25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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…此処は"花"の祭の席だ。 此処に在っていいのは、花と花主だけ。
――…"子供"が居ていい場所ではない。
[それは、暴れる花にも聴こえるように 大きく。 買い言葉を返す花に、溜息を零すこともしない。]
……花の名を捨てるというのなら、部屋に戻れ。 ――…花であるのなら、此方で酌でもしろ。
[怪我をしていようが、関係ないと背を見せて。 それだけ言うと華月を見てから席へ戻る。 桜の色も、秋色も、それでもまだ駄々を捏ねるようなら その時は高嶺の名は、二つの花に剪定を入れるだろう。]
(101) 2010/08/03(Tue) 03時頃
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「此処は”何”のお祭りか」か。
知ったような口だなロビン……
[歪む口元は酷薄な哂い。
彼が獣だというのならば……]
…余計な事を、外に流すな。
[それをこちらで呟いたからにはそれなりの理由もある。
霞のほうを僅かにらんだが、結局はため息に変わった]
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[ロビンの言葉に、少しばかり眉が寄る。 俯いた時とは打って変わったその貌に不穏なものを感じ、 何故だかわからぬが、子供相手に軽く睨む形にもなったか。
桜の色は如何動くか。 気を遣ったのか、此方に来る華月を見る。 溜息は飲み込んだが、気難しい貌を変えることまでは できず、けれども差し出された盃の手妻には黒檀が瞬く。]
―――…水ならば、もっと有難かった。
[潜んだ声で、そう呟く。 元々下戸であり、今は少し疲れていたから。]
(115) 2010/08/03(Tue) 03時半頃
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ひとの裏も見えぬものに、意味などわかるまい。
――存外に、小心よの。
[恐怖と怒りと羞恥
憎しみ、悔しさ、幾つもの波に呑まれ
小さな冬の白はあっという間に攫われて――――
朱が言の葉紡ぐに至った経緯など、話してもせん無い事。
擦れ混じる声音でからかいの言葉を送った**]
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[途中から演舞を見ている余裕などなかった。 止めに行った本郷と桜色がどうなったのかも。 セシルのロビンを呼ぶ声は聴こえてくる。
器用な真似だ、華月が新たに出すグラスに 感心するように魅入ってから浮かぶのは笑み。]
……今のは、一体何時汲んで来たのだ?
[離れぬまま真水を出して見せた花に不思議そうに呟いて、 気を緩めた所為か、それは憂いの混じる笑みになった。]
(128) 2010/08/03(Tue) 03時半頃
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[さて、餌食に喰らわれたは、虎の親か虎の子か…。]
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[真水を半分まで減らすと、他の花へと謝る桜の色を見た。 花主達には謝る理由が彼にはないのだろう。 その姿をらしい、とも思い、しかしロビンを追わぬ姿には 感情だけで動く性質ではないことも知れるか。
哂う少年の消えた方を見る。]
(143) 2010/08/03(Tue) 04時頃
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懐刀 朧は、ランタン職人 ヴェスパタインを見る。変わらず、高嶺とは対照的なその姿に黒檀を細め。
2010/08/03(Tue) 04時頃
[霞の言葉にふと思い出す。
虎の主を食った時には、花は食われた男のそばには居らず。
ただ、つまらぬ食事であったことしか覚えていない。
味はまあ、それなりでもあったが]
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――…他にも、未だあるのか?
[華月へと問うのは他の芸の話ではなく、 違う手妻もできるのかという話。 宴席を楽しむもの達を一度眺め、本郷の姿を仰いでから、 真水が全てなくなると高嶺の姿は大広間から消えていた**]
(150) 2010/08/03(Tue) 04時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 04時半頃
[途中、すごい眼つきで退席したロビンに向けられる感想。ちいさく、なるほど、と呟いた。]
確かにあの物言いは特殊だな。
花なのに、あそこまで花らしからぬのも不自然といえば不自然だ。
折りあらば、話してみるかね。
[顔で逃げられなきゃな、と付け加えつつ…。]
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― 大広間→ ― [>>153目が合う本郷には黒檀を細めて返してやる。 其れを労いと取ったか揶揄と取ったかはその花主次第。 真水を飲み干し部屋を出る時にはまだ華月や鵠は 芸を披露していなく桜色もカンバスを広げていなかった。 此度はつくづく、花の芸を見る機会を逃している。]
……お前は、今回も暢気なものだ。
[>>174常と変わらぬ男にはそう言葉を残す。 棘が乗るのはその花主を八つ当たりの対象にしたからだ。 男はこの喧騒の最中どう花達を見ているのか。 男の言う通りに此度も冷やかしなのか、 それとも高嶺が言ったように探しているのか。]
(176) 2010/08/03(Tue) 07時頃
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[誰に行き先を言うわけでもなく広間を出る。 出て向かう場所があったというのも事実、 けれどもそれ以上に広間にいることが 窮屈と感じたからというのが一番の理由。]
――――……、
[ずっと堪えていた溜息が、長く落ちる。 広間を出る時に眼に入ったのは 同じ顔の花主が坊主の花主にしな垂れていた仕草。 頭のどこかでは解かっていても、花の霞を見るのは久しく 其れは思っていた以上に堪えるものがあった。]
(177) 2010/08/03(Tue) 07時頃
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[>>179今の高嶺にその冗談はあまり笑えるものではなく、 にやける美しくない顔を黒檀が常よりきつく睨みつけた。]
―――…なら、花に何を求める?
