60 ─昨夜、薔薇の木の下で。
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セシル、起きて。
[もう一度、その身を揺する。 けれど、彼は起きる気配なく。 茨に囚われる様子は、まるで眠り姫。 その美貌を見降ろし眉尻を下げて、途方に暮れた顔をした。]
どうしよう……、医務室に運んだ方がいいのかな。
[どうにも1人は心細く。 それでいて誰にもこの寝顔を晒したくないような。 そんな感情が渦巻くけれど、僅かに理性が勝つ。]
でも、1人じゃ運べないし、このままだと駄目だ。
[ひとまず床に散らばったマグの欠片を片づけ、新しい衣服を取り出す。その後、彼の肢体を隠していたシーツを剥いだ。 背後から上半身を抱き起こして、四苦八苦しながらシャツを着せる。次に下肢の衣類に取り掛かろうとすれば、どろりと後口から自分が放った精が内腿を伝うのを見た。 このまま履かせたら拙いのは、流石に判る。]
(53) 2011/08/09(Tue) 11時半頃
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う……ご、ごめんなさいっ!!
[思わず謝るのは、先程とこれからの行為に対して。 そっと指先を白濁零す孔へと埋めた。指をかぎ状にして掻きだす。 やむにやまれずするこの行為が、後処理だとは知らず。
それでも、起きない相手に、やはり異常は感じつつも まるで木偶のようなこの人を犯したらどういう感じなのだろう……と。 何故か、そんな考えが頭によぎって、ふるふるっと頭を振った。]
とりあえず、これで大丈夫、かな。
[身に溜る熱を持て余しながら、 どうにか後処理を済ませ、相手に服を全部着せ、 情事でシーツがどろどろになった彼のベッドから、 自分のベッドへと移すところまではやり遂げる。 相手のベッドからシーツは引っぺがし、床の隅に皺になった情事前の服とまとめて、丸めて置いた。]
(54) 2011/08/09(Tue) 11時半頃
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誰か呼んでくるから。
[自分も服をきちんと着こむと、ベッド脇に立ち、 そっと同室者の前髪を横に流すように梳いて、こめかみに接吻ける。
醒めない眠りは、死以外にはないから起きてくれるだろうと思いながら、どこか……――掠めた怖い考えを振り払うように扉へ向かう。
開け放った窓から、風が吹き込んだ。 パラパラと机の上に置いた聖書がめくれる音にびくっと身を竦める。 ふるっと身を振わせれば、括り忘れた髪が揺れた。 ――……否、あの人の象徴である真紅をつける気が起きなかった。
廊下に出ると、部屋に鍵をかけ、人の姿を求め、さて何処へ*]
(55) 2011/08/09(Tue) 11時半頃
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――……っ!?
[ヤニクに対して、あっと口を開きかけたタイミングで、
この場にいる筈のない人の声が脳裏に木霊した。]
この声って、ノックス先輩?
[少しキョロキョロと周りを窺ったけれど、
もちろんその姿は見えず。
どうしよう、俺空耳が聴こえる年齢でもないのに……。
と、思いながら、どこかなぜか聴こえる理由が判る気がするのは、香る薔薇の芳香の為だろうか。]
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― 廊下 ―
[人の姿を探して、廊下を行けば話声が聴こえた。 だからそこに向かうのだけれど]
あっ……―――
[見えた姿の1つに小さく声をあげた。
できうるなら彼の後に続きたいと思っていた人。 でも、もう、続くことなどできない人。
眩しくて、眼を細める。 その後、彼の隣にいる人物に怪訝な顔が浮かぶ。]
(56) 2011/08/09(Tue) 12時頃
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[甘く蕩ける表情に、くすりと小さく笑った。…けれど。>>41]
……自分からは、動かないんだね〜。
[抵抗こそしないものの、時折絶望の表情を覗かせ、決して自分からは触れてこようとしない後輩。笑いは、苦笑めいたものとなる。]
……耐えちゃってる、ね。
[イアンの艶かしい表情や、高い声に、自分の中の熱も高ぶってはいた。しかし、ここまで絶望を晒され、耐えられてしまえば、心は徐々に冷えていく。
めちゃめちゃにしてやりたいと思う心と。 それでもなお、折れないのだろうなと思う心。
俺、負けたんだろうな〜、と考える。]
(57) 2011/08/09(Tue) 12時半頃
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[体を起こすと、イアンから距離をとり。]
……行きなよ。俺を抱くのに耐えた、ご褒美だ。 約束は守るよ〜。 俺だって……ここまで嫌がられながらの初体験は嫌だもの。
また俺がおかしくなる前に、早く、行って…… 君、可愛いから、我慢できなくなるよ〜。
[壁の方を向いて、自分の体を抱きながら告げた。]
(58) 2011/08/09(Tue) 12時半頃
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…何しちゃってるんだ、俺。
うう〜。
[泣き出しそうな、情けない声。
今度ははっきりと、テッドに届いただろうか。]
イアンは、ノックスが自分を抱きしめる姿に目を細める。
2011/08/09(Tue) 12時半頃
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[この短時間の間の行いで、薔薇の毒は、イアンにも移ったのだろうけれど。
他と比べればまだささやかな行いによって植えられた種が芽吹くのは、もう少し後のこと。病弱な少年が倒れてからだろう。
既に、淫らな行いと敗北感で、少年に刻まれた薄紅の蔦は、腕から背中へとその手を広げているのだけれど。]
(59) 2011/08/09(Tue) 12時半頃
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――……えっと、なにが、どうしたんです?
