68 Trick or Treat? ― Battle or Die ―
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[相手から零れる赤から一瞬殺気を感じたのは、気のせいだろうか。 本能的にひやりとした恐怖を感じ、 カンテラから手を離し一、二歩後退のステップを取る。
引き抜いた爪には赤い血。 それが何処か人間らしさを連想させ、僅かに口許を結んだ。
その間に吸血鬼は距離を取り逃げようとしているように見えて]
(逃がさない……――)
[猫の姿へと戻り、相手の血塗れの目に向けて その動きを止めるためにその瞳を金色に光らせた。 金縛りを引き千切るだけの精神力は、相手にあったか]
(84) 2011/10/26(Wed) 22時半頃
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― 路地の先 ―
…はは。 くく、はは…はははは!
[思わず、笑いが漏れた。 その先は、煉瓦に囲まれた袋小路。こちらを向いた奴の顔には、焦燥が見て取れた。]
残念だったなエリック。 ゲーム・セットだ。
[手斧を、ジャグリングのように投げて弄ぶ。]
何か、言い残したことはねえか? 聞くだけ聞いてやるぜ?ひひ。
(85) 2011/10/26(Wed) 23時頃
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[ゆっくりと、奴に近づいていく。
美味そうな、匂いがする。
その耳を、肩を、指先を、頬を。 ――噛み千切りたい。そんな衝動が、膨れ上がって]
(86) 2011/10/26(Wed) 23時頃
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[思えば確かに感じた事が虚構だったのはあの道化と戦った時からだろうか、起こる時と起こらない時があるために気付くのが遅くなったのか]
(毒……?)
[幻覚を見せる何か、例えば辺りを未だ漂う花の香か、それとも、いつの間にか毒を含まされたのか。 いずれにせよ自分の状態を把握出来たのがまさに今だった事が災いしたのか]
―――……――、―……。 (せんせ……逃げ、て……。)
[思えばこれは道化の呪いなのだろうか、そんな気持ちと焦りから金縛りにあえばそれを振り払う事は出来なくて。
スティーブンの姿を認識した時から、彼の声は聞こえていた、こちらの声は届くのか、届かないのか。 悲しげに眸を伏せて動かぬはずの口をそうとだけ動かす]
(87) 2011/10/26(Wed) 23時頃
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[瞳の力が、利いている。 しかし、動きの全てを封じるにはこちらも万全ではなく、 吸血鬼が何やら口を動かしているのが見えた]
(何を……?)
[周囲に仲間でもいるのか、目を離した一瞬金縛りが解ける。 が、彼女が仲間を呼ぼうとしているなどという様子でもなく]
(しまった、っ)
[目を離した事に、我に帰り吸血鬼目掛けて大きく跳躍した。 先程ジャックランタンを倒す時に用いたように、 飛び上がる時は身軽な猫特有のばねを利用して。 そして、最高度に達した瞬間に人型に戻る。 加速度と重力を利用して、叩き付けるように右手を再度振り下ろした――**]
(88) 2011/10/26(Wed) 23時頃
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[振り向いた先には、追いついてきた骸骨が立ち塞がっていた]
……くそ、……ふざけんな、よ……
[呻くように呟いた声は、掠れていた。骸骨の笑い声が響く。残念。エリック。ゲーム・セット。言い残したこと。聞いて。断片的に、無機質な調子で、言葉が聞こえた。先程から、聞き取れる量が少しずつ多くなってきているように思った。 それは生じた負傷と関係があったのかもしれない。だが、今の男に知る術はなく、考えてみる余裕すらなく]
……殺されて、たまるか。 死んで、たまるかよ…… 俺は、まだ、死にたくないんだよ……!]
