194 花籠遊里
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[腕を引いてくれと、そう望んだのは他ならぬ自分。
その手にまた触れることが出来た時、確かに左胸は鼓動を大きく揺らしたというのに。
結局、『花』は『花』でしかあらぬのだ。
胸元に残る花の教えを深く、深く刻みつつ。
そっと銀で覆われた縁を歪ませた。]
[見ないで、と声に出さぬまま、口はそう紡いで
目尻には快楽からか――うっすら涙が浮かんでいたろう]
[とうのすけ。
音にはせずに藤色の花を呼ぶ。
頭を撫でてやることも、雫を拭ってやる事もできないこのもどかしさ。
己が『朧』である事を、友である事をこれ程に後悔した事は無い。
関わりが浅い『花』となら、こんな思いをせずに済んだのか。]
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〜…っ…!
[「嫌なのかい」と、問うことさえ赦されず。 その瞳に浮上しては泡沫のやうに消えた寂寥を薄暗い室内にて捕らえたのならば、罪悪感か――はたまた、嗜虐心か。
如何にしろ悪質に疼く腹部を其の儘に。 胸が打ち震えては昂奮が喉を伝い、薄く開かれた唇からは驚嘆の息のみが宵闇に融ける]
イヤなら、言いなよ。
[其れは其れは、また花には厭な命であっただろうか。 蝶とは異なり抵抗為る為の、逃げる為の翅も、手段もなく。 ただ植えられた苗床に咲く花には、厭らしい言葉だと。
――其れでもその後には直ぐ、潔い肯定…とは俄かに言い難いそれ>>134が、何の感情かに揺れる声が酸素を揺らしたのならば、こくりと期待に咽を鳴らし。 ――脳裏に顔を見せる寂寥には、唯蓋をして。
ゆるりゆるりと自分の意思に反して謙虚に躯を伝う指先には、もどかしさすら感じ得たけれど。その表情が恥か何か、ほんのり薄紅を乗せて居たのを見上げると、矢張りにやりと唇を歪める。]
(162) 2014/09/15(Mon) 23時半頃
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[今宵は二輪が共に買われているのかと
心のどこかで、そう思っておりました。
聞こえぬフリをしていても、耳には否にも届くのでございます。
お優しい藤の花が、辱められているのでしょう。
麗しい朧の花が、甚振られているのでしょう。
揺れる焔の花は、遠くに身を委ねているのでしょうか。
綻ぶ淡藤の花は、求められるまま咲いているのでしょうか。
───裡に渦巻くものから眸を逸らし。
僕は金糸雀の唄に、耳を傾けるのです。]
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恥ずかしいの、亀吉サン。 …顔、赤いよ。 ――それとも、怒ってるのかな
[くつりくつり性悪くも笑声絶やさず。寧ろ嗤い声とさえ取れるそれは室内にちいさく反響し。 最後の言葉を投げたならば、ふるりと首を振り、「怒るのは、有り得ないか?」なんて挑発で言葉尻を飾り。
何か反抗が見えたのならば、その手が彼の下部へと触れた頃に、強く力を込めて添えてみただろうか。 ――見えなくとも、同じことはやっていただろうけど。
持て余したもう片手は彼の首元の裾を割り、鎖骨を撫ぜ。 退かすように長襦袢を肌から動かし、柔肌に直接触れたならば、その感触を手の内に残すように、胸へと下りて行くまでに掌を遅遅と擦り*合わせた*]
(163) 2014/09/16(Tue) 00時頃
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朧、お願い……もう……
[小さく、願う様に囁く声は涙と色に濡れ
彼にこんなことをさせてしまっているのだと自覚すればぱらぱらと汗に混じり雫が頬を伝った]
