22 共犯者
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ヒ…ヒヒッ。ハハハッ。
なんだろうな。今夜は…ひどく血が騒ぐ…。
…最近どうも腹が減るんだよな。
月のせいなのかねえ。
[そう呟くと一人の部屋で窓を開け、空を見上げた。]
今日はまだ月は満ちていない。
半分の、不完全な月だ。
[ 星の瞬く空を見上げる。
そこには上弦の、既に傾いて地に向かう月。]
しかし、人間側の祭の全容は随分変わってしまったんだな。
やりにくい。
[ 舌打ちに似た囁き。それは音声を伴わないが、確かにニュアンスを伝えていた。]
生贄がきちんと用意されていない。
まあこれは今に始まったことではないが……。
[祭の準備を間近で見ていたヘクターは、既知の事であった。]
……。
そろそろ警告すべきかね。
[しばらく無言で何か考え込んでいたが、ぼそりと呟く。]
やれやれ…文明や科学様の力ってかァ?
ケッ。おめでたいね。
[皮肉めいた嘲笑を共に広場を上から睨みつける。]
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―日が落ちる前の広場―
[晩餐にありつこうと歩いていると、村の若衆に呼びとめられる。]
ああ、わかった。 引き続き、イアンの監視は俺がする。 おめえらも何かあったら報告してくれや。
[周りに聞こえないよう、低い声でそう伝え、広場に戻る。テッドたちが楽しく騒いでいる様子も見て取れた。
祭の前夜だけに、よそ者への警戒はより厳しくなる。 普段は大酒飲みのヘクターだが、今夜はあまり酒を口にしなかった。 …と言っても人の倍は飲んでいるようだが。]
(28) 2010/07/28(Wed) 23時半頃
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[ くつくつと愉悦に満ちた嗤い声が聞こえる。
その艶めいた響き。]
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>>37 おう、いいぜ。 どの部分がいい?
ちびっ子はいっぱい喰わねえとな!
[突然現れたトニーに内心驚くが、表に出さないようトニーに返答する。]
(まあガキに聞かれても問題にはならんか。 むしろブルーノにもイアンの監視と調査を協力してもらいてえくらいだからな)
[ナイフで鶏肉を切り分け、たっぷりトニーの皿に乗せる。]
なはは、ちゃんと神像サマにお参りするんだぜえー!
(45) 2010/07/29(Thu) 00時頃
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――ガキはたっぷり食って、大きくなってもらわねえとなァ。
くくっ。
[「捕食者」の眼で立ち去るトニーの後ろ姿を追っていた。]
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>>47 ん?ブルーノか?
そりゃ司祭様らしく立派にされてたと思うけど。 服とかもいつもと違うよな。
…ああそうか、トニーは祭に参加するのは初めてだったっけな。
ほら、トニーも聞いた事ねえか? お祭りのときは良い子にしてねえと…!
神像サマが怒って夜に便所に行けなくなっちまうぜえ!
「お祭りで良い子にしなかった子はだれだ〜?」ってな!
