64 色取月の神隠し
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危ういから、さ。 この子には、ちゃあんと知って欲しいのさ。
[鵺の答えに、日向を見つめ>>12]
ただ恐れるでもなく、怖いもの知らずの情けをかけるでもなく、 あやかしのそのまんまを、ちゃあんと、ね。
現世と隠世、繋ぐ力を持ったなら、 きっと両方、知ってた方がいいよねえ。
それにあたしも――ひなたを、もっと知りたいねえ。
(21) 2011/09/21(Wed) 01時頃
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[問いが降り、静かに芙蓉を見詰めた。 読めない文字でも、この手の動きを追って、 彼女も恐らくは、知ろうとしてくれている。]
―――… “……うん”
[小さな頷き、間を置かずもう一度。]
“うん。知りたい。 私は、道の先を知りたい。 あやかしのこと、あやかしの世界、芙蓉さんのこと、藤之助さんの こと”
[決め事が一瞬だけ手を止めたけれど、確りと地に刻み付ける。 芙蓉と、藤之助―――二人を見詰めれば、 口元がなだらかな弧を描き、ゆると微笑む。]
(22) 2011/09/21(Wed) 01時頃
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――ありがと。
[返ってきたのは、頷きと、微笑みと、 しっかりと地に刻まれる文字>>22]
来てくれるって、思ってたよ。
(23) 2011/09/21(Wed) 01時頃
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で、ね。 藤、この子はあんたが里まで連れて帰っておくれ。
[いつの間にやら団子を食べ終え、指先を舌でぺろりと舐めてから、続ける]
さっきたまこたちを送って行ったとき、あたしがあんまり里に近づいたら、道がぐらついたのさ。 じんえもんのときは、ほとんど里の入り口まで行ったんだけどねえ。 ありゃ多分、辰次がまだこっちにいたから、道がもってたんだと思うよ。
この村に強い縁のあるあやかしが、こっちに残ってないと、道が途切れちまうかも知れない。だから、藤よりあたしが先に帰るのは、危ないのさ。――頼むよ。
それにあんただって、この子、嫌いじゃないんだろ?
[鵺の顔、覗き込むように]
(24) 2011/09/21(Wed) 01時頃
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たくさん、その目で、見ておくれ。 人を喰らう奴、化かす奴。 人に憎まれ祓われる奴、吉兆だなんてまつりあげられる奴。 人なんぞ見たことも無いまま、里の奥で暮らす奴。
そのまんまの、あやかしたちを。
そうして、ひなたは、あたしらに、現し世のこと、話しておくれ。 あんたの声で、聞かせておくれ。
[それを思い浮かべるのか、薬売りは、夢見るように微笑む]
そして、いつかは、きっとまた―― みんなで祭りに遊びにこよう。青葉の村の、このお祭りに。
[日向へそっと手を伸ばし、明るい色の髪を撫でようと]
(25) 2011/09/21(Wed) 01時頃
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結局、あたしの好きなようにさせてもらっちまったねえ。
でも、きっとこれで、里はもっと楽しくなるだろうさ。
綺麗どころも、増えるし、ねえ?
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……望んで隠されるとは、何とも物好きなことだな。 [隠世に行くことを望む日向に、ぶっきらぼうな言葉を向ける。 眼差しと共にゆるり微笑みを向けられれば、鵺は何ともやり辛そうに視線を逸らした]
分かったよ。 けど、己が前に里に戻ったのなんざ いつ以来のことか覚えちゃいないくらい、昔のことだからな。 迷わない保障はないぜ。
[日向を里まで託されれば、諾う]
(26) 2011/09/21(Wed) 01時半頃
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藤之助は、芙蓉が、この子、嫌いじゃないだろ――と、口にし 覗き込むようにされれば渋面を向けた。
2011/09/21(Wed) 01時半頃
自分の好きなようにするのは、あやかしの本分だろう?
里が楽しく、か。
己は綺麗どころが揃えば、それで良いさ。
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“そろそろ 青葉村の祭りも御仕舞い。 繋がっていられるのも、もう少し…なんだ”
[祭り囃子に、灯を滲ませる吊るし提燈。 面を付けた村人たち、手には林檎飴。 それらをそっと振り返る。]
“今度来るときは……皆、一緒がいいな”
[伸ばされた芙蓉の手が、柔らかく髪に触れた。 話をしよう。声を聞きたい。そんな言葉には、強く頷く。 何やら視線を逸らすひとにも、首を傾げながらくすりと笑んだ。]
(27) 2011/09/21(Wed) 01時半頃
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ありがと、藤。
なあに、あんたが可愛い子と二人で迷いそうになったりしたら、血相変えて探しにくるのがあっちにいるだろ。
[軽口を叩いてから、まっすぐ鵺を見つめる>>26]
ひなたをよろしく。 あたしも、すぐに後から行くよ。
(28) 2011/09/21(Wed) 01時半頃
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“それじゃあ 案内、お願いね。――藤之助さん。”
[どっち、と迷いながらも、 今は慣れた呼び名を口にすることにして。]
………
[一度腰を折って、傍に佇む古木の根元に、 買ったばかりの風車をそっと挿した。 いつかまた、迷わずに此処を目指せるように、迷わぬように。 後から来るという芙蓉に一礼し、行こ、と見上げた。]
(29) 2011/09/21(Wed) 01時半頃
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[ふと短い沈黙が訪れれば、祭り囃子が聞こえる。 楽しげに笑い、行き交う人々の声]
きっとまた、来ようね。
[柔らかな髪を撫でていると、首を傾げる動きが伝わってきた。>>27 つられるように笑んでから、少女を鵺の方へ促す。
道しるべのように残された風車を、しばし見つめて>>29]
さあ、先にいっておいで――
[やがて、ふたつの影が消え、 のこったひとつの影も消え、
賑わう夜を照らす提灯、ひとつ、ふたつとだんだん消えて、 今年の祭りは終わるのだ]
(30) 2011/09/21(Wed) 02時頃
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[風が吹き、山を撫で、木々の葉が色を変える。
色取月の神隠し、その行く先は――
未だ終わらぬ、あやかしたちの祭り**]
(31) 2011/09/21(Wed) 02時頃
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[くるり、くるり。
音無く回るは、籠目の紋の―――**]
(32) 2011/09/21(Wed) 02時頃
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薬売り 芙蓉は、メモを貼った。
2011/09/21(Wed) 02時頃
ありがと。
あんたが好きなことできたかなって、ちょいと気になってさ。
まあ、里でまた、楽しくやろうよねえ。
ああ――いい祭りだった。
先に帰った皆に会うのも、楽しみだよ。**
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藤之助、ね。
[適当に拵えた名なんだがなぁ、と思い けれど、鵺さん、と呼ばれるのも調子が狂うしな、と頷く]
……あぁ、先に行ってるよ。
[軽口を叩く芙蓉に軽く手を挙げてみせ 行こ、と男を見上げる日向に 道行を迷わぬよう、黙って手を差し伸べる]
――――……。
[やがて祭りが終わる頃には 村人達も、神隠しのあったことに気付くだろう。
けれど、隠された者たちが何処へ去ったかは 古木の根元に挿された、標たる風車の他に知るものはなかった――**]
(33) 2011/09/21(Wed) 02時頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2011/09/21(Wed) 02時半頃
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