270 食人村忌譚
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―昨夜の事― [>>37錠の元へ食事を運んで、口にするのを確認してから 自分もまた台所へ取って返して食事を始めた、その直後くらいだ。 返ってきた石動の問には頷きで答えた>>34 勝手に食料を使った詫びが必要かと考えたが 錠の許可もある手前、其れは謂わずにおいた]
……御味噌汁……! ありがとうございます
[一汁三菜とまではいかずも、先刻よりずいぶん食事らしくなったことに口元綻ばせて礼を言うと、両手で椀を持ち息を吹きかけながら彼の言葉を聞く>>35]
(61) 2017/11/23(Thu) 20時半頃
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これ以上お世話ばかりされていては 僕はこの身を文字通り削ってお返ししなくては ならなくなるでしょう? [断ろうとしていた処 そう広い屋敷でもなく、静かな家の中 寝床を作った部屋にも、声は届いたようで] ……錠さんのお手伝い、という事なら。
[>>38助かる、と言われて漸く頷けるようになる]
(62) 2017/11/23(Thu) 20時半頃
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[空になった皿へ手を合わせ、白湯を一杯頂いて 大人二人と囲む食卓を後にする。 錠を手伝う条件で、食事を貰う取り決めは 悪くない話だと思った。
対価がある行為を、ススムは好む。 与えられるばかりでは 何時まで経っても幼子のまま このままではいけない
そんなことをかんがえながら、眠りについた*]
(63) 2017/11/23(Thu) 20時半頃
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[昨日の授業、人一倍熱心に書き留めていたのも 江津子のようにまでとはいかずも技術を身につけられれば 力は自分の方が強くなってきたことだ 手伝えるようになるかもしれない。
今日の授業、誰も出ないような生活に不必要な知識すら もしかしたら何処かで役に立つ事があるかもしれぬ 職を持たない今のうちに 覚えられる事は全て、吸収しておこう
与えられる生活を受け止め、女を孕ませて歩く それだけが現在のススムの価値でしかない もっと他に出来る事を もっと他に望まれる存在に もっと――]
(64) 2017/11/23(Thu) 20時半頃
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―木材置き場― [学び舎への道のり、通りかかったその場所で ススムは一度足を止めた]
猫?
[>>48鳴き声が聞こえた。 縞柄の猫が立ち尽くすススムの目の前を横切る。 貌を上げると、其れを追う櫻子が見えた]
と、櫻子さん おはようございます
[簡単な挨拶をかける。律儀に頭を軽く下げて*]
(65) 2017/11/23(Thu) 20時半頃
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[彼らの答えを聞いてから
村の人間はススムの中で家畜と同列になった。
先生の教えには、素直に頷き
ミナカタには、同じように人差し指をたてた]
[自分だけが人であるのだ。
其れを知られてはいけない
群れを嫌った所で
生活できるだけの力がないうちは
家畜の中に紛れて暮らすしかない
だから
教わった通りに、身を潜めている。
気取られては、群れに排除される。
実際注意勧告はされてしまった。
未だ、自分は 生かされている。
けれど、今年でもう18になった。
家畜を捌く方法も教わった
生活に必要な知恵も備わった
後は実践が伴えば、群れは
不要になる*]
発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 21時頃
琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 21時頃
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− 志乃との食事風景 −
[冷たい塊になった爺さんの身は、 暖かな汁と共に、暖かな女の口に、腹に入る>>31 遠慮せずに口にする様子の方が清々しい]
そうだな。 次はガタガタ震えずに済むといい。
この村で食われたんだ。 また生まれ変わって来たら、樵でもやるんじゃねえか。
[そうやって寒さから凌げる薪でも炭でも作るだろう。 と彼女の祈りに言葉を足した]
(66) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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[>>59不自由な身で這い寄って、兄の服の袖を引く。]
うん……。 今夜は冷える、から……。
[そんな言い訳などしなくとも、兄が拒まないでくれることくらい、知っている。 兄は、いつだって優しい。 慈しむような眼差しの奥に、何が潜んでいるのかなんて、知らなくていい。]
………………。
[熱が溜まっているのかと問われれば、俯き加減のままに、こくりと頷く。 脚と一緒に、こちらも使い物にならなくなっていれば、いっそ気も楽だったかもしれない……いや、きっとそれでも、求めてしまう慾は変わらなかったろう。]
(67) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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ん? なれるかどうかは俺は知らん。 なろうと頑張るならなれるんじゃないか。
[少しずつ動けるようにはなったようだが>>32>>33 まだまだ村の一員として新しい場所を作るには 道程は遠そうだ。
だが女でも薬草の知識が加われば話は変わる。
俺には子も、弟子もまだいなかったから。 江津子さんが身籠ったことも。 その子が何処へ行ったかも知らない。
存外傍で、時々舌鼓を打たせてもらったり しているとは知らないまま。 似た色の髪と目の父娘の夢が時々その娘の 心を苛んでいるとも全て知らぬまま。
娘のかわりに別の娘に慈悲を施す]
(68) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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仕事で疲れてるのに……ごめん。
[詫びながら、けれど縋るように、兄の肌に両手で触れる。 女と交わることが嫌いなわけでもないし、胤を注ぎたいという欲もある。 ただ兄との行為は、また別なもの。 ときに注がれ、ときに注ぐ精は、けして子を成すことはない。 ただ代りに、強い充足感を与えてくれて、独占欲を満たしてくれる。]
(69) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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そっちも色々やる事あるんだろうから。 そうだな。 簡単な試験だと思って。
[よいしょと立ち上がり、志乃に渡したのは 3種類の薬草が混ざった袋]
