3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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わかったの? ばら色 だあれ?
ばらいろとさくらいろ
おなじいろのふたりも
一緒にいけるのうらやましいなあ……
『そうだね、一緒に行けたら 行けたから。』
『ひとりじゃない よね。』
[さみしくないよね と、闇は優しげに言う。]
『ジェレミーと一緒にいっちゃったのは』
『いっちゃったのは』
『いなくなっちゃった のは』
『ピッパだ』
[もう 居ない。]
ああ、あの子
サイモンくんに 希望の色を教えて
そして 絶望させた あの子
『い た い?』
[問われて これは いたいの か わからない。
未練 も 後悔 も あったけれど。
わからない。]
『そうなのかな。』
『わからないや、ただ。』
『送りたい子 居なくなっちゃった。』
[もう 最後の 望みも ―― 。]
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― 保健室 ― …そば、に、…――
[切なげな響きに、胸奥が痛むような心地がする。 傍に。さみしい。――傍にいて欲しいと願ったのは。 鈍った紫水晶の刃の指先で、頬に触れる。]
っ、――や、…ぁ、う
[未知の感覚に きつく眼を閉じ ひくり、と震え ドナルドのシャツをきつく握り締めて 荒く浅い呼吸を繰り返す。 眼の端に涙が滲んで、樹液と混じり溶けた。
それでも。開かれれば。無骨な指が触れれば。 樹液の所為か。触れ合う欲望の所為か。 声は、甘さを帯び始める。
脈打つ心臓が、もっと、もっとと速くなる。]
(37) 2010/03/05(Fri) 03時頃
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ふ、ぁ…
[絶え絶えの息。濃紺を見上げる。 ――傍に。耳の置くまで染むような声。 指と比べ物にならない熱と質量を奥へ感じれば、 表情に怯えを滲ませた。]
―― ッ、…め、そん、な、 む、り …ッドナ、…――あ、あぁ…!
[きつく、きつくきつく、シャツを、布を 縋るように握り締めた。 貫かれて、わけがわからなくなっても、 泣きそうな、濃紺が見えたから 手を、そっと触れて、口付けを した。 欲望が奥を穿てば、身体は跳ねて。 溶ける。 とける、とけて、――傍に。
甘さ、帯びた声が ドナルド、と 気を失う前に呼んだのは、彼に届いただろうか]
(38) 2010/03/05(Fri) 03時頃
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[―― 其処から先は、 セシルの あずかり知らぬところ。
閉じられた眸。 涙の痕は残っていたろうか。 指先を覆う柔さは溶けて。 また、傷つける紫水晶の刃に戻る。
――眼が覚めれば、ひとりだろう。 繁茂していた触手ももはや影はなく。 赤い髪の彼も姿が見えず
痛みにも 熱の残滓にも 構わず 彷徨う薄紫は]
…、 …――ドナルド…?
[*【姿を求めて――揺れていた。】*]
(39) 2010/03/05(Fri) 03時頃
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――そう、それは さみしい ね……
[ 背後の影より白い腕が ]
[ 闇色の少年の肩をそっと抱いて ]
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/03/05(Fri) 03時頃
(いない)
(いない) (もう、いない)
――…、 いない?
[届く声に、ぽつりと呟く。
ジェレミーは、ピッパと一緒に行ってしまったという。
分かる。
分かってしまう。
賑やかな声がいない。
気難しげな声がいない。
――が、 いない。]
…、―― ……何処へ。
[少しだけ遠い声で*呟く*]
『…… ん。』
あり がと。
[それは 小さな もう微かに残った 自身の*声*]
[ 囁きは あえかに ] [ 腕と共に とけ消えた]
バーナバスさん。
このビー玉、あなたが持っていてください。
もし誰かにビー玉を見せろ、といわれたら。
代わりにこれを――…
[手をとって、握らせる。
その毛深さには少し驚いたかもしれない。]
――忘れないで、下さいね。
大事なこと、ですから。
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―保健室― [かつん。
硬質の音が、した。 揺れて彷徨う薄紫の双眸が、 良く似た色の滅茶苦茶にひび割れたビー玉を映したのと
――――鐘がなるのは、同時。]
……チャイム…?何で、
[わすれられた、 とおいとおいひづけが 光射す校舎に訪れて 彼方の喧騒が近づいてくる。 ――おはよう。 ――おはよう。 誰かの声が、]
(51) 2010/03/05(Fri) 09時頃
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うう
[しばらくぼんやりしていた。
急に頭がやっぱり鉛のようになってた。
手にもらったビー玉はポケットにいれる。
元あったのとかちん、とそれはぶつかった。**]
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―保健室― ……、…
[陽射しが、シーツのずれ落ちて覗いた肩を 白く浮き上がらせる。 窓の外を見やる。
明るい。 生徒が、登校してくる]
……どうなっ、て……
[声が少し掠れている。 喉に手をやれば触れた皮膚が薄く裂けた。]
…――――
[眉を寄せ、血のついた紫水晶の指先を見る。 終わってなど、いない。 なら、ここは]
(53) 2010/03/05(Fri) 09時頃
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……ここは、…何処《いつ》なんだ…?
