270 食人村忌譚
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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が7人、占い師が1人、守護者が1人、霊能者が1人、囁き狂人が1人、人狼が2人いるようだ。
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1人になるのゎ私ばっか。どっちの道ぉ選んでも、 私ゎ十分です。明日も待っててね。お願いだから、 離れて行かないで? いつまでも、 なんで私ばっか
日記はそこで途切れ、発見されるまで打ち捨てられていた。
(0) 2017/11/23(Thu) 01時頃
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いつも出鱈目な歌を歌う少女が、今日も歌っている。
(#0) 2017/11/23(Thu) 01時頃
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[>>0:227彼の言う腹の中、というのは儀式の事だろう。 儀式に選ばれる村人の選別基準、薄々わかってはいるのだから]
……すみません。 お言葉に甘えさせて頂きます。
[腹の虫はしっかりと声を届けてしまったようで >>0:228錠の提案に頭を下げて、言われた通りに車を押して玄関をくぐる]
それじゃあ、お邪魔します。 布団、敷いてきますから少し待っていてくださいね。
[指図通り、布団を用意して錠を抱えあげて寝屋まで運び 一息ついた後、残り飯のありかを問いながら、台所へ足を向け 先ずは御櫃の中の米を茶碗にうつす]
(1) 2017/11/23(Thu) 01時頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 01時頃
「なんで」
歌のはざま、零れた独り言は、ただ溶け消える。
少女はかの娘のように白痴ではないが利口でもなく、
かの青年のように不自由は持たずも行動力もなく、
疑う勇気も、紐解く知恵も、逃れる霹靂も、
とにかく何一つ持ちはしなかったのだ。
(#1) 2017/11/23(Thu) 01時頃
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[梅干しと山菜煮を取り出して、茶碗の米にくぼみを作り、其処へひとつまみ分落としこむ。 米で蓋をしてから、茶碗の端をとんとんと叩き、丸めて 其れから掌の上にひっくり返すと、力加減を入れつつ握り飯を作る]
出来た……。 [形はいびつになって、具がはみ出しているものの 一応食べられるものではある。 握り飯一つ握れなかった自分に彼女が教えてくれた作り方だ。 平皿に梅干しと山菜煮の握り飯を一つずつ盛り 出がらしのまま、湯を注いで茶を淹れて 自分が食べるよりもまず、錠の元へと運んでいく]
錠さん、食べられますか? [疲れているのなら、無理強いはしない。 その握り飯はススムのものになるだけだ。 食べられるようなら見届けた後台所にとってかえし、同じように山菜煮で一つ握り飯を作って、頂くつもりだ。 少しだけ、石動を待って同じものを作ろうかと思うけれど 戻らないようなら、下手なままごと紛いは此処で終わる**]
(2) 2017/11/23(Thu) 01時頃
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[特殊な仕事故の優越と、 施しをしてやれると言う優越と、 確実に血は繋がっていないと知る娘を 娘扱いするママゴトがない交ぜになった 扱いを受け入れる志乃ちゃんの手を引いて。
鍋が出来る間、採った野草を分類する。 何が楽しいのか、記録に残す源蔵が 書き残しでもしない限り、 どの棚にどの薬草が収められているか判るまい]
(3) 2017/11/23(Thu) 01時頃
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「私は、私は、 私ばっかり。
私ばっかり。きっと知ってる。
私ばっかり。
お願い、いつまでも、 いつまでも、
いたいのに。
あなたは、どうして、
やめちゃうの?」
(#2) 2017/11/23(Thu) 01時頃
だから、代わりに歌を、
出鱈目な歌を、
出鱈目なばかりに聞こえる歌を、口ずさんでいた。
皆、気が付かない。
その歌の意味も、迫る「何か」にも、
その当人達、以外は。
まだ知りもしなかった。
(#3) 2017/11/23(Thu) 01時頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 01時半頃
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そうだなぁ。 また寒い季節が来るから、 それまでに雨風もう少ししのげるようになると良いな。
[困りごとの解決に一役買ってくれているらしい リツの存在に>>0:235 切り傷の貼り薬を少し多目にくれてやろうと考える。 本当に多めに渡されるかどうかは、その時の記憶次第。
今は味が染み込んだそぼろ大根を腹に入れるのが先]
(4) 2017/11/23(Thu) 01時半頃
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あ゛? ああ。
外れの掘立小屋に住んでた爺さん覚えてるか?
