126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜
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[ブーツの力で、飛び続けてもいいのだけれど。 二人を一度に連れ出すことは難しい。 であれば。これは賭けだけれど、きっと――]
コリーンさん、ちょっと、待っててくださいね…
[書物を入れている鞄を探る。 出てきたのは…
――車輪の、欠片>>1:65。]
(48) 螢 2013/06/23(Sun) 20時頃
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…お待たせ。 さぁ、帰ろう? 森を抜けて。――あなたの故郷へ。
[強い思念の宿ったそれは、 供物として、その力を解放する。]
[現れたのは一つの幌馬車。 薄らと浮かび上がるは馬のシルエット。 その姿は、雨がなければ見ることは適わなかっただろうけれど。 ――御者席に座る者はない。]
(49) 螢 2013/06/23(Sun) 20時頃
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[魔の森へと向かった、勇敢な御者の念をのせた供物。 あなたの勇気を、もう一度私達に…>>1:142]
コリーンさん、こちらへ! ホレーショーさん!乗ってください!
[足元の危ないコリーンに手を貸して、幌の中へ。
ゆっくりと、幌馬車は動きだす。 もうじきそのスピードは上がり、魔物を蹴散らし街へと向かうだろう。]
(50) 螢 2013/06/23(Sun) 20時頃
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[眉を少し下げながら微笑むコリーン>>51が、なんだか弱々しくなってしまったように感じて、]
おあいこ、ですよ! 私も、助けてもらいましたから。たくさん。 こちらこそ、ありがとうございました!
[最初の、魔物の群れの襲撃を迎え撃ってくれたこと。 自分がやりたいことをしなさいと、背を押してくれたこと。 混乱して剣を構えるソフィアに、真実に目を向けろと諭してくれたこと。
…気付くのが遅れてしまったけども。]
(53) 螢 2013/06/23(Sun) 21時頃
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[あなたにいっぱい、支えてもらったから。 だから、そんな顔をしないで欲しい。]
[魔物が迫っていたから、それ以上声をかけることはできなかったけれど、 村を出ればまた、コリーンに声をかけるだろう。]
(54) 螢 2013/06/23(Sun) 21時頃
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…『ダイミ』さん。
[それは恐らく、この幌馬車を操っていた御者の名前。 コリーンと御者の関係はわからないけれど、 でもきっと、コリーンの右腕には彼がいるのだろう。]
こちらこそ。ありがとうございます。
[コリーンの右腕にそっと触れて、礼を一つ。]
(55) 螢 2013/06/23(Sun) 21時頃
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[ゆっくりと動き始めた幌馬車に乗り込みながら、先に行けと叫ぶホレーショー>>57を振り返る。 心配いらないとばかりに、力強い笑みと共に手を振られて。]
……!
[馬車は、村の入口へ。対する彼は、村の奥へと>>59。 駆ける馬の速度も手伝って、瞬く間に距離ができて。 ふらつく彼の姿は、やがて森の中へと消えた。
小さく呟くコリーンの声>>58を聞いて、そちらをちらりと見やった後、 ソフィアはそっと目を伏せ、後方の幌を閉める。 …彼は、ここには戻ってこないだろう。]
皆さんのお迎えに、行きましょうか。
[広場の魔物は大半がホレーショーを追って森に消え、残りも馬車が引き離した。 並足で、ヴェラの遺体の安置されていた廃屋へと赴く。]
(72) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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―広場付近の廃屋にて―
[コリーンの手を取り、廃屋へと導く。 ただいま>>52、と声をかけるも、そこには既に遺品しか残っておらず。]
欲しいもの、ですか…。
[暫し逡巡。 この村に辿り着いた時の3人の優しさが思い返されて、 本当は全員の遺品を手に取りたいところではあるのだけれど。 在るべき場所に返す>>52のであれば、彼らと関わりの薄い自分が勝手を言うのも躊躇われた。]
(73) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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では…これを。
[手にしたのは、『希望』の酒瓶。 本当にこれが希望なのかはわからないけれど。 そう思うことにしたのだから。何か意味があるのだと。]
あと…どうしても、というわけではないのですが… …ヴェラさんを、一緒に連れて行ってもいいですか?