(89) 2011/10/26(Wed) 23時頃
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[半ば独りごちるように口にしながら、よろりと後ろに下がる。冷たく硬い壁に背がぶつかった。 投げ遊ばれる斧を見る。あの脇を通り抜けて逃れる事が出来るだろうか、と考える。まず、無理だろうと思えた。すれ違った瞬間にやられるのが関の山だ。ならば何かをけしかけなければ。そう考えたが、先程と同じく、新たに動物を出す事は出来なかった。 恐らくは、身体の弱りと、精神の甚だしい不安定のために。何処か無意識の奥底に、諦めが生じていたからというのも、あったのかもしれない。今唯一の駒である犬が、遅れて追い付き、骸骨に背後から飛び付こうとする。 それは持ち得る最後の反撃の手段であり、最後の攻撃だった。切り札とはとてもいえない、たわいない、あがきだった]
(90) 2011/10/26(Wed) 23時頃
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[金縛りが解けると不思議そうに瞬いて、けれど既に身体に戻る量よりも失う量が多すぎて脚に力が入らない。 がくりとその場で糸の切れた懸糸傀儡の様にその場に座り込む]
(なんだか、寒い……。) (それに、凄く疲れた……。)
[目には既に光は無く、見えている物は何もない]
(そう言えば……歌、練習しなくちゃ……。)
[舞台で歌うのだから、と旋律を紡ぐ様に口を動かす、声は出ない、風の音すらも。 幼い日に友人と二人で交わした約束、二人で舞台に立とうという夢。 友人を奪った凶刃は未だに見つかっていない。]
(あーあ、やっぱ復讐だとか、そういうのって虚しいのね。) (怒られ、ちゃうかなあ……。)
(91) 2011/10/26(Wed) 23時半頃
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――Jesus bleibet meine Freude, ――Meines Herzens Trost und Saft, ――Jesus wehret allem Leide, ――Er ist meines Lebens Kraft……
[一番好きな歌、主を友人に当て嵌めて唄うだけで幼い日の思い出が鮮烈に蘇る]
(あれ、そう言えば私って、元の世界から消えたんだっけ。) (じゃあ、怒られてもあげられないのかぁ。)
[何かが身体のどこかにぶつかった気がするけれど、もうそんな感触すら遠い遠い別の出来事のよう、既に意識はなく、紅い花と噎ぶ血の香りが辺りを包んでいるだろうから**]
(92) 2011/10/26(Wed) 23時半頃
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[広場に来て見れば、そこには見た事のあるお化け、見た事のないお化け。 様々なお化けが存在していて、なんだか視界がチカチカするような錯覚に見舞われ。 割とぼーっとしてた所で、なんだかメッセージ>>31が飛んできて。 一瞬キョトンとしてから、しかし、特に指針もなかったのでこくっと頷いて、ぱたぱたカチャカチャと追いかける。 …とはいえ、スタントさんVS引きこもりでは体力の差が圧倒的過ぎて。 割と早い段階で、それはもう見るも無残な程に疲弊してぜーはーと肩で息をする羽目になり]
――…ウウゥウゥウ…… (あうぅ…)
[気弱なうめき声はしかし、錆付いた金属のような音に変換されて。 足を止めた様子>>52にほっとしたのも束の間、気がつけばもっと沢山のお化けが周囲を取り囲むようにしていて。 横のお人形さんが、襲い掛かってきたネズミの顔をしたお化けを一閃の元に退けた]
(93) 2011/10/26(Wed) 23時半頃
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[さっき蹴り飛ばした犬が、遅れて追いついてきた。足音と、跳ねる気配。]
だから、五月蠅えつってんだろ?
[体を左にかわしながら、あたりをつけて斧で空を裂いた。干からびた犬は、主の前にずさりと着地した。
犬に留めは刺せただろうか。少なくとも、幾らかは傷をつけただろう。次に飛び掛って来た時には、仕留められる。]
(94) 2011/10/26(Wed) 23時半頃
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[骸骨が振るった斧は犬の身を切り付けた。内臓の一部が宙に舞って落ちる。着地した犬は即座に再び骸骨に飛び掛かり――しかし、結果として容易に、仕留められる羽目になったのだろう]
……っ、……
[もう、後ろに下がる事は出来ない。 震える拳を、握り締めた。 ぽたりと汗が顔の輪郭を伝い落ち]
(95) 2011/10/26(Wed) 23時半頃
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まあ、これでほぼ万策尽きたなあ、エリック。どうするよ。
[壁際に追い詰められた男に掛ける言葉は楽しげに。反抗的な目つきの中に、ほんの僅か、諦めの色が混じる。そう、この瞬間。獲物が堪らなく愛おしくなる瞬間だ。
右手の斧を、エリックの顔の真横の壁目掛けて投げた。当てちゃあ、いけない。顔は綺麗なまま残してやるのが、俺のやり方だ。
ゆっくりと、壁際に向かって歩く。犬がまだ飛び掛るなら、ホルダのナイフを抜いて、今度こそ仕留める。
そうして、奴の目の前に立って、少し見上げる角度で、その目を覗き込んだ。]
――Trick or Treat?
