103 善と悪の果実
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[震え出しそうな身体を押さえつけるために、 胸の前で強く自分の手を握り締める。
指先に血が通らなくなって、 ぞっとする冷たさが心と身体を支配した。]
(56) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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― →広間へ―
[広間へ向かう脚は、急ぐ必要もないはずだったが普段の男のそれよりも速かった。 途中、何気なしに声をかけてきた様子の黒髪の青年にはちらりと横目を向ける。>>42]
そのようだね。
[歩く内に、胸を乱していた物は収まりつつあったが、言葉少なに応える。 男の答えを待つ時間すら惜しむように、青年もやはり急いでいるようだった。 僅か、目を合わせた後で目礼をし、青年が行き過ぎるのを見送る。
やがて辿り着いた広間には、すでに来客や使用人の姿が溢れていた。
扉の前に立った所で、室内を見渡す。 そして、昨夜、遠くに見た壇上を見上げる。 輝きを落としていた金色の小さな影は、そこには、もう無かった。]
(57) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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――――…いいえ。 貴方の邪魔はしないと、言ったでしょう?
[すぐ目の前に迫る彼の姿。 告げる声は内容とは裏腹に、いっそ懐かしさすら滲ませて]
嗚呼、オスカー君でもないのですか。
…残念ですね。 もしそうならば、一目近くで見させてもらえるように、 お願いしようと思っていましたのに。
[ねえ、とのんびり首を傾ける仕草まで、 昔と何一つ変わらない]
(58) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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見に行きますか? 蛻の殻へ。
[並ぶ二人の姿。緩く視線を向けた先は、大広間]
何か手がかりがあるかもしれません。 果実泥棒の足跡さえ見つけることが叶えば、後は――…。
[ただ、にこやかに]
(59) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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[先程、見たばかりの長髪。>>50 そちらからはすぐに目を逸らし。
夕闇の視線の先にあるのは、テラスで逃げるように去って行った男だ。
突然、弾かれたように駆け去って行く少女。 それを追って出て行く女。
見覚えのある顔を幾つか見渡した後。 大人びた言葉を周囲に投げる幼い声に気付き見下ろす。]
…トニー。
[短く息を吐き、その問いには首を横に振って見せた。]
犯人捜しか。 … 気をつけろよ。遊びではないからな。
[彼の外見にとらわれた声をかけただけで、再度、壇上に目をやる。]
(60) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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[…黄金の果実の喪失も、血染めの栄光も、 どちらも十二分に最悪な出来事であったが 更に状況は悪いらしい。
使用人から、狂犬の包囲により 外に出られないと言う事実を聞くに至り、 漸く状況を理解する。
果実の所持者を殺め、その実をもぎ取った者が居るこの館に、 今ここに居る全員が、閉じ込められたのだと。]
(61) 2012/09/26(Wed) 23時頃
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そう言ってたな。確かに聞いた。
[返ってきたのは、ある意味予想通りの答え。 彼女の声に滲んだ響きが、耳朶を軽く打ち据えて 繊月の様にごく薄く、唇を歪める。 それから、わざとらしく億劫そうに溜息を吐いた]
俺じゃない。同じことを考えてたとか笑えんぜ。 あんなきらきらした、禁断の果実だ。 ほんの一回、弄らせてくれって頼む心算だった。
[否定の言葉を告げて、首を傾げる彼女に視線を戻す]
(62) 2012/09/26(Wed) 23時頃
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―広間―
此処はもはや孤島の牢獄と 何も変わらないな。
――金糸雀のように、 歌うお前を閉じ込めようとした者は 数多あったが、よもやこんな形でとは。
[壇上へと上がりながら歌姫より少し離れた後ろ、 嘗ての輝かしくもどろりとした物語を挟みながら語りかける]
鳥は果実を啄ばむものだが―――さて、その態ではどうだかな……
(63) 2012/09/26(Wed) 23時頃
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蛻の殻か、蛇の抜け殻ぐらいは落ちてて貰いたいね。 ああ、行くぞ。
[視線につられるよう大広間に頭を巡らし、頷く。 にこやかなペラジーの表情を見て、付け加える]
見つけたらな、適当にバラしちまおうぜ。 どうせ殺られてるんだろ? グロリア。
[自分の流儀から想像して。とある試金石]
全部そいつのせいだ。
[悪魔のように犬歯を剥き出して、吐き捨てた]
(64) 2012/09/26(Wed) 23時頃
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オスカーは、そのまま大広間へと歩みを進めるだろう。
2012/09/26(Wed) 23時頃
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[その態度は泰然としたものだ。 >>55 青白い顔の男が、怯えながら怪訝に思ったのも無理からぬところだろう。
その感想は正しい。 彼は、観察しているのだから。 どの者の“後につけば”かの果実に辿り着けるのか。
果実の持ち主が殺されたなら もはや果実は今、“誰のものでもない”筈だ。 アレを手に入れられるなら――と、夕闇に相応しい感情を抱いている。]
(65) 2012/09/26(Wed) 23時頃
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>>34 ミス・ポーチュラカ…?