耄碌してたからな。 夜中に山に入り込んで凍え死んでた。
草探しに入った俺が見つけたから 少し多めに貰ったが、硬くて柔らかくするのに 漬け込んだりと難儀だったぞ。
[弔い肉の名を尋ねられ、肉を削ぎ落すのに 苦労した話も付けて教えれば、侘しい暮らしをしていた 老人の姿を彼女も思い出せただろか]
(5) 2017/11/23(Thu) 01時半頃
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これ位しか残ってなくて悪いな。 腹いっぱいにならんだろうが、マシだと思ってくれ。
[もう傷は癒えぬから。 時々与える気まぐれの、自己満足の慈悲]
これからどうするつもりだ? その身体じゃまともな仕事も出来ないだろう?
[だからこれも気まぐれ]
仕事、手伝ってみるか?
[密かに夢で暖かな家族を望む娘の存在を知らず。 気まぐれで誘う娘に差し出したのは『ミナカタ』への道**]
(6) 2017/11/23(Thu) 01時半頃
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[愛を失った夜、愛する者の肉を独占したくて堪らなくて。
女陰と乳房を望む女に掴みかかりたい気持ちが溢れてしまいそうだった。
男根を優しく包み込む女陰も、慈愛でもって掌を押し返してくれる乳房も。
己を見つめる目玉も、可愛らしい声を紡ぐ唇も、乱れる髪の一筋も。
感情が詰まっているだろう脳髄も、生きていた証の心臓も。
全部、全部全部全部全部全部全部余す事なく全てを己のモノにしてしまいたかった。
しかしそれは叶わぬ願いだった。
この村でそれを口に出せば罪人として裁かれるのは自分である。
それもいいだろうと考えはした。
考えはしたが、食われるのならば愛する者に食われたいと、そう願ってしまうから。
節の目立つ指や、弟を見つめる目、考える脳味噌、そして心臓を食べてくれたのなら弟の中で生きていける。
だけど、もっともっと、と求めるのだ。
汚物に塗れた腸や精を吐き出す陰茎に睾丸。
血液の一滴すらもその身に取り込んで欲しいと、そう願ってしまうから。]
[愛する者を独り占めしたかった。
愛する者だけに私の死体を食べて欲しいから。]
[男は弔い肉を受け取ってもそっとその肉を処分する。
愛を失ったあの日から村人を食べる事が出来ないでいる。
きっと錠ならば美味しく食べられるだろう。
彼は男にとって何よりも大切な家族だから。
ゆりも食べてしまうだろう。
複雑な胸中はあれども、あれも娘だと分かっている。
嫉妬心に苦しんだりもするが、情がそこにないわけではないのだ。
あの肉を食らえば初めて娘の存在を認識して喜びを覚えるのかもしれない。
そこには確かに愛はあったのだと初めて知る事が出来るのかもしれない。
そうなればきっとまた独占欲が湧き出て誰にもその肉を与えたくないと思うのだろう。
只、そう思えども実行に移してしまう勇気はない。
臆病な男は思うだけで動かない。
仲間がいなければ動けない臆病者なのだ**]
[山菜煮と、米と。
人の肉より、余程美味い。
糞尿の臭いに塗れた腸
膏ばかりでぐにぐにと噛み応えの悪い皮
男たちの硬い肉
骨と皮ばかりの老人の其れも
弔いという名目がなければ、口になどしたくない。
母は居らず、父もわからず
近しいものの居ない自分には
人を食べたいという慾がない。
誰ぞが食べたい
何処を食べたい
聞くたびに、ススムの胸は苦しくなる。
この村の風習に染まり切れない自分を
責めるような其れ。
居たとしても、自分は縁者を食わぬだろう]
僕は、僕は、 僕だけが
僕だけが。きっと違うんだ。
僕だけが。
どうしたら、何時にも、 何処にも
いられない。
僕は、どうして――
[苦悩の声を聴いたものが居ようなど
その時のススムは、知る由もなかった**]
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それじゃ、お言葉に甘えて
[丞さんに勧められるままに座ると、件の椅子へと視線を向ける]
ああ、こいつは……直すよりは新しいのを作った方が早いかな… よし、じゃあ、新しい椅子と交換ってことで。あ、でもちょっと色をつけてくれると嬉しいかな
[この村に生まれた人間として、当然のように暮らしてきた男には金銭などと言う概念は知ることもなくいつものようにそう条件を提示して]
木は切り出したのがまだあったはずだし、明日にでも持ってくるよ
[丞さんにそう告げると、その日は家に帰っていった**]
(7) 2017/11/23(Thu) 01時半頃
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おう、たんと食ってもちっと太れ
[薄い茶を縁の一部が欠けた湯飲みに注ぎ、申し訳程度に誂えられた式台に置いた。 家は古くからあるが、板張りはリツの父が敷きなおしてくれた。 この湯飲みだって、かつて村人が作ったものだ。
名前や顔よりも思い出すのは、彼らの食感だったり匂いだ。特に、臭いものは覚えが良い。 思い出したそれを振り払うように鼻を鳴らした]
まあ、こっちもすぐじゃあない 先約がいるからよ、 あとで見てやるよ
[作業台に置かれた鉈を見れば、依頼主も知れよう。 お得意、と言っていいのかもしれない。 使用頻度、用途、どれをとっても江津子の使う刃物は村の何よりも切れ味を必要とする]
(8) 2017/11/23(Thu) 02時頃
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―― 回想 / 姉と私 ――
[仲の良い姉妹だった。 私はいつも容の後をついて回る子供だった。 同じ母から生まれたのが不思議なくらい 私たちは似ていない姉妹だった]
姉さんの髪は、とても綺麗ね。 ミナカタさんと同じ色。>>0:147
[子供ながらに、姉の透き通るような焦茶色の髪が 羨ましくて羨ましくて]
どうしたら姉さんみたいな髪になれるの?
