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[尻尾はやがて、雫に濡れた雄へと伸びる。
けれど、毛先が触れるか触れないか程度、ふわふわと掠める程度。]
……して、ほしぃ〜?
ねぇ、トレイルぅ。
もっと、イイコト……してみる気、なぁい〜?
[伸ばした爪の先で、トレイルの耳の内側を、カリッと小さく引っ掻いて。
尻尾のゆらゆらは、未だ熱を掠めるだけのままで、訊ねる。]
[夢中になって言われるが儘していたら、
何かよくわからないけど、ほめられた。]
ふぁ、 ん。 ぅう……?
[面倒な巻き毛の毛繕いならお手の物だ。
が、多分それとは関係ないのだろうとぼんやり思う。
頭を撫でて褒められれば嬉しくなって、
もっともっと頑張ろうとするけれど]
う―――…
いふぃわる、やだ…っ!
[軽く触れるだけの尻尾に咥えたままの抗議。]
……ふぁ?
いいこふぉ?
[引っかかれた耳に引き戻されるように。
舌をフランクの中心に沿わせたままおずおずと顔を上げた]
―――?
なに、それ。
[なにせ筋金入りの箱入り息子、
それが何かなんてまったく想像つかなくて。
見上げる目を丸くして、
うんともいやとも云わずに不思議そうにしている。]
ん〜……?
なぁに、言ってるのか。
分からなぁ〜い。
[しらばっくれつつ、尻尾ゆらゆら。
おずおずと顔を上げたトレイルと視線が合えば、とろんとした笑みを向け、耳から髪へ、頬へと、肉球を滑らせて]
そぅ、イイコトぉ。
……あれぇ?
[もしかして、トレイルはこの意味を分かっていないのではないだろうか。
軽く瞬いたあと、成程、箱入りだと、納得したように頷いた。]
もう立派な成猫(せいじん)なのにねぇ〜……。
か、む、?
[言われた通りに、そっと歯を立て、先端を舐め擽る。
ちゅ、と吸い付けば音が響くだろう。然程大きな音という認識は、ないけれど。
空いた手で傷跡をなぞり、時折爪を立てた。]
じぇーちゃ、きもちい?
[これだけで上がってしまった息を整えながら、上目遣い。]
……じゃぁ〜……。
教えてあげようかなぁ〜?
[ひょいひょいと、顔を寄せろという風に手招いて。
近付いてきた顔の、頬や鼻先を丹念に舐めてから、唇へ]
……ン〜。
[マタタビのにおいの染みついた唾液を絡め、ぴちゃぴちゃと、わざと水音が響くように。]
んッ、く……ん。
………は、ぁ。
ねぇ、トレイルぅ……わかるで、しょぉ〜?
[緩く腰をずらし、先程までトレイルに咥えられていたモノを、トレイルのそれと触れ合わせ]
こうやって、さ……擦り合わせて、ごらん……?
[手本を示すかのように、腹の間でふたつを絡ませ、擦り合わせる。]
[トレイルが動き出せば、自分は殆ど動かない。
時折、より好い場所を探るように、若干腰をずらしはするが。]
あぁ、そうだぁ……。
ひとぉつ、大事なコト、聞いておかなくちゃぁ〜。
[一応は、年長猫であり経験猫でもあるわけなので。]
トレイルにはさぁ〜……好きで好きでたまらない猫(ひと)とか、いるかなぁ〜?
もしいるのならさぁ〜、ボクがもらっちゃったら……悪いでしょぉ〜?
[ふさっふさっと尻尾を揺らし、トレイルの、毛並みのいい尻尾に絡み合わせる。
絡めて、その付け根あたりを、ゆっくりと刺激する。]
──あっ、ん。
気持ち、いい……
[他の誰にもあまり振れることを許さない胸に舌を感じて素直に声を吐き出し]
サミュ上手いな、……にゃ、ふッ
[傷痕を引っかかれるとたまらないのだと伝えるように下半身の熱ごと押し付けて潤んだ目で見つめ返し]
[聞こえる声が苦しそうだけれど、それが気持ち良い証拠なのだろうか。
よーらちゃにマッサージをしてもらう時、俺も変な声が出る事があるし。
そう思うと、その声にまた、どきどきしてきて。]
……じぇーちゃ、……かわい、ー
[照れ隠しのようにそう口にして、今度は反対側をかぷりと咥える。
押し付けられる腰に戸惑い、片方の手をそっと、熱の中心に伸ばす。
むずむずするとき、大抵気になるのは、そこだから。]
[休眠状態のこたつが形成する空洞は幕により暗く遮音され、重苦しい生暖かさをたたえていた。
そして、濃密にたちこめる危険な香り。]
── …ッ!