[赤く染まったグロリアを見詰めて動かない少女を 心配したかのように声を掛ける。
部屋には鉄錆と生臭さが入り混じった臭いが充満しており 嗅覚を刺激して、ますます血の気が引くようだ――]
あまり、ここには居ない方が良いと思いますの…
[蒼褪めた顔で、言外に、戻ることを促すよう語り掛ける。]
(66) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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……おや、本当ですか。お揃いですね。
[本当に、それは"一回きり"で済むものなのかと。 頭によぎったそんな言葉は表には出さずに。 だって、きっと彼もよく分かっているだろうから]
それなら約束です。
私(わたくし)が林檎を見つけたら、 オスカー君に見せてあげます。
オスカー君が林檎を見つけたら、 私にも見せてくださいな。
[果たして、この世界に。 …彼と自分の生きる世界に、 約束という言葉以上に脆いものはあるのだろうか]
(67) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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――――…グロリア様も、お亡くなりになったと。
ええ、そうですね。 確かにお屋敷の方が仰っていましたね。
[オスカーが歩き出せば、 そのやや後ろを従うように付いていく]
大丈夫ですよ。 そう焦らなくとも、林檎は楽園からは逃げ出せません。
ふふふ。
[犬歯を剥きだす姿を横目に見つめ、肩を揺らした]
(68) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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それに、もっと簡単な方法もあります。
怪しい人を"全て"壊してしまえば、 林檎は自然と自分の手の中に転がり落ちますもの。
[そしてとても良い思い付きだと言うように、 無邪気に笑ったのだ]
(69) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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へーぇ……? コイツぁ、ひでぇなぁ……。
[赤く染まった寝台と、そこに横たわる女の亡骸。 そして、それに縋るように傍らにいる少女の姿。
興味津々で室内を検分しても、素人目にはよくわからぬ。]
勿体ねェのな。上玉だったのに。
[心配そうに少女に声をかける銀髪の娘には、 男の下衆い感慨が聞こえてしまったかもしれない。]
(70) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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[>>70男の漏らした感想があまりに場違いに感じて、 咄嗟に口が動いた。]
そんな言い方……!
[止めなさい、と言うまで言葉も続けられず、 血の気の戻っていない顔で睨み付けてみるも 動揺の残ったこの様では 気迫といったものは一切出ていなかっただろう。]
(71) 2012/09/27(Thu) 00時頃
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嘘じゃねーよ。
[だが言葉短く返す声音は砂漠のように無味乾燥だった。 一回、こちらの手に渡れば、もう返さないだろう。 借りるというのは、奪うことと同意義だと、 彼女もよくわかっているはずで、その遣り取りが可笑しい]
約束ね……。したことねぇけど。 それぐらいなら、”護って”やるよ。ちゃんと見せろな。
[詐欺師同士の約束なんて、滑稽だ。 飴細工の菓子ほども形を留めていることなど無いはずなのに。 その時は、深く考える事もなく、そう嘯いた]
(72) 2012/09/27(Thu) 00時頃
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―大広間―
[夕闇伯は長いローブを揺らしながら、 昨日とはうってかわって 緊迫感の漂う豪奢な広間を検分しながら歩く。 警備のものも気も漫ろ、 硝子ケースに指を這わせても何も謂われない。]
――ふん ……
大胆と言うか 無計画と言うか――……
[ぎり、と硝子に爪を立てる。 重みの名残のみ残る台座にない黄金の輝き。 辺りを見回す目は、鋭く剣呑である。]
(73) 2012/09/27(Thu) 00時頃
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[お揃い、言葉の印象と事象の差異に 内心苦笑が漏れたのは、秘密だ]
確かにそれが一番簡単だよな。
[無邪気な笑みに瞠目して、破顔する。 怪しい人を全て壊すという思い付きに 微笑を湛えたまま、言葉を付け加える]
だが、それは、俺もペラジーも込みでだろう。
[怪しい人を全て壊したら、 最後に立っているのはだれだろうか。例外は無い]
(74) 2012/09/27(Thu) 00時頃
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おぉコワ。 美人さんの恨みは買いたくないねェ……。
[殺人現場には不似合いなニヤニヤ笑いを残し、 大げさに肩を竦めて部屋を出る。
殺人者は、この屋敷の中に居る。 自分が奴らに刺されたとしても、そう簡単に死ねるなどとは思っては居ないが。]
(75) 2012/09/27(Thu) 00時頃
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ごめんな、邪魔しないんだよな。