[これを言うかは最後まで悩んでしまったけれど。 コリーンが了承すれば、白狼の毛皮を手に取るだろう。]
[この村に来て、最初に出会った人。 自分は強いと宣言するヴェラが、とても眩しくて。 彼が向けてくれた優しさを忘れることはないだろう。 そして、自分もそうありたいと願って。
…あとは、少しの後悔。 あの時、彼を追っていれば。広場を離れなければ。 臆病だった自分、軽率だった自分への、戒めとして。]
(74) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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―村の入口付近の廃屋にて―
[村奥の廃屋を後にして。 馬車は駆ける。村の入口近く、ヤニクの最期の地へと。]
[そこでもやはり、残っているのは遺品のみで>>61。 ここで何があったのか―いや、ここだけではないけれど―ソフィアは知らない。
…知らないけれども。 彼が死んだ原因の一つは、間違いなく自分が作ったものだというのはわかる。]
ごめんなさい…ごめんなさい…っ
(75) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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[何故あの時、深く考えなかったのだろうと、彼の言葉に耳を傾けなかったのだろうと。 どんなに後悔しても、時は戻らない。
でも今の私には泣く資格なんてなくて。 だってそれは、純粋に彼の死を悼むものではないのだろうから。
だから、涙は懸命に堪える。 代わりに浮かべるのは、決意の表情。]
もう、こんな間違いは二度としないから。 あなたのことは忘れない。忘れないよ…自分がしたこと…
(76) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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[コリーンが腕輪を手に取って>>61。 彼と行動を共にしていた彼女には、思い出の品なのだろうと思う。] どうぞ。 彼の意志を継ぐのは、きっと私より、コリーンさんの方がふさわしいと思いますから。
[廃屋の外には魔物の気配が感じられて。扉を開けると共に、コリーンが鉄線を放つ>>62. それはまるで彼女の目であるかのように、するすると魔物へと絡みつき一網打尽にした。
それを見て一つ、安心する。 彼女が光を失くそうとも、この先ヤニクが彼女の剣となり盾となってくれるのだろうと。]
…魔物が増えてきましたね。急ぎましょう!
[再び幌馬車に乗り込んで。 村を抜け、森を抜け、雨の境界を越えて。 …ホレーショーが追ってくる気配はない。]
(77) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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[どれくらいの時間、そこに留まっていただろうか。 馬車の中に座り、無言の時を過ごし、 幌をただ風が吹き抜けていき――やがて夜が明け始めた頃。]
『馬鹿……』
[ふいに立ち上がる傍らの女性を、ふっと見上げる。 夜明けの光に照らされ、風に髪を靡かせ目を閉じるコリーンは、とても美しかった。]
(78) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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[そうして、祈りにも似た時が流れて。 ふいにコリーンはこちらを向いて言う。飲みに行かない?と]
飲み…ですか?
[続く言葉を聞いて、納得する。 あぁ、このことだったんだ、と。 ――『約束』していたというから。]
[きっとこの酒瓶の琥珀色の液体は、私達の未来――『希望』なのだろう。]
(79) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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はい!喜んで…!
[コリーンに見えているかどうかは関係ない。 少女は満面の笑みで、大きく頷き返した。]
[幌馬車は軽快に走りだす。 街へと――明日へと向かって。]
(80) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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[…討伐対象をわざと見逃した魔法使いと、 魔物を『救済』した魔法使いのその後?
――アヴァロンと彼女らの織り成す物語は、これとは別の話。
続きを知りたいのなら、また違う書物を手に取るといいだろう。]*
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(81) 螢 2013/06/24(Mon) 22時半頃
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─ある時、ある場所で─
[──雨。 こんな日に甦る記憶はいつも、あの村での出来事。 過ごした時は短かったけれど、彼らとの出会いはかけがえのないもので。 きっとこの先も、雨が降る度に思い返すことだろう。]
また、会えるかな? ……会えるよ、ね。きっと。
[こうして魔法使いとして生き、 いつか、魔法使いとて死すれば。 廻り廻って、どこか、誰かの右腕で──]
[首に巻いた白狼の毛皮にそっと触れ、緑のローブの魔法使いは願う。
また会えたら。 その時は、あなた達の話をいっぱい聞かせて? 私も、報告したいことがたくさんあるの。]
(103) 螢 2013/06/26(Wed) 00時頃
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[そうして雨の中、 天を仰いでいれば、近くに人の叫び声が聞こえて。
その姿を認めると、一瞬にしてブーツで駆け、 悪戯っぽく微笑みながら、少女は言う。]
お困りなら手を貸します。 …私は、強いですよ?
[そう、手を差し伸べて。]**
(104) 螢 2013/06/26(Wed) 00時頃
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