241 線路上の雪燕
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ふはっ…。…
[近づいた男の渋顔に思わず吹き出してしまった。 湧き上がる感情は、よく知っている。 今までも見て来た顔だ。…持たざるもの。 一等車両に足を進める彼が通り抜けるとき。]
ああ、今まで三等車両に居たのか。
[君は臆病だな。と呟く声は面白げで>>108。 音を立てない靴音とのすれ違いざま。 鞄を持つその手を見ては、男にだけ聞こえる音を]
世渡り下手め。
[それを使って、遊んでみろよ。 ――次の瞬間にはすぐに、貴公子然とした顔で>>110 ついでに男の頭を撫でようと手を伸ばしただろう。*]
(114) 2015/11/30(Mon) 00時頃
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― 三等車 ―
……これはまた、随分と。
[言葉の通じぬ異国の地の、数少ない良い面のひとつだ。 つい口の端から漏れた独り言が、聞きとがめられずに済む。
二等車と三等車の境で、男はほんの数秒、自失していた。
それは旅客列車というより、肉の詰まった箱というべきだった。 ただ、それらの肉が、生きて呼吸し、服を着ているというだけのこと]
……乗車率120%……いや、もっとか?
[これは、人が『みつしりと詰まつてゐた』とでも評すべきだろうか。 だが、吊革だけの車両は、大量輸送という観点のみでいえば、効率的ではあるだろう。 つまるところ、交通機関としての鉄道の輸送量は、車両の床面積と旅客ひとりの占有面積で定まる。 旅客の疲労を度外視するなら、あるいは度外視できるほどの近距離輸送なら、なるほど、この三等車両も視るべきものはある――]
(115) 2015/11/30(Mon) 00時頃
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―現在・食堂車―
[発車直後から始めた荷物をようやく整理し終わり、案の定鳩の餌を忘れて来たことを確認して、頭を抱えたら。
先程約束した食堂車の方へと向かう。 手荷物は手帳と、先程の新聞と、あとは貴重品だけを持って。 気づけばもうすっかりお昼前で、時間が掛かるとは言ったものの、具体的な時間も示し合わせてはいなかったのでもしかすると随分と待たせてしまっているかもしれない。
ああ、そういえばさっきは名前を聞きそびれたな、なんて思いながら慌てて向かえば、>>109先程の彼の姿がそこにあった。]
すまない、待たせたかな。
[テーブルの向かいに座っていいか尋ねれば、彼は快諾しただろうか。]
自己紹介がまだだったね。 俺はイアン・マクイーンって言うんだ、改めて宜しく。 君の名前は?
[やがて彼が相変わらずの調子で名乗ると、彼の方の名乗りを待つ。 自分が、手に持ったこの新聞社の記者であることは、この時点ではまだ伏せておいた。]
(116) 2015/11/30(Mon) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2015/11/30(Mon) 00時頃
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[ 荷物を置いて食堂車にやってきた青年は、ずいぶん身軽な雰囲気になっていた。 テーブルの向かいの席に着き、>>116
「俺はイアン・マクイーンって言うんだ、改めて宜しく」>>116 と名乗る。]
ペラジー・デュランテです。 ……もうお昼なのに、外はずいぶん寒そうですね。
[ 窓の外を見やりながら名乗った。]
(117) 2015/11/30(Mon) 00時頃
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