204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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うん……。いい子だね。
[頷き返し、栗色とビスケット色を触れ合わせた。]
僕がトレイルを食べたら……僕だけが、残される。 それで 良いの? それでも、良い?
僕を置いて、僕を棄てて――…。
もっともっと、痛くなるのに。
それでも、君は――
[食べてと、言うの?]
(448) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[痛くて、苦しくて。
辛い、それが伝わってくる。
でも、どこかで。
血を、味わってみたいと思う]
……フィリップ。
――
[ただ呼びかけることしかできない。
きっと、いま、いけば。
血の匂いに酔ってしまうだけになる]
[視覚情報は シメオンの腹わたを伝える
その頃には 心は次第に沈黙していく
悲鳴をあげる体力も
失った心が ころりと 転がる]
ーーーたすけて………………らるふ……
[彼の思う心を知らぬまま ぽつりと]
[助けを求められて、はっと顔をあげる。
伝わる、はらわたの、その感覚。
自らの血の匂いが、腹を割いたものであるかのような錯覚
くらり、めまいがする]
……うん……
――――いま、いくよ……
[いったところで助けになるかわからない、けれど。
それでも――]
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[鮮やかで歪んでいる欲望を、衝動と共に奥へ奥へと押しやる。
眼底が疼く。あの男とは違うのだ。 じっと瞳を見詰め。 その奥の、意志の光を捉えようとして。]
……そう、か。良かった。
よか、 た。
[首を振ったトレイルに頬を寄せる。 彼の望む音が、あるとは知らず。
願いを 知らず。]
(470) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[下についたときにはきっとすべてが終わった後。
ただ、血に染まったフィリップを見て、呼びかける]
フィリップ――
[助けは、間に合わなかっただろうか**]
[結局 誰も来なかった
シメオンを食べる間 誰も]
ーーーーーーーー…………っ
[声を押し殺すように 心が泣いた]
………………ラルフ
[血ぬれのまま 呟く その心は 静かだった]
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――けれど、ねぇ。トレイル。 僕は、君が 誰かに食べられるだなんて、
嫌、なんだよ。
[この髪も、この肌も。 僕が居なければ、君は生きていけないだろうに。]
『僕を食べて』だなんて……
どうか、僕以外には 言ってはいけないよ?
[1枚の板で隔たれた向こう側で。 食われた身のあることを知らず。
止めていた手を動かし、トレイルの背を撫でた。]
誰にも。だれにも……。 そぅ、フィリップにも―――ね。
(481) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[傾げた首に答える。]
一気に食べてしまわないように、 君が死んでしまわないように、それぐらいは――…ね。
[試した事はないけれど。きっと今のように抑えられると過信する。
わざとフィリップの名を出した。 浮かんだ困り顔に、苛として。]
……トレイル?
[傷口から血が溢れているから。 彼の手を取り、赤に染まった指先を口に含み、綺麗に舐め取った。十指を全て。]
(493) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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ん? あぁ……そうだね。
[じっと見上げる瞳は永遠の色。>>486 揺らぐ湯面の下、落ちた指環。
そう。新しい家族の証が必要だ。
服に隠れる胸元へ、1輪の華を添えようと。 ニコラにもと考えて、胸が……傷んだ。]
……外に、出たい?
[止血の為に布を押し付ける。 他に、綺麗にしておくものはあるか。上から下まで眺めやる。]
(496) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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[どうにもならないもの以外、出来うる限りの願いは叶えてきた。
いつも満たされないのを知っているから。
それでも生きようとする君が。 声を失ってからの君の方が、とても魅力的だというのに。]
………なかなか、難しいね。
[赤の染みていく黒は重く。 指差しに同意した。]
(498) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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[ナイフを使い、生成りの布を裂いて包帯にした。 傷を塞いできつく締める。
ノックスは1枚、己の服を脱いでトレイルに被せた。 どうせ取りに行くのなら、薄着になっても平気だと。
両手で掬った湯で、髪と顔とを軽く洗ってから。 連れてきたようにトレイルを抱えあげた。>>499]
……?
[閉まっていた扉を、開ける。 鳥の、やけに煩い声が聴こえて――]
(501) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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―カナリア/1階―
……シメオン か?
[目に入ったのは、喰われ、そのままにされた遺体だった。 散る髪は、触れるのを躊躇った色。
死んでしまった――…モノ。
腕の中の愛し子に、声をかける。 見なくて良いの? と。
いつもなら強く抱き締めて、見せないように、聞かせないようにするのに。]
(505) 2014/11/19(Wed) 03時頃
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[見ると良い。
君の望んだものの、結末を。
大きな衝動の過ぎた、跡を。 ノックスは、‘保護者’だから。]
フィリップ。ホレーショー……。
[酷く、残念だよ。本当に。
ノックス達と代わるように、鳥は湯に羽根を濡らして。跳ねる水音。]
(513) 2014/11/19(Wed) 03時半頃
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[腕をつつくのは、ノックスが綺麗にした指だ。
階段に向かうと、見上げる位置にフランシスが居た。>>508]
………
[唇が言葉を紡ごうとして、何も出来ないまま。 身を預ける小さな体を抱き締め直し、1歩、また1歩と階段を上がった。**]
(516) 2014/11/19(Wed) 03時半頃
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(………良かったね。)
[と。耳の良いトレイルは、耳を塞いでいたから。
唇は音を形取る。**]
――、っ……!
[痛いところを、突かれたような、表情を浮かべる。**]
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