270 食人村忌譚
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そんなんを、あんたのもんなら切れると思える 脳みそのしびれる鈍色だ、あれが分け入ればなんでも、なんにもなくなるような、……――俺もたいがいなことを喋っているな。あんたの、おにの名前に 惑わされたか知らん
[ふ、とわらい捨て、息を吐く。 一呼吸のうちに、いましがた口にしたことをも吐き切るようにして、気を変える。]
(105) 2017/11/26(Sun) 00時頃
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罪を雪ぐにゃ、誰だって下手人を殺してやるだろ
[>>94言葉の意味すら腑分けし 解剖するそれへ 首肯と訂正を混ぜて]
その途中で、違うやつを疑うかもわからん 俺を疑うやつもいるかもわからん
――そうなったときに、殺すでも、死ぬでも、 あんたの刃物がいいと思ったからな 良いを汚すは忍びないが作り手のお墨付きをもらった 心置きなく使える
(106) 2017/11/26(Sun) 00時頃
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[まあ ふるう機会が本当にあるかはべつだが。
とは会話の終わりを伝えんがためのもの。]
柄でもねえこた 言わんほうがいいな 腹がむず痒くてかなわない
つみれも出来上がる頃合いだろ あんたも弔いの用意に行くといい
[と、肉を運んだ際の汚れを示した*]
(109) 2017/11/26(Sun) 00時頃
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年長者、特に聡い者は厄介だろうな。
それに当たるのは私から見れば薬師殿なわけだが。
[迂闊な事を言うな、と言われてしまえば口を噤まざるを得ない。
ちらりと多少恨みがましい視線を投げるもすぐに視線を逸らし。
同じように様子を眺めている。
皆誰を疑っているのだろう。
様子を見ている限り、誰の事も疑えずにいる、そんな感じに見受けられる。
何か一押し、事件でも起きれば状況は動くだろう。
そんな事件をどう起こそうか、それが問題だ*]
[経験の差。
そうだ、自分は其れがまだ圧倒的に足りていない]
……昆虫や豚と、僕は違う。
次はもっと、うまく出来るよ。
失敗の原因を考えて
次に活かす事が出来る
[それから、こそりと教師と薬師の話を聞いた]
年長、支えになるモノ
[なるほどと、江津子を思い浮かべた。
聡い年長者、というと後は石動とミナカタ。
後者は有り得ないと候補から即座に外した]
じゃあ……江津子さんかなぁ
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[>>121ぞんざいな物言いは、 本心からそう思ってのことだろう。]
俺の渾身の口説き文句だぜ おざなりにあしらいやがって、金輪際聞かせてやらん
[そのあしらいにふさわしい軽口で幕をおろさんと口にする。 宿世後世。生きる前と死した後。 そこに業の続かぬことを――と愛理の躯にも、 憑かれた顔をした母親の右手の平>>0:153にも思いこそすれ、己自身の断ち切るを願うは少し異なる。]
(136) 2017/11/26(Sun) 01時頃
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[鬼が誉め言葉になるか、と 眼鏡の奥で一二度、瞬きを重ね その間にも網膜に移るは>>124まさしく幽鬼じみた姿。 切らるるべく肉もない、骨ばかりの目立つ、食いでのなさそうなそれ。 笑う顔に、少しく抱いた驚きがあれども、]
―― ……口説かれてくれるたぁ おにも優しい 遠慮はしないぜ、後払いもなしだ…… これを
[「頼めるか」との言葉とともに、 差し出されるのは子供の手に収まるほどの短刀。 古いそれはもっぱら紙を断つのに使われていた。 袂から出されたばかりの刀は男の体温がのっていて、 けれどすぐに冷え、 >>126受け取られる手の、血濡れた掌にのる。]
(137) 2017/11/26(Sun) 01時頃
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[その場から、おにの立ち去るを見送る。 地獄に帰るでもなし、 あの鬼の居場所はこの村だ――であれば地獄はこの村か]
あんたが斬られる時にゃあ、 業はきられずにいてほしいな 一度の生きた死んだで終わらせるに 鬼の腕は勿体ない
[あの腕が、こうして集会場に集められていることは ありがたくもあり惜しくもあった。 ごちる言葉はもう届くまいと知りつつ、 知っているからこそ、続き、]
――――……
(145) 2017/11/26(Sun) 01時頃
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そんでも、人を殺さぬままの鬼がいるかい 人に殺されぬままの 鬼が いるかよ
本当に、本当の鬼になったら、 あれはいったいどんな刃物を研ぐろうなあ
(146) 2017/11/26(Sun) 01時頃
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[それは果たして墨に残されるのか。 たとえば、己の死んだ後で。
残されねば、誰が語り継ぐか、この村に鬼がいたこと。 伝え語られる御伽話のように、寝物語として、 褥に影添える幽鬼がいれば面白いことだろうに、と。 玩具じみた眼鏡を押し上げて、次に進に渡す>>1:216は 鬼の話にしようと。そんなことを続けざまに浮かべて ――けれど渡せるのかもわからないことに気づき 男もその場を後にすることにした*]