この袋の中の草を、 それぞれ同じ種類だと思う草同士で分けてみてくれ。
期限はそうだな。 三日位か。
形、手触り、匂い、それぞれ特徴がある。 ただし食うなよ? 毒草ではないが、貴重だからな。
[比較的判りやすいものを混ぜたつもりだ。 書き残すのが好きな源蔵に助けを求めれば、 案外簡単に判るかもしれない]
(70) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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覚えることは山の様にあるからな。 じゃ、次は三日後に。
[そう言って草の束を渡せば志乃は帰るだろうか。 覚える事、と言ってちらと目をやった薬棚。 少し薬を覚えた頃に、得意になって 石動や源蔵を招いて、あの棚にはあれが、 この棚にはあれがと説明したことがあった。
先代に雷を落とされた頭の痛みは 今でも忘れないが。
心を落ち着ける薬や風邪薬。 眠りを誘う薬程度は面倒で棚の位置は変えぬまま。
昔の事、誰も覚えていまい*]
(71) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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[夜闇に溶ける艶声は、女のものより、幾分低い。
けれど時折、高く そして切なげに、掠れる。*]
(72) 2017/11/23(Thu) 21時半頃
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―― 朝:村の路で ―― [男の一日は 外歩きから始まった。 本冷えにはまだ遠い空気の中、それでも首の周りに端切れのような布をあてがい脆弱な気管支の吐き出すけぶり。けふ、と追ってもう一吐き。
透き通る朝に>>#2紛れ込む女歌。 ]
[ちいさな男は、それを口ずさむ女の横顔を見、 過ぎていった背中を見て、 追いでもするように足を踏みだし、
三歩もいかぬうちに踵を返した。 憑かれたような女の後をつい追ったこと苛立つように足早に、 ただ180度 進行方向を違えただけの目的もない足向く先]
(73) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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− 翌朝 −
[志乃に渡した草とは別に。 夜は干していた葉を薬研でで粉に。 空を見て明日が晴れなら薬を干す準備をして。
急な患者がいないのなら早々に床に就いて。
精を吐き出した腹には温かな汁で満たされ 心身共に満足したせいか眠りは深いものだった]
(74) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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後は滴る温い血があれば……。
[飢餓を訴えるのは喉か心か]
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おお、さぶい。
[チチチ、と囀りに目を覚まし、吐く息の色を 確認しながら支度を始める。
草や葉を干し、今日回らなければならない薬を用意する]
季節の変わり目は節々に悪い。
[脚を悪くして満足に歩けない錠を思い出す。 彼にも薬が必要だろうと詰め込んで]
愛理ちゃんはまたいつも元気だな。
[村に響く出鱈目な歌声>>#0 何も欠けていないのに、何も持たない 不思議な少女だと時折思いながら>>#1 動き回る声の方へ顔を向けつつ村を歩く*]
(75) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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― 翌朝 ―
[兄と情を交わした翌朝は、昼近くまで、横たわったままのことが多い。 今朝もまた、そうだ。 兄の姿は……探すだけ、無駄だろうか。]
あぁ、しまった。 今日はリツのところに、車椅子の調子をみてもらいに行こうと思ってたのに。
[ずる、ずると布団から這い出て、卓袱台に手をつき、半身を起こす。 昨日の味噌汁の残りは、まだあったろうか。 冷たいままでいい、とにかく腹に何か流し込んで、家を出るとしなくては。]
(76) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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本当に。
この村は……いや、群れは終わりだな。
[随分と不要な者が目立つようになった。
それが素直な感想。
ぽつりと漏らした感想は。
疑う事も聞こうともしない群れには聞こえない*]
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―― 朝 ――
[ボロ屋敷の居間で目を覚ませば布団より這い出て瞼を擦る。 日ごとに寒くなっていく夜に、吹き通しの家では碌に睡眠もとれない。 ふらふらと二部式帯で簡素に着付けを行えば家の補修等も行いたいが、今日は家族の死んだ日。 家を出ていけば墓地へと足は向いていく]
……もう一年経つね。
[神道式の四角錐状の墓石の前で神式に則った二礼二拍手一礼 お供え物を出す余裕は無いので水のコップと花だけを入れ替えて玉串を捧げると神社で付けてもらった霊名で母と弟を呼び、しばらくの家族の時間。]
(77) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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ススムは、エツコに話の続きを促した。
2017/11/23(Thu) 22時頃
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―回想:妹と私―
[仲の良い姉妹だった。 外見は似ていなくとも、何処に行くのも一緒だったし、 喧嘩をしたことなんかも殆どなかったと思う。]
そうかな? なら、花とか、植物の勉強も、出来るようになるかな。
[>>9薬師の男に似ている、と褒められた焦茶の先をつまむ。 頬が緩むのが分かった。 おぼろげだった父親という存在を意識し始めたのも、 妹の言葉あってこそだった。]
ゆりの髪も、とっても綺麗だよ。 烏の濡羽みたいな黒色。羨ましいなぁ。
[深い黒。何物にも穢されない強い色。 巫女である母と同じ、総てを包み込む美しい色。 そんな色を持つ彼女は、私の自慢の妹だった。]
(78) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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[それも、あの日までの話。]
(79) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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あ。 すすむ!