(96) 2011/10/27(Thu) 00時頃
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へ…?
[木を探して動いていたので、コリーンと黒猫の動きに対応することは出来なかった。]
一体、どういうことだ。 どちらかが怖いお化けだったってことかい…?
[思えば、どちらも正体を見ていない。 故にその可能性も否定出来なかった。]
黒猫君がこちらに向かってくる可能性もあるんだろうかね…?
(97) 2011/10/27(Thu) 00時頃
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[骸骨がかたかたと零す言葉はとても楽しげに聞こえる。どうする。そんな事は、此方が聞きたいくらいだと思った。どうする。どうすればいい。どうしたら、俺は助かるんだ。 俺が助かる方法など、あるのか?]
! ……ひ……っ、……
[ふっと思いを過ぎらせた次の瞬間に、骸骨の腕が動いた。だん。耳元で鈍い音が響く。息を呑む。顔の真横に刺さった己を、恐る恐るというように見やった。顔色がいよいよ青褪めて]
……い、嫌だ…… 来るな、やめろ……俺は、悪戯なんて、御免だ。 お菓子みたいに、食われるなんて……御免だ……!
[詰められる距離。合わせられる視線。覗き込めば、男の瞳が揺れているのがわかるのだろう。 ただ必死に反射的に、骸骨を突き飛ばそうとして]
(98) 2011/10/27(Thu) 00時頃
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理髪師 ザックは、メモを貼った。
2011/10/27(Thu) 00時頃
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[俺を突き飛ばそうとしたその手を、掴んだ。 覗き込んだ瞳が、大きく揺らいでいる。
俺は女王の手に口付ける騎士の如く、恭しく掴んだその手に唇を寄せる。そして。
――薄い皮膚を、思い切り、喰い千切った。]
(99) 2011/10/27(Thu) 00時頃
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…しかし、下手に肩入れして怪我したくはないんだよなあ。
[黒猫と吸血鬼。 どちらもあんまり相手したくはない。
痛そうだし。]
(100) 2011/10/27(Thu) 00時半頃
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[エリックはどんな声で啼いてくれるだろう。
噛み切った皮膚をゆっくりと咀嚼して、喉に送る。 あのゼリー・ビーンズより、南瓜の形をしたグミより、もっと甘い、ような気がした。]
――思った通り、だったなあ… お前、美味いよ?
(101) 2011/10/27(Thu) 00時半頃
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[手を掴まれる。冷たく硬い感触を覚えた。だが何処か温かいようにも感じて、しかしその事を落ち着いて認識する余裕はなかった。男は骸骨のすぐさま振り払おうとした。が、唇を寄せる仕草に、唐突に感じられたそれに、一瞬気が逸らされ]
っ、 い……!!
[叫びになりきらない叫びが唇の隙間から漏れた。痛覚の近しい、局地的ながらも強い痛み。頭を少しく反らせるようにして。正面に戻した双眸には、僅かに涙が滲んでいた。 食い千切られたのは、手の皮膚だけ。それでも、相手が此方を喰おうとしているのだと、改めて認識するのには十分で]
っく、あ、
[咄嗟に何か言葉を発する事は出来ず。ただの音に近い声だけを零し、腕を振り暴れて無理矢理に逃れようと]
(102) 2011/10/27(Thu) 00時半頃
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[にやけている間に、油断したのでしょう。 別のお化けが、いきなり襲いかかってきました。
おうわ、いつも通り声をあげながらそれを避けますが、 よけきれずお腹をぼこり。 痛いです。向こうは力一杯殴ってきました。
ぽんぽんぺいんを押さえながらそいつを倒しても、後から後からずんずんと弱いお化けはやってきます。 それを相手にしている間に、
少しずつ、マーゴさんたちと離れてしまっていることに、気付きませんでした。**]
(103) 2011/10/27(Thu) 00時半頃
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牧人 リンダは、メモを貼った。
2011/10/27(Thu) 00時半頃
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暴れんなって。 もう、お前逃げられないんだからよ。
――美味しく頂いてやるから、な?