[言い捨てて出る筈だった言葉を続けたのは、 男が花に求めるものに興味を抱いたから。 買うかもしれないと刷衛が言うと黒檀が瞬いて見る。 座った男を見つめるのは何時もよりも少し長かった。]
―――…そうか、
[ハッタリかもしれぬ、しかし買うかもしれぬ。 ハッタリでも長く花を持たぬこの男に言わせたのだから、 此度の花にはやはり何かがあるのだろう。 相槌を返す顔は、珍しく嬉しいものを見るように笑んでいた。]
(181) 2010/08/03(Tue) 07時半頃
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[長い溜息は一度だけ、部屋を出ると深呼吸をし 背筋を伸ばせば常の高嶺の姿へと戻る。 足音無く歩き出すのは慣れぬ花達の室の並ぶ場所。 後ろからしゃらりと音鳴らして翔ける姿が横を過ぎると]
…お前、
[迦陵をそう言って呼び止めた。 雛鳥が好意を向ける月の花主と同じ顔、けれどもロビンを広間から追い出した花主を雛鳥はどのような瞳で見るか。]
……ロビンのところへ向かうのだろう? …私も向かう。――…案内してくれ。
[高嶺が向かう場所もまた、哂った少年のところ。 迦陵は是と頷くだろうか、それとも拒むだろうか。 どちらにしても迦陵はロビンを放っておけぬ。 しゃらりと音の鳴る方へと向かえばその場所に辿りつく筈。 話すことが叶うかは、また別の話にはなるが。**]
(183) 2010/08/03(Tue) 07時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 07時半頃
花、らしからぬか。
[花のありよう、あるべき姿も人それぞれ
深く追求するでなく、ふぅん、とかえし]
ああ、彼の言の意図が黒かどうか
お互い確認しよう
……なんだ、顔に傷でもおありで?
[顔に傷、と言われて噴いた。
そうだったと、こいつは眼を隠してやがる。]
ああ、それはもう酷い傷だ。顔全体がひしゃげてやがる。この世のものとは思えんぞ。
ほれ、見たくなったか?
[下品な笑い声]
それは、まことなら下手な花より
人の記憶にも残ろうぞ。
……そうだな、まことかどうか確かめてやろうか?
[まるで子供に良い子にしろと脅す風だ。
なれば、此方もからかう様に
売り言葉に買い言葉を花で笑いながら返して]
それとも、触れて見聞でもしようか?
その傷が何処まで刷衛殿を覆うものか
さすがの花だな。
ならば確かめてみるがいい。
見ずに我の醜さがわかるほどなら、
俺はこの顔をなお、愛おしく思うことにしよう。
[こいつは面白いといった口調で。]
まぁ、潜入で助けがいれば呼べ。
わかっているだろうが、力もそれなりにあるぞ?
まずは刀か。
ではのちにな。**
己の醜さを愛でるか?