[それから少し後。娘はまた、猫以外に意識を動かされた。それは、丁度、その両手がついに猫を掴み上げた瞬間。掴むなり弛んだ娘の手から、猫はぬるりと脱け出ていった]
すすむ、おはよう。 すすむ、元気? 私は、元気だよ!
[逃げてしまった猫はもう忘れてしまったように、娘はぱたぱたと進に駆け寄り、矢継ぎ早に声をかけた。 進。その少年の初夜を娘は相手にしていた。あるがままに行為を促し、あるがままに行為を受け入れた。それから度々、少年は娘に伽ならぬ伽をする事があった、 その、進の話を、娘はいつも大人しく聞いていた。大人しく、といっても、すぐにわからない言葉を聞いたりしたし、大人しいが過ぎて眠り出す事もあれば、いよいよ飽きて昔話やら何やらねだる事もあったのだが。 何しろ娘には、進がそうして語る話は難しくて、大体が何もわからないのだ。ただ、その語る声色は娘は好きだった。「あたまいい、すすむ」の]
(80) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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[初めての記憶は、酷く苦々しいものだった。
痛みに身体が強張る。涙が溢れて、視界が滲んだ。 相手の表情は覚えていない。困惑?愉悦?分からない。 ただ、揺すられる感覚に、吐き出される子種の温度に、 せり上がる悲鳴が、嗚咽が、両の掌の隙間から漏れる。 名の意味とは裏腹に、 村人を受容れることが出来なかった、あの日。
その日から、母の眼差しは温かさを失った。>>11 彼女の瞳は、妹ばかりを写すようになった。
妹は変わらず優しかったけれど、 次の巫女として、母に手を引かれる彼女は、 どんどん遠い存在になっていくような気がした。]
(81) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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ゆりは、きっと、素敵な巫女になるよ。 私なんかより、ずっと。
[母の儀式の前日。妹にそう言って、私は笑った。笑って見せた。 泣いたところで、叫んだところで何も変わらない。 それは、あの日から心の中で横たわる、黒い影。]
(82) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 22時頃
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[――あの日から?
いや、違う。 もっと昔>>23からあったような気がするのは、何故だろう?]
(83) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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お母さん、私ね。ミナカタになろうと思うの。 試験はあるのだけどね…… 一人できちんと生きていけるから、安心して転生してね……
[自分の身の振りを報告し、昨日渡された袋を墓の前に見せる。 3日で種類を判別しなければいけない大変な試験、結果が出たらまた報告にと告げて志乃は次いで神社へと向かう。]
(84) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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[母の死んだ夜から、それなりの月日が経った。 あの日以来、私は神社に足を踏み入れていない。
村の者から伝え聞く限りでは、 妹は立派に巫女の務めを果たしているとのこと。 それを聞く度に私は安堵し、惨めになり、 そして、恐怖に駆られるのだ。
巫女であった母の、優しかった母の、 凍るような冷たい眼差し。 巫女となった妹も、同じように “成り損ない”を、拒絶するのでは、と。*]
(85) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 22時頃
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― 朝・村の中 ―
[寝不足に痛む頭を押さえながら、それでも仕事に行く準備をする。 まだ弟は寝ていただろうか。]
行ってくる。 今日はミナカタさんの所に行きなさい。 そろそろ診てもらわないといけないだろう?
[薬師の元へ行くように告げて外へと出た。
朝早くから動き出す人もいる。 農家や猟師などは日の出と共に動くし、そうでなくとも年寄りは朝が早い。 だが目に入ったあの男にこんな時間に出会うのは珍しい>>73]
おはよう、源蔵。 散歩をするのならばもう少し気温が上がってからがいいのではないか。
[気管支の弱い彼の時折咳を零す様子に心配そうな視線を向けた。]
(86) 2017/11/23(Thu) 22時頃
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