―――坊やの悪趣味に比べちゃ、俺なんぞ可愛いもんよな。
[喉を震わせた独り言を聞くものは居ない。
ただ、と思案巡らせ、瞳を微かに揺らした。]
あれもつくづく、面白い坊やだ。
[溜息のような感嘆は、男にしては珍しい他者への興味。
花籠の外に向ける視線は、久しく。
過ぎった感覚を自覚すれば、
笑気一つ零して、夜に再び身を浸した。**]
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[ ――何故、そんな色を見せるのか。と。 >>169
仄かに宿るは寂寥と、何か。 風に揺らいでるでもなく、戸惑いに揺れるでも無く。芯から魅せる色には窮屈な心持さえ覚え、されど唇は殊更に歪み。
嗚呼、彼が優しく抱いてくれと、 自分に淡藤の花頭を垂れ乞うたのならば。 その花を胸に抱き寄せ、 己が両翅で緩々とその躰を撫でてやったのに――
邪な思いとさえ切り捨てられるかもしれない、純粋過ぎるその気持ちにはただ青臭いと心の奥底で嘲笑い。
軈て慣れて来た視界の中、美麗なその顔に笑みが花咲いたのならば、「は、」なんて莫迦にした様な、惚けた様な息を吐く]
(183) 2014/09/16(Tue) 01時半頃
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なんだい、ソレ。 ――ならさァ、もっと。…悦んでよ。
[言葉を彼に流したならば、次は自発的に数度摩り入れ。 告げられた状態>>170には、込められた力には、また一つ笑みを零し、燻りを上げ始めた熱を飲み下して耐えては、確かめる様に指先を熱先に食い込ませる。 そうしてソレが確かであったならば、今度はクスクス声を響かせ嗤ったことだろう。
しこうして耳を掠めた嘲笑には、僅少狂の気の滲む嗤声を打ち消し、眉を釣り上げあからさまにも美しい笑みを貼り付けて魅せ。]
…俺はさ。やっぱり、「花を愛でる」のが好きかな。
[――そんな嘘を、花に綴った。
胸元に掛かる体重には、応えるように頭を傾げて擦り寄り。 只己が胸先に違和感を感じ得たならば、一拍動きを止め、唇を引き締め。 仕返す様に、掴まれたままの手を手早く衿下から滑り込ませ、直に熱に触れては手の内の中心、中指を軸に添えてまた擦り入れ、先の液を混ぜる。]
キミは案外、蝶を喰らう花に成りそうだよね。
[そうして預けていた頭を上げ、彼を見上げて。彼の胸元に滞在する黒衣の手はその胸の飾りを弾くようにはじいた]
(184) 2014/09/16(Tue) 01時半頃
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[ごめんなさい、と
唇は涙浮かべた子供の様に震えながら言葉を紡いだ]
[隣より聞こえるは、激しさを表す声でありました。
肌の打ち合う音も、粘膜擦れる水音も。
やがては明瞭でない嬌声が、弾ける瞬間を伝えたでしょう
見えぬはずの涙の音が、此方へ届いた気さえします。
他の牢でもきっと、花々は咲き乱れているはずです。
此処はそういう場所なのですから。
そしてそれが僕たち『花』の、『しあわせ』であるはずなのです。]
[僕の戯れのような接吻けに、頬を染めた銀花も
誰ぞ彼の腕の中、咲き誇っているのでしょうか。
丸窓からちらりとだけ、月の端が見えました。
「月が欠ける前に」などという言葉を
不意に僕は思い出し
傾く月を眺めては、彼の『花』の行く末を想うのです。]
[尋ねる事が出来たのは、亀吉さんだけでありました。
丁助さんには、寸でのところで訊くのを躊躇ってしまいました。
朧さんに訊けば、叱られてしまうでしょうか。
藤之助さんに訊けば、困らせてしまうでしょうか。
他の花たちにも、訊きたくとも訊けないでしょう。
どうして、訊けないのでしょう?
何故、訊けないのでしょう?
