84 戀文村
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―本屋― [ランタンを手に、店内へ戻る。 その間の二人の会話は青年には与り知らぬ事]
おや、もうお帰りですか……? それではクラリッサさん、これを。夜道お気をつけて。
[ミッシェルが出てから更に外は暗く 女性の一人歩きは危険だと、青年は手にした明かりをそのまま渡した]
ヤニクさん?
[ふと、彼の様子に青年は首を傾ぐ]
彼女と何か、ありましたか ……お互い、思うようにはいかないみたいですね
[まるで見ていたかのような会話を向けて 返答次第では慰めるか、其れとも見当違いを謝るか 彼もまた仮宿へ戻るなら見送り、本屋の中にはまた、青年ひとり**]
(20) 2012/03/28(Wed) 01時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/03/28(Wed) 01時頃
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エリアス…?
[かけられた声に後ろを向いた]
…あ。 駄目。エリアス。これは…違うの。これは間違い。そうよ、なにかの… [手の中の手紙を握り潰そうとしても、弟の目はすでにそれを見ていて。無駄だとわかると、ふらふらと近付いた]
…………昨日に、今日… エリアス…… わからないよ、どうして…
[彼を手放す事が怖いというように強く抱き締め、声を出さずに静かに肩を震わせ、泣かずにはいられなかった]
(21) 2012/03/28(Wed) 01時頃
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…違うだろ。悪いのは戦争だ…。
[抱きしめた女の声はカウンター越しで聴くものとは違う、 溶け消えそうな雪の様に儚いものだった]
男は馬鹿って決まってんだよ。 女は甘える特権があるんだ。今だけ、甘えとけ。
[大切な者同士なのに…見送らなければいけなかった女の 想いはどれ程か。 残して逝くセレストの想いは如何ばかりか。 自分が口を開けば薄っぺらなものになりそうで、静かに 女の髪を撫でるしか出来なかった]
(22) 2012/03/28(Wed) 01時頃
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朝…軍医を呼ぶ。
自殺で話は通るだろう。
[覚悟の上だからダーラが疑われる事などないだろう]
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― 早朝/自宅 ―
[振り向いた姉の目が赤い。 ――三つ年上の姉が泣いたところなど、年頃になってからは見たこともない。 その手に握られていた赤紙に姉の名前が書いてあるのかと恐怖して]
姉さん、それ、見せて。
[ミッシェル>>21の否定を聞きながら、その手に握られていた紙を見る。 赤い紙に記されているのは、己の名前と戦地へ行けという命令だった]
―――そっか……ようやく、僕なんだ……
[姉でなかったことに安堵した。 安堵した次の瞬間、それが己にとっては確実に死に繋がるものだとは理解したけれど]
姉さんじゃなくて、良かった。
[それだけを呟き。 抱きついて泣く姉の背を撫でる]
(23) 2012/03/28(Wed) 01時頃
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ブローリンは、どこで、彼が往くのだと聞いただろうか
2012/03/28(Wed) 01時頃
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…良くないよ… 良くない!
だって…エリアス。エリアスがその体で戦争に行って何ができるの?
私はまだいい… だけど母さんが残されたらどうなるの?
