204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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―― 二階/炊事場 ――
[鳥の爪が残した薄い赤。 咄嗟に盾にした利き手の手首付近についたそれは あっさりと塞がって、もう血は滲まない。 ただ名残だけがそこにある。 隻眼はそれをじっと見遣り、ぺろと舐める。]
舐めときゃ治る、なんて……
[旅の最中ならそう言って自身でこうして舐めただろうけど ある程度ものがあるこの山小屋でそれをされるとは思わなかった。]
ま、手当てするほどのもんじゃねぇけど。
[手当てが必要なほどの怪我をラルフが負うと知らず息を吐く。]
(371) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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― 二階 ―
[フランシス>>370と目が合った。 とっさに、肩の傷を隠すように手で覆ったけれど。
にじんだ赤は隠せる範囲ではなくて]
ええっと……ホレーショー、いる、よね。
ちょっと、彼に話があるから。
[呼び止められる前に、居間にいるホレーショーを探そうとした]
(372) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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ドナルドは、ベネットの声>>370が向こうから聞こえ「おう」と声を返す。
2014/11/18(Tue) 22時半頃
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[彼は。 彼の目は、熱っぽく。 真白の肌に湖が出来ているようだった]
……。
[彼の爪に指の腹に、牙を立てる。 微かな抵抗感の後、ふつりと口の中にシロップの味が広がった。
撫でる手に目を細めながら、ベッドに乗り、腕をついて彼の体の上に被さる。 温かな身体が近く、心地いい。 顎に力を入れたら、爪が割れて。 ぱきんと飴の砕ける音がして、それからまた固いものに歯が当たった。
噛み砕き、喉へと送る]
(373) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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― 階段を降りて ―
[あったかい防寒着にくるまれて、涙こそ毀れないものの、目からこめかみまでを熱くさせて……のぼせたように、頬が赤くなる。
ようやく歩けそうだ、とまで思えるにはどれくらい必要だったか。 ようやく下まで降りれば、二階の廊下に人影が見えた。 そして、視線を下げれば、もう一人]
……どうしたの
[玄関の扉にかけていた手を離す。 暖かい上着を見下ろす。 外に出るならば、これは必要ないものだ。 這うような姿に、狼、と教えてくれたその声を思い出した]
(374) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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ディーンは、――なんで食べられたかったの?
[彼は。 ずっとなにかをねだる目をしていた。
彼を見下ろして、赤く汚れた口で笑んで。 親指で自分の口を拭いた後、彼の唇へその親指で朱を差す。
そのねだる目はとても綺麗で。 とても辛そうだったから。 これで、彼の望みが叶うというのなら、それはよかったな そうして、その目が。 僕の物になるのだから。
彼にすり寄って、首筋にキスをして。 体をずらして、腹に耳を当てた。
心臓の音がする]
(375) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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うん…………
[ラルフは
逃げなかった 怯えなかった 避けなかった
牙を 受け入れてくれた
それは危険で
ラルフには笑って欲しい
傷つけたくない 痛いと思わせたくない]
ーーーーーーうん
[どうしようもない 感情だけがつもる
同じように思ってくれる けれど悲しい]
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ー 一階 ー [涙と鼻水と 口元は血濡れて 荒い息を つく 己に 人にかけるように 声をかける それは予想外]
………………
[握りしめた時 爪が皮膚を破った その前脚が 壁に 手形をつけて …………ほかの三脚は地に
光の加減で 枯れゆく草の黄色とも 若草色とも取れる髪は乱れ その下 充血した目が 声を掛けた存在をみる]
(376) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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[どうしようもない。
悲しさだけが、つのる。
あんなに、暖かかったのに]
…………衝動を、抑えるすべを覚えたら。
そしたら……
[覚えるまで、
それまで、衝動に負けずに。
そうしたら、きっと。
そんな、夢を思う]
ーーーー………………
[そんな未来があるのだろうか?
そんなすべを身につけられるのだろうか?