[そう言って母を困らせたりした]
(9) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[姉は私よりも早く「女」になった。 巫女の家系の女にとって それは喜ばしいことだと聞いていた。 ……だというのに]
姉さん。
[姉は泣いていた。>>0:46 快楽ではなく、苦悶から。 隣室から聞こえる姉のすすり泣きの声が、苦痛の呻きが。 とても怖くて、怖くて。 私はずっと、姉の行為が終わるまで 自分の部屋で耳を塞いでいた]
(10) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[あの子に巫女は無理だわ、と。 母は冷たく私に言った。乾いた声であった。 慈愛に満ちた母の昏い一面を、 私は初めて見たのであった。
母には幾人もの子がいたが、 手元に置いて育てたのは女児だけであった。
今ならわかる。 母は“子”ではなく、“後継者”を育てたかったのだ。 巫女になれない子に興味はなかったのだ、と]
母さん、大丈夫よ。私が巫女になるわ。
[そう言わないと、家族が壊れてしまう気がした。 私が巫女になれば、きっとこの神社に 姉の居場所を作ってあげられると思った]
(11) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[それは、思い上がりだった]
(12) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[母を食らった日。私が巫女になった日。 そして父とまぐわい、「女」になった日。 あまりにも、たくさんのことがありすぎた。
石動の温もりの残る布団に体を預け、 心地よい疲労と共に眠りについた。
そして部屋に射し込む朝日と共に目覚めた私は、 神社に姉の姿がないことに気付いた]
……姉さん?
[神社中を探す。 姉の部屋はそのままで、履物だけがない]
(13) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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姉さん。ねえ、どこなの。
[胸が苦しくて。心臓が張り裂けそうで。 夢中になって、裸足のまま境内を探し回る]
いや。私をひとりにしないで。
[母はいなくなった。 姉まで私を置いていなくなるのだろうか]
姉さん、姉さん、姉さん――……
[姉は、帰ってこなかった。 巫女の孤独を、私はこのとき知ったのだ]
(14) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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―― 現在 / 神社 ――
[姉の部屋は、ずっとあの日のまま。 いつ姉が神社に戻ってきてもいいように 掃除だけは欠かさず行っている。
写真立てに飾られた、白黒の写真。 幼き日の私と姉の姿が収められていた。 幸せそうな笑みを、浮かべていた]
……姉さん。 この神社は、私ひとりには広すぎるよ。
[また姉と一緒に暮らしたかった。 村の神は、私の願いを叶えてくれることはない**]
(15) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[リツを見送り、頼まれた包丁は隅に追いやって、 まずは、と鉈を仕上げることにした。 農具だってなんだって、刃物ならばなんだって研ぐ。 一番機会が多いのはやはり包丁だ。苦手なのは鋏だが、それはあまり頼まれない。 ほとんどが肉を切るためのもので、 そして、特別なのが儀式用のものだった。
それに伴う神社との繋がりは保ったまま。 先代当代問わず、身体を重ねたこともあるが、あれも丞にとっては研ぎの代償でしかない]
(16) 2017/11/23(Thu) 03時頃
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[―――さておき、 流しに置かれた野菜には、己のものではない畑から採れたものが混じる。 ある日「農家になりたくなった」>>0:220と言った少女の手は、遠目から見ればきっと変わらず細いだろうが、触れればその皮膚は大地の固さを知るだろう。
あの夜。 村にただならぬ気配が満ちていた。 もうすぐ巫女を食らえるという期待。熱。 新しい巫女を抱くという悦び。
鬼の一字を、朽ちかけた表札に掲げたこの家では、 静かに刃物を研ぐ音が響いていた]
(17) 2017/11/23(Thu) 03時頃
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