お願いよ…良かったなんて言わないで… 変わってあげられるならどんな事でもするから、だから…
[そんな言葉に意味などないとわかっている。だが、親方に続き親しい者を亡くしたら、どうなってしまうかわからなかった]
(24) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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ミッシェルは、エリアスをただ固く抱き締めたまま、母にだけは知らせたくないと思いつつも、しばらく泣き続けていた
2012/03/28(Wed) 01時半頃
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ホレーショーは、優しすぎて軍人には向かないわね。
[そんな軽口しかかえせなくて 酷い顔は見られないように顔は上げずにいた
自分よりも大きい相手に抱きしめられるのは久しぶりで それだけでもう、いいと思える程]
今、だけよこんなの。 普段なら別料金だわ。
[震える肩や声を誤魔化すように言葉を続ける]
(25) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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本当は、母さんたちと同じようにしたいって思ったの。
でも、そうね。
ヨーランダは、とても。
泊めたことにして、そう、しよう……かしら。
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優しい奴が人殺しのお仕事なんかしねえよ。
[互いに顔を見る事無く軽口を交わす。 自分より余程気丈で、繊細な彼女の心は何処まで持つのだろう。 彼女も同じ場所で眠らせてやるべきなのかと心は揺れる。 だが腕の温もりを喪うのは耐えがたく。 だからこそ女がどんな想いでセレストとヨーランダと 晩餐を過ごしたのかと顔を歪めた]
…じゃ今度あんたの驕りな。
[歪んだ顔のまま口を開くと出て来るのは軽口]
(26) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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……なにかは、できるから呼ばれるんだろう、ね…… 姉さん、姉さんこそ残ってないと……ね? 戦争、終らせるようがんばってくるから。
[肩が冷たいのは、姉の涙が染み込むから。 宥めるように背を撫でる]
僕が残ってても、母さんに孫も見せて上げられないし。 それなら、姉さんがいてくれるほうがいい。
[大きくなってから抱きつくことも抱きしめられることも少なくなった姉の身体は、思っていたよりも小さかった。 病弱ゆえの頼りない身体でもなんとか抱きしめられる]
――令状がきたのに、行かなかったら、母さんや姉さんに迷惑かけるし。 ……行くしか、ない、よね……
[いきたくはない。 それでも、拒否する権利すら、ないのだ]
(27) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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あんたの家族だ。
あんたの望むままにすればいい。
[押し付けたいわけではない。
彼女の家族なら。
彼女が決めるのが一番良いと思った]
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[どれだけ女を抱きしめ言葉を交わしたか。 セレストとヨーランダが眠る部屋>>2:344を覗く]
おやすみ。 よい夢を。
[恐らくそれが2人に掛けた最後の言葉]
(28) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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ふふ、そういう事にしておくわ。
[同じ経験があるからか、そうでないのか 居心地の良すぎる腕を突き放せる程の強さは今は無く いつも通りの応酬をしてくれる男がいて 「仲間」で良かった]
仕方ないわね、飲み過ぎたらアンタにも 「アレ」飲ますんだから。
[覚悟なさい、と言えば少しは笑顔を作れるだろうか]
(29) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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…孫だとか、そんなこときっと関係ない…
どうしても行かないといけないのもわかってる…だけど。
……どうしても行くの…?この村で最後までいるのじゃなく…
[自分も逆の立場なら同じように振る舞っただろうが。最後ぐらい望む人と過ごしてほしいという気持ちと、、母や自分のそばにいてほしいという気持はせめぎあっていて。ふと、サイモンに何か語っていたホレーショーの目を見たときの違和感が何かわかった気がして。しばらく、自分よりもいつの間にかよほど大きくなっていたエリアスの背を抱きながら、彼の考えが何か、ようやく理解した]
(30) 2012/03/28(Wed) 01時半頃
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ミッシェルは、しばらくそのままで、どこか放心したように**
2012/03/28(Wed) 01時半頃
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あんたの口移しならどんな毒だって媚薬に変わるぜ。
[だからキスで宜しく。 とやっと笑った女に無理に作った笑みを向けた]
(31) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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行かないで……済むことじゃ、ないよね……
[引き止める姉の言葉に心は揺れるけれど。
それを選んだ後に何が起こるか考えると、それを選択する気にはなれない。 呆然とする姉を宥めて]
――それに、ほら、戦地についたその日に戦争が終るかもしれないじゃないか。
[そんな夢物語を口にした。 そのうち母親も起きてきたけれど。
――召集令状のことは、まだ、告げなかった。 村で、会いたい人がいるから。 今告げればきっと家から出してはもらえまい。 だから、母親が来る前に、姉にもそれだけは頼み込んだのだった]
(32) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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食い扶持増えて大変だな。
[家族になるかと問われて笑いながら返す。
そうなれたら良いと、甘い醒めない眠りに惹かれるが]
そうだな。
[それ以上は口にせず、もう一度抱きしめる手に力を込めた]
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男ってほんと……バカよね。 いつでも飲ませてあげるわ。
[眉を顰め、笑顔のまま一筋だけ涙が落ちる]
(33) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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[その日も、変わらず見張りに立つ。 ヨーランダが逝ったらしい。自分には何も言う権利はないが、 もしも…… 例えそれが苦痛だとしても、止めたいと思ったろう。 その時は、きっと。]
……
[昨日の今日だが、エリアスとは、彼が、村の用事が終わったら、 会いたいと思う。彼の姉とも…できれば、彼と共に話したいと思う]
(34) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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[母親は、ミッシェルの様子がおかしいのは親方の死のせいだとでも思ったのか、あまり追求はしてこなくて。
いつものように、不自然にならないように振舞って。
それでもいつもよりも早い時間に、家を出た。 ――家に閉じこもっていたら、行くと決めた気持ちが鈍る。 それもまた、恐いことだった]
(35) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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そうよ。役所あたりで仕事募集してるから
しっかり稼いできてもらわないと。
セレスにこき使われて、ヨーランダと一緒に墓守して
此処へ帰ってきて、皆で夕食を食べるのよ。
[幸せで、良い夢でしょう?
