小さな影の部分に座った。
そこで、ずっとペンダントの写真を見ていた。 彼女の笑顔が、何時間も兵太郎を見つめている]
待ってて… …生きて、帰るから…………
[力の無い声で、そう呟き続けた]
(191) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[日が傾き始めた頃に、歩き始めた。 コンパスを手に、真っ直ぐ東へ向かう。
相変わらず変わりばえの無い一面の荒野。 地平線しか見えない景色に、一歩も進めていないのではないかという錯覚を覚え、気がおかしくなりそうになる]
…明日香、僕は…………
[僕は、諦めない 君に、会うために。 その気持ちだけが、生きる原動力だった]
(192) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[そうだ、歌を唄いながら歩こう。 そうすれば頭が冴えるかもしれない。 明日香が好きな、明日香がよく歌ってた曲は なんだっけ]
…僕は、歩く
[そうだ、この曲…… 今の僕にぴったりの曲かもしれない。 掠れた声で、歌う。 歌うというより、呟く、に近いかもしれない]
…徒然な日 …新しい夜、僕は待っていた
[日が沈み、徐々に視界が暗くなる。 それでもまだ目的地には着かない。 休む事も億劫になって、ひたすら足を前に運んだ。]
(193) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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