わからないまま、僕はいつであろうとこう答えるのです。]
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[各所から届く甘い音色が、厭らしい音が鼓膜を叩く。 漏れる甘美な嬌声は、どれも腹底に来るものなのだろうけれど。]
――キミのように、ワガママな方が。
[届く宴の音色を耳に通して、尚。 目前に揺蕩う銀月の、劣情の滲んだその顔に、ただ掠り声でそう告げた。 悪趣味だと今一度嘲笑が降って来るだろうか。然しそれも、また一興。
夜空に朧に、然し気品高く咲く銀月が情け無くも乱れる姿を、この目でしかと、見届けたいと。
宙に馴染んだ嘆息に>>192は思わずその胸に置いた手に力を込め、誤魔化す様に下から上へと二三揉み上げたのだったか]
[そうして紡がれた誘い言葉に、誘き寄せられた花蜜の香には、こくりと咽を鳴らし。 その唇が自分の名を形作った事を暗闇の中に知れば、胸を満たすのは征服感とはまた別の、耽美な情。 まるでむずかゆい其れが衝動として競り上がって来たならば、自身もまた花の名を――ちいさく、形作ってみせたことだろう。
花の躰に動きが在った>>194ならば、ぱちりぱちりと目を瞬き、睫を揺らしてその様子を見届け。 手を黒く飾る布越しにその胸先が膨れたのを感じ得れば、親指と人差指に挟めて擦り、偶にはゆるうく引っ張り。]
(198) 2014/09/16(Tue) 09時頃
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…キミ、優しくしてくれなさそうなんだもん
[まるで拗ねた口振りだと、誰かが嗤うだろうか。 熱を孕んだ瞳を別方へと投げ、眉を寄せ。 口端を掠めた感触には唯睫を揺らし。 彼の口がまた距離を置こうと遠退くものなら、強請る様にその顎横へと口付け、唇にて柔やわと挟んだだろうか。
闇に吐息を漏らしながら、されども彼の口先には決して触れてやらずに。 つつ、と下に辿ったのならば、首筋にリップ音を立てながら接吻を落とす。
その間に矢張り疼く腹下と、帯びる熱が辛くない訳ではないけれど。 自身の慾情を隠すかのように、花の熱を強く握り締めては上下に手を揺らした]
(199) 2014/09/16(Tue) 09時半頃
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…脱がせてくれるの?
[言の葉には茶々を飾り。 「然しそうだ、身体に張り付くシャツが居心地悪い」と、花に添えて居た手を外し上衣を脱ぐ事位は甘受して。
放り投げた衣はそのままに、がしがしと一度頭を掻いたならば。 軈ては彼の首元に片手を回し、有無を言わさず自分がシーツに沈むのに巻き込ませ、その銀月が上に覆い被さる様な形を取って見せ。 ぺろりと舌を覗かせ唇を舐めたなら、首元にかけて居た手を下へ下へと回り込ませて、反り立つ熱を手の内にて弄び始めたことだろう。]
ほうら、キミも好きに動いて魅せてよ。**
(200) 2014/09/16(Tue) 09時半頃
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──幸せとは、こんなにも胸が苦しいことなのですか。
[“教えて下さい”
闇世の中、音にさえならなかった吐息が小さく反響しては、消える。]
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[彼の視線>>204を追いながら、打ち震える脚にはただ悦を。 何を映すこともない丸窓には拡がる孤独のみさえ憶え。 ただ何処か物寂しさを感じ得たならば、己の頭上に揺蕩う銀月に視線を戻し、揺れる淡藤を目を細め睫をちいさく震わせて、眺め入り。
その色に先夜の金月を意識の底から浮上させたのならば、今や片銀月は自分の手の内に在ることにただただ歓喜。 恍惚とその淡藤に視線を釘付けては、もう片手にて絹の様な髪に触れ、手櫛を通し。――まるで愛玩を愛でる様に厭らしく。 そうして他の物に意識を回すことを忘れ掛けて居たならば、突如として来たる胸先の違和感には呻きにも似た嬌声を漏らし。]
〜…っの、
[引き戻された現実に、喘ぎ掛けた事実に、己が自尊心の砕かれる音を聴く。 きゅうと唇を噛み締めては面白く無いと云ったような表情を銀月の元に曝し。 ――それでも身体は熱を帯びたままで居るものだから、果たして本心は。]
(210) 2014/09/16(Tue) 15時半頃