腕の中でそっと抱き返し、甘えるように擦り寄った]
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[それからあとの片付けはいつも通り、もう何度目かで手際も良く 幸いに母と同じぐらいのヨーランダは よほど男たちよりも運び易かった]
雪が残っていて、本当によかったわ。 本当にこれで、眠っているみたい。
[深く埋めてしまったら、春になるまでそのままの姿で居られる けれど、眠ったことも村に知らせたいから 通りかかれば見つけられるようにほんの少しだけ ここにヨーランダがいるよ、と痕跡を残した]
(36) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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ああ、楽しみにしてる。
[笑いながら、零れた涙を指で拭い、身体を離そうとする。 けれど女が掴むなら暫くそのままで。 止めぬなら、眠る2人を見て、宿舎へと戻るだろう]
(37) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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− 朝 −
[ヨーランダの死はどうやって村に知れ渡っただろうか。 当然セレストも知っていただろうが、自分の目には彼女は 動じることなく真っ直ぐな目で、自分の末を見ている様に映った]
………。
[一言も発する事無く、セレストを敬礼で見送る。 彼女の最期を知らせる紙が届くのはそう遠く無い事を まだ知らない。
そして入れ替わる様に、エリアスに招集が掛かった事を 何処からか知る事になるだろう**]
(38) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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ああ、本当に良い夢だな。醒めたくなくなる。
[いつかここでは無い場所と時代で叶うといいな。
それは胸に秘めたままその黒髪に一度だけ唇を押し当てた]
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[いつでも、いいわ。
拭われるまでその涙に気づかなかったから、少しだけ驚いて これからのこと、赤を深くする手で この男に触れているのは躊躇われて一歩下がった]
おやすみなさい。
[宿舎へ戻る姿を見送って、それからも夜は更ける]
(39) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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[朝の空気はまだひんやりしている。 白い息を小さく吐き出し。
道をあるけば村人とすれ違う。 セレストは早朝にひっそりと旅立ったようだという話はきいた。 ヨーランダが見つかるのは何時ごろのことか、少なくともいま言葉をかわした村人は知らぬようで]
おしえてくれて、ありがとう。
[そしてまた、己に召集令状が来たことも口にしないまま村人と別れる。 まっすぐに向かったのはナタリアの家]
――おはよう、ばあちゃん。
[珍しい時間に訪れた特に驚く老女に、悲しい知らせを告げる]
(40) 2012/03/28(Wed) 02時頃
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―朝―
[何が起きようとも女がいつも通り生活をするのは ヤニクの存在もあるからかもしれない]
……また、赤紙は来るのかしら。
[これ以上奪わないで欲しい、その思いは強く強く 比例して紙が届かないようにしてしまえるならと 誰の首に指を絡めようか、思案した**]
(41) 2012/03/28(Wed) 02時半頃
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女主人 ダーラは、メモを貼った。
2012/03/28(Wed) 02時半頃
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――約束、守れないかも。 ごめんね……
[悲しむナタリアに、瞳を伏せる]
――手紙、書いてもいいかな。
[家ではきっと落ち着いてかけない。 カフェや広場では、書く気にはなれない。 ナタリアの許可をとって、彼女の傍らで手紙を書く。
預かった手紙の内容を見ない彼女なら、傍でしたためても気にならない。 少しの時間の後――]
(42) 2012/03/28(Wed) 02時半頃
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