(147) 2017/11/26(Sun) 01時頃
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やれやれ。
目撃者がいるとは面倒だな。
しかも江津子さんの確実な味方となれば。
どっちも厄介だな。
[容の身を抱きしたのは、苦虫を潰した表情を見せない為。
この面倒ごとは2人に知らせなければなるまい**]
発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/26(Sun) 01時半頃
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―― 炊事場から離れ ―― [男も研ぎ師も炊事場から離れたのは >>122石動の来る前のこと。 炊事の音の合間に会話、 それがどこまで支度をする巫女に届いていたかは知らねど そうそう近い距離でもない、 炊事場からまだ離れていなかったことも知られていなかったのかもしれない。
愛理の肉の先導した道 そこを歩くは、つい先ほどの>>77言葉を想起させる。]
(150) 2017/11/26(Sun) 01時半頃
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[『どんな思いで 召し上がるんでしょうね』 『記録の中に、記されてはいませんか』
難しい問いだった。 戸を開きながら、あのとき返したのが]
「今回が、初の記録になるだろう」――なんて、
……本当に帳面にしるすかもわからないものを よくそう答えたもんだな
[一考すべきか などと足を止め*]
(151) 2017/11/26(Sun) 01時半頃
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源蔵は、エツコの言葉をしばし思うなどし*
2017/11/26(Sun) 02時頃
発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/26(Sun) 02時頃
発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/26(Sun) 20時頃
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―― 集会所: 縁側にて ――
[>>149>>156江津子の手によって 串にささった肉や、椀物になった愛理が配られた。 男もそれをあやかって]
巫女様や女衆にばかり働かせちまった できることなら、なんでも言ってくれると助かる
[江津子の性格だ、こう言われても用立てを言いつけることはないかもしれない。逆に気を遣わせて、この身丈でできる範囲のささやかなものを――錠とともに肉を炙ったことはしらなかったが――いつか言わせてしまうのかもしれないが、それはそれ。何も言わずに受け取るのも座りが悪い。
そうして男の手には、希望した通りのつみれがあるのだが]
(172) 2017/11/26(Sun) 20時半頃
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[少し惑うたように、持ち上げ、 おろし、――――まあ仕方ないか とでもいうように 眉根を寄せながら口に含んだ。
火の通った肉は、囲炉裏で焼いただけあって かすかに炭のにおい。歯を立てたそこから脂がにじむ。 年頃の娘相応、焼かれた後も柔らかな肉から、 鶏のそれとも豚のそれとも異なる、独特の匂いがはなに抜ける。
――、ん、 と詰まったような音を鳴らし、 肉をつみれの汁と一緒に飲み込み]
(173) 2017/11/26(Sun) 20時半頃
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[まるく形作った すね肉捏ねた肉団子をかじる。 やわらかに結びつき、膨らんだ肉の合間に ほとんど透明な軟骨が覗き、 こりゅ と音を立てた。 ぬける生姜が、季節を添える。
希望通りだ。 男の眉根が すこしゆるんで、]
(174) 2017/11/26(Sun) 20時半頃
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――…… う˝ ぇ
[安堵も刹那、 かみ砕いた肉と汁が 食道を戻る。
とっさに抑えた右掌、指の合間から、滴り]
……、……
[さきよりずっと 顔がゆがんだ。 男の左手があたりを移ろい、探すが、目当てのものはない。 >>1:159薬湯に用いるそれは、自宅に置いてきたまま。 玩具じみた胃の腑は、薬なく、物を入れるに能わなかった。]
(175) 2017/11/26(Sun) 20時半頃
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[人を殺す ―― という禁忌。 その“常識”を破ったものを、実行者を探す場で
弔いのものを口にする“常識”を果たせないというのなら それは、手がかりのない暗中で、 後ろ指さす行灯になることもありうる話だ。
それをわかっているから、男は、 わかっていて、それでも、]
―― っ
[こみあげるものを押し込むには、手も、胃の腑も、玩具めいている]
(176) 2017/11/26(Sun) 20時半頃
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[水音とともにこぼれた幾何かは 眼前の地面に落ちて、じわじわと面積を増やした。
椀と、串と、 汚した手を見る男の呼吸は、荒いまま*]