[―――遠くないところで、 聞き覚えのある少女の声を聞いた気がした。]
(54) 2010/03/05(Fri) 09時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/03/05(Fri) 09時頃
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―保健室― [ビー玉を拾い上げ、握りしめた。 きしり、と少し体が痛む。 そこで気がつく。服を着ていない。]
…―― ッッ!!!!
[――囁き、吐息、触れる肌。 一気に記憶が鮮明に蘇った。 ひとりで紅くなり声にならない声を上げる。
視線が彷徨って行き着く先に、汚れてしまった服。 眼が泳ぐ。
まさかシーツお化け状態で この場を彷徨くわけにも行くまい。 背に腹は代えられぬとはこの事か。
水で大撒播に注いだ服に袖を通す。 ――まだ少し、甘い香りが残るような気がした。]
(60) 2010/03/05(Fri) 09時半頃
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―保健室→南棟1F廊下―
[思うところあり、両の手を包帯で巻いてみる。 不慣れながら巻いたその出来栄えは――*半凶*
生徒が居るなら教師も居るだろう。 (――しあわせに) 合間の囁きがふと過ぎった。 あれは、スティーブンだった、と。
職員室も騒がしくなる。 保健医が来ると面倒だ。 保健室の扉を開けて、視界に入ったひと、に 眼を見開く。]
…、 っ ケイト… 、!?
[――お下げが揺れたのが 見えた。>>@15]
(61) 2010/03/05(Fri) 10時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/03/05(Fri) 10時頃
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―保健室前― [確かに、それは ケイトだった。けれど]
…、――、ぁ
[向けられたのは、 薄紫 の、 眼。 それは、セシルの色によく似ている。 紅くない。 紅く ない。]
…おは、…よう。
[その在り様があまりに、普通で。 あの哀しげな顔をしていた少女に一瞬重ならない。
制服に一本のライン。 通り過ぎて行く生徒の制服にも。]
(62) 2010/03/05(Fri) 10時頃
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っ、…わ、わらうな。
[――手が上手く使えないんだから仕方がない。 とは、飲み込んだ。 或いはもとより然程器用ではないのか。
手で手を隠すように、覆った。
明るい弾けるような笑い声。 遠い日常で聞いた、 シャッターを切るメアリー からかわれて怒ったオスカー 自分は、関わりを避けてきたけれど。 ――そうか、これはケイトの日常。
“生きていた”日付。]
(63) 2010/03/05(Fri) 10時頃
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― 保健室前 ― ……似てる。
[薄紫色。 こんなふうに見えていたんだろうか。手を覆い、隠すようにしながら。]
や…これは、
[怪我、ではなくて。]
……大丈夫だ。…――、卒業式?
[(もうすぐ卒業だったのに)]
ケイト、… 今日、…何日だ?
(64) 2010/03/05(Fri) 10時半頃
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誰が痴呆症だ…
[む、とした顔をしながらも 続いて口にされた日付に、息を飲む]
2月……25日……
[――異常な空間に巻き込まれた日 ――私立議事台高等学校生徒失踪事件 ――わたしの/(kate is dead)/殺された――日 (ここは、くらくて)(さみしい)]
や、…、いや、…行く、
[(「せんせ」)]
…、今日。気をつけろ、ケイト。 …おかしなところに、行ったら、だめだ。
[――無駄かもしれないと、わかっていても。そう謂わずにはおれなかった]
(65) 2010/03/05(Fri) 10時半頃
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――、…別に、変じゃ…
[――聞く筈も無い。ケイトは知らないのだ。 無邪気な笑みが、闇孕む嗤いに重ならない。
ああでも “ケイト=グリフィス”と呼んだ時の 笑いには、少し。]
……、
[薄紫色は、一度振り返って 見知らぬ人の群れの中 ――赤色を。濃紺を探して]
(67) 2010/03/05(Fri) 11時頃
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