[薔薇の香りで色々麻痺してるのか、
頭に聴こえた泣きだしそうな声を放っておくこともできず、
ひとまず頭の中で尋ねてみた。]
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せんぱ い
[行けと言われて、痺れた身体を動かそうとするも、 まだそれは動けず、 きっと、その毒の強さをノックス自身も知らないのかもしれない。]
せんぱ い 教えてください。
花を咲かすってなんです?
[そう、逃げなければならないのに、 その向けた背と、さっきの謎めいた言葉。
聞かなければならないと。]
(60) 2011/08/09(Tue) 12時半頃
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『ああ、良い子』
『あの子の想いはなんて甘美』
『残した想いもなんて熱さ』
[新たな虜の訪れに、薔薇はうっとりと笑っている。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2011/08/09(Tue) 12時半頃
………あれっ。オリオル君の声が聞こえるよ〜?
なんでだろ〜。
[後輩の声が聞こえたことに、不思議そうに。
その疑問が、一時的だが泣きそうな声を引っ込めさせて、いつも通りののんびりとした声を取り戻させた。]
元気〜?俺はあんまり元気じゃないよ〜。
今日も絶賛不健康児〜。
[冗談を飛ばすけれど、は〜、と溜息を一つ。]
『君も素直になれば良いのに。』
[思った以上に忍耐力のあるもう一人には不満げな視線を向けるけれど。
少しずつ浸食しようとするそれだけで、か弱い身体にはひどい負担となるのだろう。]
うるさいな〜。
童貞の執念なめるなよ〜。
[全くもって自慢できない。]
………俺の恋心、あとであげるから、さ。
その感じは、やっぱりノックス先輩ですね。
なんでって、俺が聴きたいんですけど……。
[脳内会話が成立したことに、若干驚きつつも、
それほどの驚愕がないのは麻痺しているからだろう。]
俺は、まぁ、そこそこ元気ですけど。
先輩って、気持ち的にはいつも元気そうなのに
身体はおいといて、どうしたんです?
[なんだか結構失礼なこという間に、
聴きなれない声が聴こえて、流石にびくっとなった。]
え?もう1人聴こえる??
ちょ、え、なんの話してるんですか?
[童貞とか恋心とか聴こえて、あわあわ。]
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花は花だよ〜。
薔薇に決まってるじゃないか〜。
わかんなくても、すぐわかるようになる。
[ぎゅっと体を抱きしめる。 自分の衣服はまだ脱いでいなかったから、背の文様は見えないだろう。イアンの方は向かない。]
(61) 2011/08/09(Tue) 13時頃
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こう…男への初恋っていうの〜?
俺の中にそんな感情があったっぽくて。
それがかなり衝撃だけど、その相手が嫌っているとばかり思っていた人で、それも衝撃で、且つ既に恋敵がいる上に、相手は多分俺のこと何とも思ってないだろうなという予想ができて〜。
前途多難すぎて泣けてきてるところ。
[さすがに、その恋敵と寝てしまいそうになっているのまでは省いたが、テッドに軽く説明する。
倫理観の強い彼にあっさりと言えてしまったのは、秘密の会話ができたことで、気持ちが緩んでいたからだろうか。]
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[花は薔薇、そう言って我が身を抱くノックス。 その背中がさきほどまでとは違い、 とても儚げにみえる。]
せんぱい せんぱい
[行為をやめたせいなのか。 それともやっと毒が身体に馴染んだのか。 手足の痺れがとれて、動けるようになれば、 ゆらりと上半身を起こした。]
せんぱい
[そしてその儚い背中の元に行こうと。]
(62) 2011/08/09(Tue) 13時頃
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先輩、こっち向いてください。
[振り向かないなら、その肩を掴もうと。]
(63) 2011/08/09(Tue) 13時頃
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嫌い嫌いも好きのうちってやつだったってことですか?