[その手は掴んだまま、子供を諭すような(そんなことはついぞしたことはないが)口調で。気持ち悪い程に、心が凪いでいるのが解る。
だが、あまり、暴れられても面倒だ。 奴の手を掴むのとは逆の手で、ホルダのナイフを取り出した。]
大人しくしろって――
[勢いはつけず、押し込むようにして刃を腹に喰い込ませる。]
(104) 2011/10/27(Thu) 00時半頃
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スティーブンは、リンダは今頃何処で何をしているのだろうか…とぼんやり。
2011/10/27(Thu) 00時半頃
理髪師 ザックは、メモを貼った。
2011/10/27(Thu) 00時半頃
スティーブンは、ザックとはあれから会っていないが何処かで生きているんだろうかね…?
2011/10/27(Thu) 00時半頃
理髪師 ザックは、メモを貼った。
2011/10/27(Thu) 01時頃
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[暴れんな。逃げられない。そんな言葉が聞こえた。美味しく、頂いて。そう続け様に聞こえた言葉に、男は叫びを寸前で呑み込みつつ、一層暴れようとして――]
――っが、……あ……
[ふっと、その力を緩ませた。腹部に強い衝撃を受けて。冷たい物が体に入り込んでいく、違和感。その周辺に生じる、熱。鋭くも鈍い痛みは、肩を抉られた時のそれに近かった]
……あ、あ。…… 嘘、だろ、……
[今更にそんな言葉が口をついて出た。刺された。腹を。これじゃ、本当に、死んじまうじゃねえか。そうだ、当たり前だ、俺は殺されようとしているんだから。嫌だ。腹刺された奴って、死ぬだろ、ドラマとかじゃ、大抵。死にたくねえよ。 思考の奔流が生じる。 男の瞳の奥に沈む諦念の色が、滲むように強さを増して]
……嫌、だ。
(105) 2011/10/27(Thu) 01時頃
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牧人 リンダは、メモを貼った。
2011/10/27(Thu) 01時頃
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…まあ。 僕も他人の心配していられる場合じゃないからな…!
[赤い葉を付けた桜の木に手を付く。 赤い葉が舞い散り、お化け達の視界を覆った。**]
(106) 2011/10/27(Thu) 01時頃
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牧人 リンダは、メモを貼った。
2011/10/27(Thu) 01時頃
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[根元まで深く沈みこんだナイフを、再び外へ。 粘性のある赤が、その刃から滴り落ちた。
エリックの胸倉を掴んで、引き寄せる。その血塗れの耳元で、囁いた。]
嘘じゃ、ねえよ。 お前これから死ぬの。
[そのまま、耳朶を含んで――少し舌先で転がしてから、噛み切った。 その肉も、血も。貴腐を連想させるような甘さで。]
(107) 2011/10/27(Thu) 01時半頃
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[あの女――『人間』の姿のままでいた、あの女は。 お菓子が欲しい、と、言った。 ただそれだけだ、と。
あの時は理解できなかった。 今は、解る。]
(108) 2011/10/27(Thu) 01時半頃
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う、……
[抜き取られる刃に、呻く。傷口からみるみる血が滲み溢れ出していく。止めなければ、と思った。だが、止められる術などなく。常より速く打つ心臓の音が、やけに大きく聞こえた。囁きはそれに紛れて、微かに、だが妙にはっきりと聞こえ]
ぎ、ぁあ……っ! ……が、は……
[噛み切られる耳朶に、今度は呑み下す事なく、叫び声をあげた。反射的に逃れようとした頭部は、背後の壁にこつりと当たったばかりだった。首を横に振る。帽子が地面に零れ落ちる。中央で分けた前髪は、今は僅かに解れ乱れていて]