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…嗚呼、そうだ、
[軈て紡がれた言葉>>205にはこくりと一つ、咽を鳴らして。 窄まりへと誘われた指先は、悪戯にその入り口を丸く弧を描き走る。
「月光が届かなくなる前に、キミの歪むカオが見たいから」
なんて。矢張り真面目な形に成ることを忘れた唇は、形と同じく瑜伽んだ言葉を吐いては花頭に口付けを落とし。
指先が弧を描く事に飽いたならば、その腹で窪を二三撫で付け、早々と中へ侵入したことだろう。
そうして銀月の声が、表情が歪んだなら。 遠慮がちに指を引き戻し、前に立つ硬い熱に辿り。手の中心でその先を押し潰しては擦り付け、滴る透明の汁を手土産に再度窄まりへと食指を埋めたことだろう。]
亀吉、
[吐息は先よりも早く、温く。その耳元にて聲を出すと、耳朶を舐り始め。水音を立てることも遠慮せずに、ただ銀月の意識を自分へと当てさせようと、蝶は必死に触覚を揺らし。
痛みは覚えているのか、否か。考える暇も無く、ただ窪へと沈んだ指先は緩々と出入りを繰り返した]
(212) 2014/09/16(Tue) 15時半頃
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僕は『しあわせ』です。
[何時の時もそう答えましょう。
何方さまにもそう応えましょう。
胸が苦しいなど、僕にはわからぬ想いなのです。
朽ちた花の行く末を知ればこそ。
その毒に囚われてはならないと。]
[櫻は誠の『しあわせ』に、まだ散るを知りません。
咲いてさえ、いないのですから。]
‘Tis better to have loved and lost
than never to have loved at all.
[この感情をどう表せばいいのか。
腹の辺りに渦巻くこれを。
怒りか、呆れか、それとも悲しみか、羞恥か。
『花』として誇りを持ち、美しく咲き誇れ。
俺を育てた花は口癖のように言っていた。
どんな辱めを受けようとも、どのような思いをしても蝶を惑わせる花であれ。
その言葉を道標に、今まで歩んできたはずなのに。]
――……
[ごめんなさい、朧
と。蝶の言葉により友の貌を伝える際に小さく告げる
命によりその怜悧な顔を穢し、なおも言葉で責めねばならぬ事への謝罪と、それでも目を逸らせぬことへの懺悔であった]
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ーー…ッ…!
[下腹部に与えられる痛みに、否快楽に、咽喉から小さく嗚咽が漏れる。 それは空気に融けただ銀月に届いたかは定かでは無いけれど。
己の肩口に沈む花頭には自分の蝶頭さえも寄せ。擦り寄るようにただ耳元に唇を寄せ吐息を吹き掛けて。]
仕方無いなァ、
[ただ紡いだ言の葉。余裕ぶって挑発を、自尊心を着飾る為に聲に芯を這わせた筈なのに。 自分に反響したその声色は何処か打ち震え、まるで自分こそが耐えられないとでも言うように、ただただ焦りの色が混ざる。
そうして気付いてしまった己の”我慢の糸”に思わず花の躰に優しく触れる翅を休めては、暫くの思案の内に強くその肩口を押し。
ぐるりと景色が一転したならば、花の色はどのように揺らいだだろうか。 布団に花が沈む感覚を膝から知り得つつ、花の上に蝶が躍り腰を据えたならば。窪みに嵌めて居た指先を緩々と動かし退かせ、履くベルトを解き始めた]
(268) 2014/09/17(Wed) 01時頃
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ーー待った、ナシね。 急かしたキミなら、きっと大丈夫だろうけど。
[最早余裕の欠片など見せることもせずに。 脳裏に誘い>>233を反響させては、笑みは冷ややかに、蝶は花に唄う。
ただ丸窓の無い月から降る光を身体に当て、紺瑠璃は鋭く淡藤を射抜いて。
言葉尻を待つ間も無く翅が彼の膝裏に差し込まれたならば、ゆうるりとそこを広げ。 常闇の中目を細め、だらしなく垂れる透明の汁にぺろりと唇は潤いを欲して。 余興だと言わんばかりにその先端へと口付けを落としては、一回。 喉奥までその熱を咥え込み、舌にて弄ぶ。
其れから先端の液をこくりと喉に通したならば、蜜を吸う口先を離し、漸く後ろ孔へと熱を当てがいーー花の身を案ずる間も無く、一気に熱を深めた。]
(269) 2014/09/17(Wed) 01時頃
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