(177) 2017/11/26(Sun) 20時半頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/26(Sun) 21時頃
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―― 集会所:縁側 ――
[口を覆った手から零れる、溺れるに似た音。 >>182背をさすられるにも、>>183言い置かれるにも、 返すべき礼は咳こむ音に溺れて言葉にならなかった。
視界にある花柄の割烹着を、 汚れていない手に預かり――汚すに忍びなかった―― 言葉を返せたのは、 彼女――容の戻り来てから、ようやくのこと]
、 っ、 ふ
……ぅ まん、 汚しては、ないと思うが
(190) 2017/11/26(Sun) 22時半頃
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[割烹着から手を放し、水の入った椀に手を伸ばす。 口を濯ぐよりさき、口を覆っていた右掌へながし その水は、>>183容の視線も落ちた先、 愛理のかけらを押した]
―― ―― 愛理を、はきだしてしまった
[男の次いだ言葉も、同じものをさししめした。 「弔いのものなのに」と繰り返し*]
(191) 2017/11/26(Sun) 22時半頃
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[臭い、まずい、固い。
男よりは幾分柔らかい女の肉とはいえ
完全な草食でない人肉の味など知れている。
可能な限り小さく噛み切って
舌の真ん中に乗せ、そのまま空気と一緒に丸のみにする。
そうする事で味も硬さも感じずに済む。
鼻から抜ける臭いだけは、どうしようもないから
何度も何度も手を休める。
苦痛な時間、ススムは次の得物を見定めていた*]
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あれは俺に 食われたかないんだろう
[せき込む音の合間、 そうつぶやいたのは軽口のつもりで >>197口早な容の背を追いかけはすれど、 皮肉な冗句と示す口元は、受け取った椀に隠れれば、 見えはしないままだったろう。 硝子板の奥、虚ろげな視線は去っていく背中をちらと見て、すぐ落ちた]
食われるなら偉丈夫な、 男前がいい、 なんて 言われちまうかもしれない
(201) 2017/11/26(Sun) 23時頃
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[そうだろう? とあとから首傾げは>>193錠のほうへ。 「おまえは食えたか?」と場にそぐわない軽口に軽口を重ね]
すまんな、錠にまで来てもらって
…… しまった、 "ミナカタ殿"を呼ぶことじゃないといいそびれちまった*
(203) 2017/11/26(Sun) 23時頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/26(Sun) 23時頃
そうそう。
自分の価値を決められないから家畜のままなんだよ。
[自分の娘とは知らないからか、
いや、知ったとしても同じことを口にするだろう。
俺は家畜を娘に持った覚えは無いのだから*]
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[>>214>>216錠の述べる、食えた肉に 胃酸の味の残る口を拭いながら]
てこた、愛理は俺よりおまえが好みだったんだろ 小男より足の悪い美男、だ
みんな誰それにどこ食ってほしい ナニ食ってほしい、 そんな希望があるくらいだ 愛理もそう思ってても俺は悲しくもならん 胸も尻もまだ残ってるはずだから、 気ぃ悪くしないなら容の手料理で食ってやれ
[軽口のオチとしてはオチになりきらないそれで締め つっかけに足を通し、縁側から降りた。]
(225) 2017/11/26(Sun) 23時半頃
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[腹ばいになって錠が手を伸ばす>>220それ 横からすくい上げ、水のなくなった椀におとしていく]
食えねぇのは、お前の足と似たようなもんでな 薬師殿のお力でも治らんから、余計に手ぇ煩わしても――……いや、悪い、おまえのが治らないと決めつけてるわけじゃない
――、だから、 ……人に食わすもんでもなかろ 容には世話をかけはなしだ、おれがやるよ 洗って、今度は吐かんように流し込もう
[言葉の途中は言いよどみ、だからこそ、 愛理の肉への打開策は少し早口に 目の前で食わないことに通じることを言う*]
(227) 2017/11/26(Sun) 23時半頃
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[少しして。
ススムは困った顔で石動たちの元にゆく]
……今宵、江津子さんとリツさんと
見張りに回る事になりました。
[彼らを手にかける事は、不意をつけば出来るだろう。
二人一度には無理だけれど、どちらか片方なら。
その際に、残ったひとりには確実に見つかってしまうだろう。
どうしたものかと、知恵を借りに]
[串を持って離れる時だったか、それともその後か。
進が相談にやって来た
さすが江津子さんだと感心しつつ]
ついでに悪い情報。
容が昨日の夜の事知ってた。
と言うか江津子さんの家の近くを訪れて
愛理の家から不穏な物音を聞いたらしい。
幸い顔は見られてないみたいだが……。
[どうするか、と少し唸った後]
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