なかなか面白い趣向よ。
触れてつまらぬ顔ならどうしてくれようか
[こちらもクスクスと愉快気に哂い零す]
……私を運べるほどにははわかっている。
研ぐに慣れても、切るに慣れぬなら逆に呼べ。
獣狩の舞なら幾度も舞った。
[主の好んだ武舞の動作は、
時に太刀を、時に鉾を獣の血で赤く染め上げた]
退屈な宴はもう座した、適慮向かう
[舞台の上にいた時、興が乗ったのは本当だが
こうして狩に思いをはせればそれは色褪せて
包帯の奥、紅が更なる朱をと*瞬いた*]
つがいで飼うのが無理ならば、共に血肉となってもらうも一興か。
それならば、彼岸でも共にあれようて。
主にはぐれた花の如く、迷い出る事もなかろう。
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[かた、と音がしたのはロビンと迦陵の話す最中か。 構わぬと、表情を変えずに承諾した鳥の子の後を 歩いて追っていた高嶺が二つの花まで辿り着いた音。 黒檀の髪には手妻の花が仕掛けた悪戯が気付かれず揺れていた。]
(228) 2010/08/03(Tue) 12時頃
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懐刀 朧は、小さな花達が話をしているのなら区切りまで邪魔はしない。震えた花を見る。
2010/08/03(Tue) 12時頃
この手を離れて行くならば
たれかの元へたどり着く前に
そう、いっそその翼を手折り――縊り殺してしまえばいい
[少年の自覚は無きままに
浮かぶほの暗い朱]
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[二つの花の話をちゃんと聞いていたわけでもない。 腕を組んでその話が区切られるまでを待っていると、 話し終えたのか紅石榴を揺らす雛鳥の姿。]
―――…、
[高嶺もまた、自ら人に触れようとはあまりしない。 しかし部屋を出て行く雛鳥の頭には手を伸ばし、 慣れぬ手つきで一度だけ撫でて離した。]
(242) 2010/08/03(Tue) 13時頃
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……翔けて追った友まで突き放すか、
[そう言葉にしたのは雛鳥が去ってからだ。 口調は常と同じもので黒檀はロビンを見る。 見える紅にはきつく眉を寄せた。]
………そうやって、何処まで逃げる。
[問いかけるのは花にではない。 目の前の、子供に向けるもの。]
――…何が、そこまで頑なにする…?
[花主は、謝りに来たわけでも迎えに来たわけでもない。]
(244) 2010/08/03(Tue) 13時頃
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[子供、と自ら口にする姿には黒檀を細める。 一度紅を見てから、それを気にするように 視線は其処にばかり向かってしまい、 ロビンの表情はわからない。]
―――…そうだな、色々言い足りぬ。
[途端に纏うは硬い甲羅、 言いに来たのは最後の忠告なのかもしれず]
……何がそんなに、気に入らぬ。
[まずは思ったことを、そのまま訊ねた。]
(249) 2010/08/03(Tue) 13時半頃
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……これだけ嫌われてしまえば、 これ以上は下がりようがないから此方も楽でいい。
[気に入らぬものを聞くと黒檀を細めて。 口調は少し幼くも聞こえたか、本当にただの子供だ。 つく溜息は呆れたような響きにも聞こえただろうか、 実際は目の前の少年の紅の色に向けたもの。 その色は―――…苦手だ。
少年へと近づくと、有無を言わさず抱え上げる。 引っかかれようが、噛み付かれようが下ろしはしない。]
(257) 2010/08/03(Tue) 13時半頃
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[上質の白橡の衣に紅が染みていく。 ゆっくりと眼を閉じてから、開いて歩き出す。 歩きながら紡ぐのは抱く子には恐怖で聴こえているかは わからないが子供に言い聞かす為の説教だ。]
…気に入らぬものを今更好きになれとは言わん。 だが…気に入らぬと、愚弄することだけはやめろ。 お前が――…ただ、愚かになるだけだ。
[高嶺の花主が大広間で憤ったのはそれが理由。 愚弄するなと憤り、怒声を上げたセシルの姿は、 花主と花祭を愚弄しているように高嶺には見えた。 辿ればその元凶に居たのは、この子供。]
どうあっても背を向け続ける者に、 届かぬ手を伸ばすものなど居ない。 お前が…前を向かねば、何時かは全て消える。
[言いたいことは、そこまで。一息ついて。]
(259) 2010/08/03(Tue) 14時頃
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お前は、手折れぬ花だとそう名乗った。 ならば…、花であることからは逃げるな。
――…前を向いて、今一度花になれ。
[そう言ったところで、表座敷に着くだろうか。 屋敷の者を呼びつける。 寝床の用意と、傷の手当てができる者も。]
……眼鏡の支援は、してやろう。 早いうちに作らせ、お前の手に渡るようにしてやる。
[言葉を止めて、恐怖に固まる子供を下ろした。]
(262) 2010/08/03(Tue) 14時頃
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懐刀 朧は、門下生 一平太の姿には気付くことはなく表座敷へと入り。
2010/08/03(Tue) 14時頃
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[下ろしたその手がロビンに伸ばされることはない。 其処までを、高嶺の花主は少年に許さない。 少年の告白に、黒檀は緩く細められ]
……此処は、花祭。 此処に招かれている以上、今のお前の姿は"花"だ。
此の先…お前が"花"と名乗るか、 それとも"草"と名乗るかは、自分で選ぶこと。
友の好意を弾く勇気はあって、 知らぬ者の噂を聞き流す勇気は持てぬか?
………後は、お前が選べ。 ――…私は高嶺の花主、其処までは甘やかさん。
[両腕を抱く姿にも手を伸ばすことなくそう告げて、 白橡の羽織を見下ろす、点々と染みる紅に ひっそりと息をつく花主の顔色は、少し失せていた。]
(270) 2010/08/03(Tue) 14時半頃
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