[発せられるのは穏やかな声。 裏腹に、氷柱のような視線で、彼女を一瞥すると]
手に落ちてきた あの林檎は、一体どんな味がすんのかね。
気になって気になって、夜も眠れない。 とっておきを頼むかもな。
[ さ あ 始 め よ う か ! ]
命がけの鬼ごっこを。
[壊すなら、壊される可能性もある。 昂揚を抑えた毒の滴る笑みを、薄くなった仮面で隠し 大広間で失われた果実を探す輪に加わるだろう]
(76) 2012/09/27(Thu) 00時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 00時半頃
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[密やかなざわめきが引く事の無い広間。 失われた黄金。 この目にしておきたかったと人並みには思いつつ。
ふと、警備の者らしき男と目が合うが、警察署で見たような顔では無い。 興味は薄く目を逸らし。 まだ、手の届く場所に大人びた少年が居れば、その頭を黙ったまま緩やかに撫でてから。 広間を出て行った。]
(77) 2012/09/27(Thu) 00時半頃
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ヘクターは、ざわつく広間へと足を向けた。
2012/09/27(Thu) 01時頃
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[女主人の遺体が見つかったとも聞いた。 しかし、仕事でもないのであれば、死んでしまった女など見たくも無い。 廊下を歩きながら、ふと思い出したように上着のポケットを探る。 潰れた煙草の箱。 残り少なくなっていた。 通りすがった使用人を呼び止める。] 煙草はあるか? [男の手にある箱を一瞥した後、使用人が頷く。]
後で部屋に届けてくれないか。 もうすぐ切れそうだ。
[使用人は二度頷くと、静かに下がって行った。]
(78) 2012/09/27(Thu) 01時頃
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[行きすがら、廊下の端に見覚えのある不思議な色のブロンドと、並び立つ黒髪の青年の姿が目に映った。 静かに脚を運びながら、横目にその様子を伺う。
何か考えるように視線を宙に走らせた後。 二人に背を向けて廊下を自室へと向かい、進んだ。
途中、刺青の男とすれ違う事もあったかも知れないが。
男は足早に通り過ぎ、やがて辿り着いた自室に入ると煙草に火を点け、窓の外を暫くの間見下ろしていた。**]
(79) 2012/09/27(Thu) 01時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 01時頃
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―少し前・大広間―
[重ねたままの掌。 泣き喚く狂犬たちの声は、朝のさえずりには程遠い。 中庭を見やり、隔離された事を悟る。 外部から助けがやってくるまで、ここは孤立した場所。 それも盗人と――このときはまだ知らなかったけど、栄光を殺めた殺人者も――同じく閉じ込められている。]
価値のあるものだから、でしょうか。 ………――だって?
[重ねた手に力がこもっている。 ポーチュ嬢のその目、一番身長も近い僕は容易に覗くことが出来た。 深海のようなそれと、烏のそれが、合う。]
(80) 2012/09/27(Thu) 01時頃
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金に困ってンだって、なぁ…? お前さん。
[足早に部屋の方へと向かうジェフに、からかうような言葉をかけて。 広間の中の雰囲気は、昨夜とは違う色のざわめき。 同じように注目を集める壇上に、昨夜の金の林檎は無い。]
こりゃまた、大胆にやらかしたもんだねぇ。 [誰しもが惹きつけられる、魔性の果実。 誰かが持っているかもしれず、それと知れれば奪い合いになるかもしれず。
何せ相手は、あの女主人を殺した奴。 独り占めにするために奪い合い殺しあってもおかしくは無い。]
(81) 2012/09/27(Thu) 01時半頃
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―大広間―
……使用人どもの動向は? ――よくある話だ、内部からの、根腐れというのはな。
[使用人の一人の顔を流し見ながら、 低く艶のある声で問う。 めっそうもない、と使用人は青褪めながらも毅然と言い返すだろう。その顎先を指先で持ち上げながら]
では我々の中に、と そう思うて居るという事か、嗚呼……
まったく、愉快でならんな。
[囁いてから、とん、と使用人を邪魔な無機物のように押しやった。]
(82) 2012/09/27(Thu) 01時半頃
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だって…姉様はもういないのに
[小さく、小さく零した言葉はトニーの耳に届いただろうか]
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何にせよ、隠しているなら暴くまで。
かつて、腹や口内に 宝を隠す輩も居たことだしな……。
[宝――とは、例えば闇に流通する奪われた宝石だとか、謂わば非合法の《薬》だとか、そういったものの話だ。警官が聞けば眉を顰めたであろう物言い。
女主人の部屋より戻った男の姿を見れば、>>81 剣呑な色含む視線を向けた]
野次馬根性は満たされたかね?
(83) 2012/09/27(Thu) 01時半頃
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