[そう言ってニヤリと笑い、オバケのような仕草をトニーに向ける。]
(55) 2010/07/29(Thu) 00時半頃
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[灯されたランタンやかがり火に照らされ、日が落ちてもまだ明るい広場を眺めながらのんびり呟く。]
…まあ、こんな前時代的な祭がまだ続いてるだけでも奇跡なんだよなぁ。
[爺さんや親戚連中にうるさく言われなかったら、ヘクターもそこまで祭に積極的には関わらなかっただろう。]**
(62) 2010/07/29(Thu) 01時頃
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あーあ…いいねえ……。
[くくく、と同じように哂う声。この心地好い感覚の共有は本能的なモノだろう。]**
―祭前夜の夜―
[ 駆けて行くイアンの背に、叩きつけるように声無き哄笑が上がり、真黒の森に響き渡る。
それを聞く者は、驚きに打たれ羽ばたく夜の鳥と――
――もうひとりだけ。]
[ 閉められた扉の前に、冷ややかな瞳の獣がひとり。]
―祭前夜の夜 / 襲撃現場―
[イアンが立ち去るまで、木陰でじっと気配を殺しながら辺りの様子を見張る。
やがてイアンが完全に見えなくなるのを確認すると、楽しそうに動かなくなったソフィアへ近づく。]
…へぇ、ソフィアにしたのか…。
こりゃ意外だな。
アンタなら別の獲物を狙うかと思ってたぜ。
[黒衣を纏った姿で現れると同胞に話しかける。]
―祭前夜の夜 / 襲撃現場―
[ 目を細め、現れた同胞を見遣る。]
別に、誰でもさしたる違いはないだろう。
[ 気怠るげな声音。
顔に垂れ掛かった長い髪を、首を振り、面倒臭そうに振り払った。]
腹が減ると言っていたな。
喰いかけで良ければ喰うがいい。
まだ肉は残っている。
[ 足元に屈み込み、草叢からソフィアの首を取り上げる。
愛らしかった美貌は恐怖と苦痛に引き歪んで見る影もない。
彼はその頬に飛び散った血をぞろりと舐め上げた。]
[ソフィアの側に膝まづくと、スカートに溜まった彼女のまだ温かい血液を両手ですくい上げ、ゆっくりと祝詞を上げる。言語こそ聞き慣れないものだったが、意味は神像への祈りと同一であった。]
『――どうか、常に我らと共にあれ』
敬愛と畏怖……我らと共に…。
[そして両手に満たされた乙女の血を一気に飲み干す。]
[ 同胞の挙動を何の感情も窺えない眼で見下ろしている。]
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―自室―
ん――。んお。
[昨夜飲みすぎたせいか、体が重い。 いつもの朝にしては、なにか違和感が…
のっそりと起きあがると、部屋の窓を開け外の空気を入れる事にした。]
(129) 2010/07/29(Thu) 19時頃
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「狼」は序列を重んじる。アンタが上、俺は下だ。
それくらいわかってらあ。
ソフィアを選ぶのも、アンタが先に喰らうのも、当然の事だ。
[血を飲み終えると、しゃがんだままそう答える。
そして、一瞬歓喜で身を震わせたと思うとソフィアに喰らい付く。]
そうだ、そろそろアンタの真名を教えてくれよ。
そんで…俺にもアンタから真名をつけて…くれねえか?
仕事があれば言いつけな。俺はアンタに従うぜ。
[口元を拭ってそう言った。]
真名……ね。
[ その呟きに冷笑と――一抹の寂寞が篭っているようにも感じられる。]
前にも言ったが好きに呼べばいい。
お前も気に入った名があればそれを名乗れ。
俺には命名の権利を行使する気はない。
[ 鋭利な刃物の如き笑み、ソフィアの首を片手に掲げたまま、若い同胞を眺めやる。]
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―自室→巨木の根元―
[ふと、遠くから風に乗って人の悲鳴が聞こえたような気がした。]
…ん? 何かあったのか?
[階段をひらりと飛び降り、上着を羽織ると外に飛び出す。 途中、オスカーとホリーの二人や動揺する他の者たちとすれ違っただろうか。
やがて、変わり果てた"ソフィア"の姿を視界に入れ、それが何かを認識すると、口を押さえて近くの木にもたれかかった。]
……! …なんでだよ!!
[顔には怒りの色。ギュと大きな拳を握りしめ、もたれかかった木を殴りつけていた。]**
(130) 2010/07/29(Thu) 20時頃
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[日の光で照らされた、極彩色の肢体を見て、昨夜の「久々の恍惚」を思い出していた。
その一方で、村人の「忘却」の罪に苛立ちもしている。]
ヘッ、そうだな。
まぁいつも通り呼ばせて貰うわな。
[粗方喰い終わるとふぅ、と一息つき冷たく笑う彼を見上げる。]
あーあ…まだ足りねえなあ。
儀式…コレが始まりの合図か。
てめえらが何を忘れているか、思い出させてやらねえとな。
[ソフィアの頭部を苦々しく見た後、視線を上げる。]
そういえばあのよそ者だが、どうするよ。
騒がれると面倒だぜ?
悪い奴じゃねえみたいだけどよ。
それに奴の滞在先と言い、奴を呼んだ理由と言い…。
リンドクヴィスト…。気に入らねえ状況だな。
[「食事」を終えると立ちあがり、乱れた外套を再び纏うと、長髪の同胞にそう問うた。]
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