204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[ざわついた心も、
握られた手の感覚に少し落ち着く]
……うん。
そう、だね……
[同じようにうなずきを返した]
大人同士 また説得力 違うよね
[頷きを返しながら 笑顔を見た
その笑顔 見惚れて笑う
自分の手が ラルフに触れて その笑顔が嬉しくて
湧き上がるものがある けれど
静かな中 それに 従ってはいけない と
だから 近い距離 もっとという
自分の欲求は これ以上叶えない]
[今 ラルフの手 握っているのは 自分
ラルフの心が落ち着くのを感じ
彼の中の ささくれも 落ち着いて
握った手指 指先を絡め…………指先が
ラルフの指 そこに傷があることを伝える]
避けられること 避けなきゃ
[その傷 そっと指先で撫でる]
うん。
それなら大丈夫かもしれないし。
[フィリップの笑みに、同じように笑みを浮かべる。
触れられたところも暖かくて。
けれど、それ以上近寄ることはしないまま]
[傷にふれる指先に、小さく手が震える。
痛みは、心なのか、傷なのか、よくわからなくて。
それでも、伝わるものに、気持ちは落ち着いていく]
……衝動を覚える前に、離れたい……
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[両親は愛情深い人だった。 姉が死に、しかし彼女が生まれた証として、残された弟を「プリシラ」と呼ぶくらいに。 あの子の分まで生きるように。 あの子の代わりに生きるようにと。
だからずっと、プリシラとして生きることになった。
ここまではバーナバスも知っている話。 ここからは、自分と育ててくれた祖母だけが知る話。 バーナバスに会う数週間前、そろそろ旅をする年頃だからと聞いた話だ。]
(299) 2014/11/18(Tue) 14時頃
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[姉が死んで、嘆き悲しんだ母は姉の亡骸を喰ったという。 ――もしかしたら、衝動に襲われたのかもしれない。 その真相は誰も知らない。 祖母は薄々知っていたかもしれないが、教えてはくれなかった。
そして姉を喰った母は物を受け付けなくなった。 弱った母は、ある時父に自らを喰うようにと願った。
父はその願いを聞き届け、後を追うように死んだ。 誰より母を愛した人だったから。 一人残された息子の将来を思いながらも、それでも母のいない世界は、父にとって耐えがたいものだったのだ。
結局、姉が両親を連れて行ってしまったようなものだ。 自分だけを残して。]
(300) 2014/11/18(Tue) 14時頃
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[父も母も、「プリシラ」を選んだ。 その思いが、どこかにあった。
育ててくれた祖母も、慣わしだからと旅へと送り出した。 行きたくないと泣いたのに。
皆、「俺」のことは要らないのだ。 だから皆、「俺」を置いていく。
手を取ってくれたバーナバスも。 仕方なく一緒にいてくれているのだろう。 嫌な考えが浮かんでくる。
置いていかないで。 願うのに、口に出して言えない言葉。**]
(302) 2014/11/18(Tue) 14時半頃
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[痛い。
ざわつく心が痛い。
その腕に抱かれているのが、うらやましいと感じて。
見ないことで、誤魔化そうとして。
増えた、血の匂いに、くらりとめまいがしそうになる]
――フィリップ。
[すがるように名を呼んだ。
彼はトレイル相手に衝動を覚えていたから。
いま、彼が衝動にまけたら――
そう思うと、怖くも、あった]
――フィリップ、
いま、――衝動に負けたら
君が、……殺されてしまう……
[それはいやだと思う。
衝動を抑えきれないところを見るのも、いやだと思う]
――……
[温泉に残してきた二人を思う。
じくり、痛むものを感じて。
瞳を伏せた。
衝動は、まだ――]
……そう、だ。
フィリップと、いっしょに、旅するなら。
ドナルドにも言わないと……
ドナルドも賛成してくれたら、フランシスも、説得できるかも。
[仲のよい二人を思う。
フランシスはどちらにも保護者として接していると思っているけれど。
ドナルドはフランシスのことをよく理解していると思うから。
そんなことを考えて。
ノックスたちから、意識をそらす]
ーーーーー…………っ
ラ…………ルフっ?
ぁ…………っ
[引き戻した 思い 痛い 何かが痛くて
先ほど触れた傷が あれは誰の?
痛みを感じるなら彼の? 彼とは?
痛むことが悲しくて そして 痛みは
理性を生む]
…………ラルフ……っ
[縋るラルフを抱きしめるように
ラルフに縋りつくかのように
心はラルフを求めて]
…………う……ん
お……れは……ラルフと 生きたい
[ふらと 崩れ落ちそうな脚
それでも 温泉から逃げた 衝動から逃げた
目の前は暗い だから ラルフの思いを導にして]
食べたい 食べたくない
食べたくない 食べたい
駄目だ ここを 一緒に
駄目だ 離れて ここから
フィリップ……
[伝わる。
その、衝動に。
手を伸ばして、治めることができるかと]
[痛い 痛む きしりと
暖かな 陽射し 思わせる
あそこに帰りたい そう 一緒に旅を]
[だから 一番
衝動を 向けてはいけない人]
ラル…………ふ……
[その温度は ラルフのもの
一番衝動を 向けては いけない 存在]
――
フィリップ、……
[食いつかれても、怖さはない。
ただ、フィリップが落ち着くように、呼びかけ続ける]
俺ーーーーなんてこと を
[薄い硝子が砕けるような そんな音が響く
衝動を抑えた 望みが絶たれる 音]
[痛い、熱い。
食われる感覚に、ぞくり、とする。
それもまた、一種の衝動をあおって。
気づいたフィリップに笑みを向けた]
……いいよ。
俺が、傍にいたせい、だから。
違う ラルフのせいじゃない 違う
………………
[ほと ほとと
滴が目からこぼれる]
一緒にいられなくなる
[どうして こんな獣と 大事なラルフを
一緒に旅をさせてくれようか?]
ーーー一緒にいられない
[どうして 今後 ラルフに一切衝動を向けないなんて
己を信じられようか?]
……一緒にいられないのは、悲しい、よ。
[涙止まらぬ様子に、悲しげな色がかえる]
――フィリップ。
けどーーーーけど
一緒にいたら いつか 食べてしまう
いつか 終わってしまう
いやだ 俺 ラルフ 食べたくない……っ
でも 食べたいって 思ってる
――――フィリップ。
[食べられたら、フィリップの一部になる。
けれど、声は聞こえないし。
温かさも、感じられるか、どうかわからなくて]
……たべなくても、いっしょにいたいのに、ね。
博徒 プリシラは、メモを貼った。
2014/11/18(Tue) 22時頃
…………一緒にいたい ラルフと
痛いよ いたいけど…………
一緒に…………そばに
――うん。
いっしょに……それだけでいいのに。
[衝動の、抑えることのできない強さ。
それは、どうしようもないもので。
フィリップを、ただ案じている。
それと同時に――
同じものを感じてしまったら。
きっと、抑えることなどできないと、思う]
……それだけが できない
[獣であることも悪くないと思った
それが すぐに転じられる
一緒にいられない ラルフを傷つけた
それでも 大丈夫と 言ってくれる
ラルフといられない
きっと いつか抑えが効かなくなる
同調した感覚 何に?]
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