[おそらく相手にとっては酷く重要なことなのだろうけれど、
どうものんびりとした口調が、それと感じさせない。]
相手も無関心の振りしてるだけかもしれませんよ。
それにどうせ後悔するなら、動いて後悔した方がいいんじゃないですか?
一般的には。
[だからこそもあるだろう。
相手が知らない間に、倫理観の一つが崩れてしまった少年もまた、わりとあっさり無責任なアドバイスをした。]
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違う…私は… ――…いやだ…それ以上…
[またひとつ、暴かれる真実に耳を塞ぎたくなる。 穢れなきと思ってきた世界は幻想でしかなく、 清廉の皮を被りただ視界を覆い隠して、 周りの者の姿すら見てこなかったのは己自身で。 今だって壊れてもいいと紡ぐ傍ら何処か望みを捨てきれず。
だからなのか、 四度目触れる唇へと紡ぐサイモンの言の葉は 弱り崩れかけた心にひどく甘く響く。]
(64) 2011/08/09(Tue) 13時頃
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――…何も…?
[奪わず、壊されず、救済するのだという。 触れた口付けは甘く、嘘をついているようには思えなかった。 薔薇の香にすっかり酔わされたセピアは 優しく誘おうとする蛇の言の葉を疑うこともなく]
…教えて…欲しい…。
[セピアを伏せて救済を乞う言葉。 教え、救ってくれると言う異教の男へ、 委ねるようにその手を差し出した。*]
(65) 2011/08/09(Tue) 13時半頃
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……………君。
ばかなの?しぬの?
[近づかれる気配に、力を抜いて。 振り向くと、イアンの両肩を掴んだ。]
俺は、逃げろって、言った。 …幸運の女神って知ってる?後ろ頭に髪がない、っていうの。
[ゆら、と瞳が揺れる]
通り過ぎた女神の後ろ髪を掴むことはできない。 …一度掴みそこねたチャンスは、二度とは掴めない。 そういう意味。
(66) 2011/08/09(Tue) 13時半頃
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ジョージは、フィリパがサイモンの誘いに乗るなら、いつも世話をやかれるときに似た笑顔できっとついてゆく。**
2011/08/09(Tue) 13時半頃
うっさいば〜か!
俺、動く事のできるような…自分に自信のあるものなんか何も持ってないもん〜!
リア充爆発しろ〜!
[子どもっぽく、自分でもよくわからないことを言いながら反抗。はあはあと息を荒げながら]
……ああ、ごめんね〜。
話の途中だけど、ちょっと……取り込みそう……
[どこか虚ろな響きを乗せて。]
俺もべつに自信なんて何もなかったすけどね。
リア充爆発ってなんっすか???
[子供のように叫ぶ人に、きょとん。]
――……ただ俺は、どうせ後悔するなら
自分じゃないとって言ってくれる人が良かったってだけで。
[ポツっと呟いた後黙るのは、取り込むと言われたから。]
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[両肩を掴まれて瞬く。だけど]
だってせんぱい
さみしそうだから
[きっとカメラが持ててたら、撮ってた。]
(67) 2011/08/09(Tue) 13時半頃
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イアンは、ノックスの揺れる眸に目を伏せる。**
2011/08/09(Tue) 13時半頃
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― 廊下 ―
[そしてサイモンの手にフリッパの手が伸びれば、 何かを察して苦い息を吐いた。
それでも、止めることは、以前であっても出来なかっただろう。 今なら尚更……――無自覚に、薔薇が求めているものが判るから。
ただ、どこか失望に似た色を眼差しに込めて、一行とすれ違う。]
――……ん?
[振り返るつもりはなかったのに、振り返ったのは 2人の影に隠れて見えなかった存在に気がついて。
何よりも、自分自身が放つ薔薇の香りに麻痺した身にも届く芳香。 その元である少年の背をじっと見つめた*]
(68) 2011/08/09(Tue) 13時半頃
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…同情かよ〜。でも。
[寂しいよ、寂しくて、悲しい。]
馬鹿だね〜。君も……俺も。 もっと自分に自信が持てたら、君とも対等に戦えたん、だろうけどな〜…
[イアンの顔を両掌で包むと、顔を寄せて口づけた。 寂しさを埋めようとする相手がよりにもよって、自分に同情した恋敵だなんて、あまりにも滑稽で惨めだけれど。]
……もう、止められないみたいだ。
(69) 2011/08/09(Tue) 13時半頃
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