……ゃ、だ。 やめ、ろ。やめて、くれ。 なあ。俺の言葉、わかってるんだろ……? なあ。 やめてくれよ、なあ……なんで、俺なんだよぉ……
[顔が泣きそうなように歪められる。お化けに見える、お化けだと思っている相手に対して、普通に考えれば意味などないだろう命乞いを、泣き言を、恨み言を、零し]
(109) 2011/10/27(Thu) 01時半頃
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[不幸中の幸いというべきか。 近くには今の所、雑魚と呼べるお化けしか居ないようだ。 人形が剣を振るえば簡単に消し飛んでしまうレベルのものすらいる。 しかしいかんせん、数が余りにも多すぎた。 糸で縛ってしまおうにも、この数では追いつきやしない。 じっとりと汗が伝って気持ち悪い]
アアァアァ…! (きゃっ)
[空中から飛び降りてきた人面蝶に悲鳴を上げる。 それに気付いた人形がジャンプして剣を振るい蹴散らした。 助かったと知ると、知らず知らず吐き忘れてた息をゆっくり吐き出す。 ヘクターが離れていってるような気はしたが、動く事は出来ない。 少しでも移動に気を取られれば、すぐにも手と言わず足と言わず、掬い取られそうで。 焦りを浮かべながら、人形と共に少しでもお化けの数を減らそうと*していた*]
(110) 2011/10/27(Thu) 02時頃
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[零れる言葉に、満足げに唇が歪む。]
さあ…なんでだろうな。 わかんねえが、お前が一番美味そうだった、から? ドレスの女が知ってるのかもなあ。
[胸倉を掴んだまま、身を捻って壁とは逆の方向に投げ倒した。その上に、覆いかぶさるようにして馬乗りになる。]
なあ、痛いか?苦しいか? 生きたまま喰われるって、どんな気持ちよ?
[言いながら、ナイフで上着を裂いた。 露になった肩に口付けて、力を込めて、噛み裂く。]
――ああ、お前は、お前自身が、お菓子、なのな。
(111) 2011/10/27(Thu) 02時頃
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美味そうって……何が、美味そうなんだよ…… 俺なんて、でかいだけだろうが……っ。 ……もっと、肉付きいいのとか、若いのとか…… 女とか、狙えばいいだろ……!
[何処か遠く、歪みながらも聞こえてくる言葉に、苦痛と憔悴に喘ぎながら言う。男は女好きであり、子供も嫌いではない。この状況において、それらには出来るなら死んで欲しくないとも、戦いたくはないとも、考えていた。だが、いざ危機に直面しても己の意志や矜持を貫けるような人間では、見苦しい生より誇りある死を選べるような人間では、男はなかった。 恨み言は、眼前の骸骨に対して。だが何処か、「選ばれなかった」者に対してでも、あったのかもしれない]
ドレスの……くそ、あの女…… あいつの、せいで……! 畜生……っ、ぐ、
[掴んだまま引かれ、地面に投げ倒される。背から傷付いた全身に伝わる痛みに、息が詰まった]
……あ、…… 嫌だ……喰われたくなんて、ない…… 喰うな……っ、……い、あぁぁあぁぁぁ……!!
(112) 2011/10/27(Thu) 02時半頃
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[覗き込んでくる髑髏の面に、ふるりと首を横に振る。と、上着が裂かれ、露出させられた肩に食い込んできた歯という刃に、捩れた叫び声をあげた。それは何処となく、男がミイラとして知らず聞かせてきた笑い声にも、似ていたかもしれない]
っあ、……か、は、 ……違、……違う……俺は、お菓子じゃ…… ねえんだ。ねえのに……ねえんだよ、……喰うなよ、お……
[男の瞳から、一筋、涙が零れ落ちる。 死にたくない。喰われたくない。痛い。怖い。苦しい。 そんな思いばかりが、内に渦巻いていて]
(113) 2011/10/27(Thu) 02時半頃
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