[己の手も見えぬ泥闇の中、危機を感じて口元を覆う。
じり、と足は後退して脱出口を探そうとするも、先に入ったはずのカルヴィンのことが気がかりだ。]
[自分より身体の小さなカルヴィンのこと、またたびにあてらたれらひとたまりもあるまい、放置してはいい餌食だと、熱血ヒーロー思考でもって踏みとどまる。]
── カル! くふ…っ
[口を開けば、またたびを吸い込む。
それでも武(ウー)は手を伸ばして闇を掻い探った。]
【人】 友愛組合 チアキはあい! (70) 2013/04/04(Thu) 20時頃 |
[黄金の天鵞絨を纏うようなトルドヴィンの姿は、豪奢にして可憐。
一つ前の実父すら判然としない文字通りの雑種にしてみれば、触れることさえ躊躇われるような宝石に等しい。
それが今は、じっとりと全身を濡らして小さく震えるばかり。
豊かな被毛に隠されていたなだらかな腰も、折れそうなほど華奢な四肢も細かく震えていて、しがみついて来る指の爪までも儚く弱い]
[クラクラするようなシャンプーの匂い]
サミュ……ぅ、ぁん。
[ぐるると喜びの喉を鳴らしながら感じているのを隠さずに素直に喜びをサミュエルへと見せ]
かわいくはない、でも……サミュにされてるから。
[反対側にも唇を感じてひくんと身体が揺れると熱が集まる中心がどうしても切なくて耳がへたんと寝てしまう]
– キッチン –
[器にいつから溜めてあるのかわからないような不潔な水、ゴロは嫌いです。
流れてる水が美味しい水。
いつだかトイレに忍び込んで、タンク上で起きてた滝に顔を突っ込んだら、何故だか赤面したヨーランダ姐さんにつまみ出されたこともあった]
みず、みず
[曲がった尻尾をフリフリ、流しに飛び上がる。
慎重にシンクの縁を歩いて、水道のシングルレバーを額で押し上げた。
蛇口から音を立てて流れ出す水しぶきに、ぴゃっと耳を揺らす]
[シンクの縁で器用にバランスをとりながら、首を伸ばして蛇口の下へ舌を伸ばす。
しゃぶしゃぶ。てちてち]
んー…
[眼を細めて、変な後味が消えるまで流水を舐め……
キッチン隅の餌コーナーになんか見えた]
んー…
[てちてち。水を飲む]
んー…
[ しばらーく、水を飲んだ後、二度見した]
ん……?
[流水音に、視線だけをちらりとそちらへ向ければ、水を飲みに来たらしいゴロの姿があった。
わざわざ蛇口からとは、器用なものだ。
それ以前に、あそこに飛び乗ってバランスをとるという芸当が大したものだ。
けれど、それ以上はさして気にとめず、トレイルとの行為に夢中になっていたら]
……ん〜?
[何だか視線を感じた。]
なぁにぃ〜?
[見られたからといって、焦る素振りはまったくない。]
[ここはスルーするのが大人の反応です]
いえなんでも――
[そっとフランクとトレイルから目を逸らした、
瞬間、ズルッと後ろ足が滑った]
アッー…
[三本脚で踏ん張ろうとしてわたわたした挙げ句、シンク内に墜落する。
半分水の張られたボウルにバッシャン!してどかんがらんごろん、ビシャビシャビシャ
水を跳ね散らかしながら這い上がる。じたじたばた]
ふぅ〜……ん?