向けてはいけない 衝動を
向けて傷つけてしまうような 己に
深く 深く 光のない 海の底に
沈んでいく感覚
冷たさで手足の感覚は痺れ
ラルフの言葉 信じたい
けれど 自分が信じられない]
…………寒い…………
[温もりが欲しい]
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[自分の、自分のではないその名前>>353を呼ばれ、胸を押さえる。 返事をしないとなのに、声が喉に引っかかったように出てこない。]
……あ。
[自分だけの名前を呼ばれた。 何でその名前で呼んだのだろう。 はぐれていないのに。
何故か動悸が激しくなる。]
(377) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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[泣かないようにと思っていたのに、名前を呼ばれただけで涙が零れた。 何故、今その名前で呼んだのか、聞けないまま。
バーナバスに手を伸ばし、抱き寄せられるまま顔を押し付ける。 泣いているところを見られたくない。 それ以上に胸が苦しくて、どうしたら良いのか分からなかった。]
(378) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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[髪を撫でられる感触に、目を閉じる。 謝罪>>359には頭を振った。 自分自身も混乱していて、あれ以上あそこにいたらどうなっていたかわからない。
バーナバスの背に手を回し、抱き付くようにその話を聞いた。
同じ。 全員同じ。
そう告げるバーナバスの指先に力が入り、少し痛かった。]
(379) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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大丈夫だよ、俺は、大丈夫。
[服の上から銀を握り、バーナバス>>365に答える。]
俺、まだ良くわかんないけどさ。 ちゃんと言いつけ守るから。
[ああ、でもそれは嘘だ。 言われた>>1:126ように、今、バーナバスに違和感を感じている。 自分自身にも。
でも、どうしてバーナバスから逃げるというのだろう。 そう思う自分もいる。
それが自身の違和感からなのか、信頼からなのかもわからなくなっている。]
(380) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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………えっと、フィリップ、だよね
[名を呼ぶのは、きっと初めてだ。 丁寧に上着を留めてくれた手は、今は赤く濡れている。
少し離れた場所で足を止めて、ゆっくりと上着を脱いだ。 襟元の開いたシャツのせいで、首筋が酷く寒い]
これ、返しにきたんだ
[正直、少し怖かった。 怖かったけれど、でも離れようとは思わなかった。 外に出るつもりだったのだ。 だから、その前に。あたたかさを返さなければ]
(381) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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シメオンは、フィリップと目をあわせて、近づこうと踏み出した。
2014/11/18(Tue) 23時頃
――……フィリップ
[案じるけれど、遠い。
止めることも、できない。
いつか、フィリップと同じようになるのが、わかる。
きっと、それはきっと、遠くない先の話で。
だからこそ、フィリップを案じている]
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――……っ あ、 ……!
[>>373望むままに与えられる。 子供のような我儘やおねだりも、きっと彼ならば許してくれる。 薄い肉に歯が突き立てられ食い込んだ。 黒いインクの汚れを赤色が上書きする。 指先一つ食まれるだけで言いようも無い熱さに襲われ、ディーンは艶めいた声を上げた。 藍鉄色の双眸を細め、髪を撫でていた手を頬まで滑らせる。
緩く、笑みの形に口角が持ち上がった。 薄く開いたままの唇から、喘ぐような息が漏れる。]
(382) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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僕、は……――必要とされたかった きっと、誰かに 僕を、見て欲しかった
でも、今は 「誰か」は 嫌だ
[>>375痛みと熱さで乱れる息の最中、囁くようにディーンは言葉を零す。 もう何を隠す必要も無い。 肉も、心も、全てを彼に差し出すと決めたのだ。 ――大事なものの全てを捨てても。
ニコラの親指が唇をなぞる。 それが離れる前に一度、指の腹に舌を伸ばした。 伝わるのは美味しいとも思えない自分の血と、ニコラの皮膚の感触。
首筋に落ちる唇に期待するように、頬に触れているディーンの手が震える。 腹を食い破られて、中身を引き摺り出されて――全てが暴かれる瞬間の恍惚を想像する。 今欲しいのは「誰か」ではなく。]
――…… 君でないと 嫌だ。
(383) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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ーーー………………
[彼の名前に 獣は 一度 動きが止まった ゆっくりと 頭が持ち上がる
厚手の 布が動く音 暖かそうな
けれど 獣は知っている それよりも 暖かいものを 目があった その存在 脚を踏み出すのと 凍えた獣が 温もりを求め 飛びついたのは …………同時に]
(384) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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ーーーーーー………………寒い