[目を逸らすさまに、別に気にしなくて良いのにといった風な表情で、緩く肩を竦める。
しかし向こうが気を遣ってくれているのに、いちいち絡むほど野暮でもない。
トレイルがどういう反応を示すかはさておいて、ここはお互い、何事もなかったかのように───]
───あ。
[と思ったのだが。
シンク内に墜落するのを見れば、さすがに驚き、ぼんやり気味だった目を見開いた。]
[床にほうほうの態で飛び降りると、ぶりぶり前脚を振る。
反対脚も振る。
さらに後ろ脚も一本ずつ振り回して水を切った]
……ぁあー…
どうも、面目ねぇ
おさわがせしやしたー
[顔を洗って気分を落ち着けると、とっとと退却の構え]
[知識としては知っている。
こどもが生まれてくるときに、雄と雌が交わす行為のこと。
けれど雄に囲まれて育ったこの猫、
それが雄と雄の間にも成立するなんて夢にも思っていない]
……っ。
[『もう立派な成猫なのに』と驚く声は
抱いているコンプレックスを刺激する。
ふわふわとした意識が暗い気持ちで上書きされそうになる。
だから、堪えるようにぎゅっと目を閉じて――]
おし…… えろよ。
そこまで、言うんだったら……
[――目を開く。
ひとつ覚悟を抱き、手招かれるがままに近寄って、
おずおずと唇を重ねる]
[毛繕いをする舌のぴちゃりという水音が、
こんなにオカしく聞こえることは今まであっただろうか。
ふわふわ、くらくらした。
マタタビに酔わされるよりも、もっともっと
ふ――… ぅ………
ばっか。 …なんも、わかんねぇ…っ!
[分からないからこそ動きは素直だ。
熱いものが自分の熱いものに触れればビクリと震わせて、
教えられずとも、それを擦り付けはじめる]
ぁ、 ぅ、 …ぁあ?
……すきで、好きで?
[その言葉
とろんとした眼差し持ち上げて、
きょとんとフランクを見つめた。]
ぃいぇ〜?
[水を切るゴロに、ゆっくりと首を傾げる。]
ね〜ぇ。
水気とるんだったらさぁ、ちゃんと、タオル使った方が良いんじゃないかなぁ〜?
[視線で示すのは、自分達のすぐ近くに置かれている、猫専用のタオル数枚。
水皿の水を零した時や、外遊びで足が濡れた時に、よく使われるものなのだが。]
………わかんない、
分かんないから、…いいから… ぁ
[気持ち良すぎてぼんやりする。
毛繕いのときに感じる気持ち悪さ。気持ちよさ。
その何倍もの感覚に襲われる。
隙だらけで熱を擦り付ける猫は、
背後からした大きな音
………?
ぁ、うぁ…… ごろにぃー?
[そこにいたのは懐いてる年長の猫のひとりで。
熱に浮かされた眼差しで、
けれど満面の笑みで、にこり。と微笑んだ]
[体が濡れるのはとっても嫌。
若い頃はそんなことなかった気がするけど、いつからだったか。 とにかく嫌ぁな顔で腹の毛を舐めつつ退散しようとしてたけど]
タオル?
あー。 そうでやすねぇ
[猫タオルを示されて、自分の体とタオルを交互に見た]
じゃあちょいと失敬して
[のすのす。びしょぬれの足跡をキッチンの床に点々つけながら古毛布や新聞紙の敷かれた一角へ]
はいごめんなさいよ
[タオルの山を四つ足で踏んづけて、水を吸わせる。
お近づきの挨拶に、トレイルの頬を舐めてフランクの鼻先に鼻をくっつけた]
[手は、よしよしとトレイルの頭を撫でたまま。]
そぅ……。
特別な想い猫がいないんだったら……いいかなぁ。
[ならば躊躇う必要もない。
いや元々、躊躇いなどはなかったが。]
……どっちから先に、教えようかぁ〜……。
[とろけたようなトレイルの頬を、ぺろりと舐める。]
はぁぃ〜。
[ゴロの方に緩く振り向く。
鼻をくっつけられたなら、こちらからも、軽く鼻先を擦りつけて。]
んにゃ。
[ついでに、ちろっと舐めておいた。]
[なんてことが、仔猫の記憶に焼き付いているわけでもなく、
物心ついたときからウーと一緒にいて、
…離れるときはまあ、ヨーランダの意志だったけど。
だから、ウーのことは大体知ってる。
この、ふわんふわんする香りの中で、
ウーがどうなってしまうかも。]
なぅん。
[甘えた声を上げて、足元の残骸を蹴り飛ばす。
音だけを頼りに、ウーが入ってきた方向へ。]
ね。遊ぼうよ―――
[またたびが効かないわけじゃない。
良い気持ち。とっても。]
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