[深く 光の届かない海に 沈んだ
彼の意識は 名を呼ばれると
ぽつり と 地上に届く前に
水に溶けてしまう泡のような
小さな 意識を 零す]
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― 二階 ―
[フランシス>>370の傍を通る。
保護者に隠し事のひとつやふたつ、ある。 それでも、いまは。
一人耐えているフィリップの保護者を呼ぶのが先で]
……ホレーショー。 下に、フィリップがいるから、彼のところにいってあげて。
[まっすぐにホレーショーの傍へと向かって、頼んだ]
(385) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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……いま、ホレーショーに伝えたから。
だから……
フィリップ、……
[衝動を堪えるの、無理をさせるのと同じだから。
無理しないでとも言えず。
ただただ、案じる気持ちだけを向けて]
掃除夫 ラルフは、メモを貼った。
2014/11/18(Tue) 23時頃
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―2F― [ 反対側の階段にシメオンがいることには、 気付けないで。ラルフが居たことにほっと息を吐く ]
ああ、ラルフ、よかった。
――ホレーショ? 中に、座ってるかと、思うけど。
[ ――自覚の薄かった、傾く感情の影響もある。 血の匂いを捉えて――呼び止めた。 彼は、すでにホレーショーに、声をかけていた。]
……待って、ラルフ。 その、手の下、見せてくれ
(386) 2014/11/18(Tue) 23時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2014/11/18(Tue) 23時頃
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[上着を広げ、フィリップにかけようと歩み寄る。 様子がおかしいのはわかっていたけれど 何故だか、一人にしちゃいけない気がして――]
……いっ 、た
[抱きとめようとしたけれど 調子の悪い足、寒い中座り込んでいた膝、 いうことをきくはずもなく、簡単にその場に倒れこんでしまう]
ごめん ……寒かった?
[上着はちゃんと持ち主を包めただろうか。 自分で下敷きにしてしまった右足から なんだか嫌な熱さを感じ、浮かべようとした笑顔がひきつった]
(387) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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―2F―
[まどろみながら、定位置のようにして暖炉に時折薪をくべ、物思いに沈んでいる。珍しく、誰かと話をすることもなく。しばらくまどろんでいたのだろうか、自分の名前を呼ぶ人の声で我に返った]
おう。ええと……ラルフだっけか。 どうした?……フィリップって。
あいつに……何かあったのか?
[怪訝そうな顔を見せながらも、何かただならぬ感じを見て取ったか、のそりとした様子で後ろを振り返って。]
(388) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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ーーーーー………………うん
[ぽつ と また 淡い意識が 一つ
水面 暖かい陽射しが あるのを知っている
けれど 手に 脚に 解けない 鎖
沈み切った 重い体 もう 浮上するために
足掻く力もなく ただ 届くもだけ
辛うじて 窒息死をまぬがれ]
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― 二階/居間 ―
うん……フィリップが、衝動に負けそう、だから。 ホレーショーを呼んで欲しい、って……
[こくり、と頷く。 小さな声で、ホレーショーにだけ、聞こえるように伝えて]
彼、一階にいるから、早くいってあげて。
[案じる気持ちのまま、ホレーショーを見た]
(389) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[伝え終わって、少し、安心したところで、 フランシス>>386の声]
――フランシス。 ……だいじょうぶ、だよ。
[へら、と笑って誤魔化そうと、してみたけれど。
じわり、と、にじむ赤は隠し切れなくて。
噛み付かれた傷、噛み千切られたわけではないから、それほど深くはないけれど。 きっと歯形はくっきりと、肉をえぐっている。
その痛みも、まだ、感じている]
(390) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[鈍い 音とともに 世界が反転する 何かが 暖かさと 自分を遮る それはシメオンが 包んでくれた 彼の防寒着]
………………寒い
[押し倒したシメオンの言葉に 唸り声に近い 声がかえる
そう 寒い とても寒いのだ だから 押し倒した腕は そのまま シメオンの身体に回されて 容赦のない力が 彼の身体を締め上げる]
(391) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[シャツをずらして、見える素肌は白い。 雪明かりに照らされたすべすべの肌にすり寄り、彼の声を聞いていた。 怖いものも優しいものも届かない部屋の中。 聞こえるのは、荒い息、心音、声。
迷子みたい。 迷子の犬みたい。 可愛い]
かわいそう。
[彼の訴える理由に息を吐いて。 こちらに触れる彼の手を握る。 あんなに近くにいたシメオンは。 きっとディーンが必要だったのに。 だって、彼は保護者なんだから。 かわいそう。
ふと、返してあげなきゃと思ったけど。 それは、彼の続く声で簡単に消えちゃった]
(392) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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