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あーあ。
やっぱりまた増えてるのか。
[盛りの家畜は増えるのが早い。
鼠よりはマシだが、と。
草を潰す音に力が籠る。
やはり早く年頃の女は潰しておかないと。
さてどうするか、と意識は明後日。
そぞろで作った調合の量が間違えていたとしても、
石動が弟を食べる日が近くなるだけだ**]
[其れは完全にススムの失態であった。
牛の舌を味わう事で
不味い人の肉など矢張り不要だと
決意も新たに先ず向かった愛理の元
その辺の農家から持ち出した鉈を手に夜着姿で
夜這いでもかけるかのようにそっと、忍び込んだ
眠る彼女へ、一振り。
峰の方で頭部を殴って目覚めぬようにし
倒れた彼女の首を刃の方で掻き切った。
すっぱりと割れた首の皮の間から、どくどくと血が流れ
床に溜まってゆく
命を奪うというのは
思ったよりもあっけない]
[彼女を吊るそうとしたところで
この家に、丁度良い縄が無い事に気が付いた。
これでは上手く解体出来ない。
出来るところまで、と足先から刃を入れ皮一枚剥ごうとしたが
肉と皮の境目を綺麗に削いでいくのは至難の業だった。
足首を超えたあたりで、下脚の肉に刃が食い込んでしまった。
皮を剥ぐのはあきらめ、一度鉈を引き抜いて
頭部を切断しようとする。
何度も何度も首に刃をふるい、漸く胴体から離れた頃には
随分体力を奪われてしまっていた。
これ程力のいる作業を、江津子はこなしていたのかと
改めて知る事実が一つ]
[満足な血抜きもしないまま、愛理の衣服を切り裂いて
内臓を取り出そうと、後肢を開き
陰部をあらわにして、鼠径部からゆっくりと力を込めて
臍へ向けて刃を入れる。
仔を孕ませる子宮から、摘出しようと思ったのだ。
腹の皮をぺろりと捲ったその向こうに
望む部位があった。
けれどススムには、其れが”そう”である確信がない。
何より灯りを付けぬ作業では、これ以上進めるのは困難だ。
知識だけを手にした初めての解体は
その時点で断念する事になる]
[僅かな落胆はあったが
これから始める殺処分の一人目を終えた事への満足感はある。
次はもっと準備をして、うまく捌いてみせよう。
失敗を糧に、成長すればいいと
反省を胸に、汚れた衣服のまま家へ戻る。
転がった頭と、下腹部を割いた胴体を放置して。
脱ぎ捨てた衣服に使った鉈を包んで、炉の中へかくしておいた。
夜着が無くなってしまったが、致し方あるまい。
次からは汚さぬように気を付けなくては
身体にこびりついた血を水で洗い清め
寒さに身を震わせながら、薄い布団に潜り込んだ。
ススムはすっかり忘れていた。
己にとっては理由のある殺人が
家畜共にとっては、禁忌に触れてしまう事を**]
【人】 亡命同盟 エツコ[ともに食事を交わしたならば、 (18) 2017/11/25(Sat) 16時半頃 |
【人】 亡命同盟 エツコ―深夜/自宅で― (19) 2017/11/25(Sat) 16時半頃 |
【人】 亡命同盟 エツコ―翌日/自宅― (21) 2017/11/25(Sat) 17時半頃 |
【人】 亡命同盟 エツコ『おかしいなぁ、気づかねぇはず、ないんだけどなぁ』 (23) 2017/11/25(Sat) 17時半頃 |
【人】 亡命同盟 エツコ[このまま沈黙が続いていれば、怒りにまかせて腰の鉈を、 (24) 2017/11/25(Sat) 17時半頃 |
【人】 亡命同盟 エツコ[ここまでで、どんな経緯を辿ったってきたのか、 (30) 2017/11/25(Sat) 18時頃 |
【人】 亡命同盟 エツコどなたか、手伝っていただけますか (31) 2017/11/25(Sat) 18時頃 |
[茣蓙の中身を確認しながら理由を探す。
俺が選ばれた理由。
不穏な心持を勘付かれたか、それとも
秘密裏に始末してくれると思ったのか。
どちらでも構わない。
大っぴらに家畜を処分出来る理由をくれたのだから。
出来ればいない事を願ったが、
大変覚えの良い2人の顔を見つけて思わず苦笑する]
狙いは良かったな。
[視線が止まったのは早々に人間と家畜の違いに
気付いた人間へ。
唇だけだったがちゃんと解を出した男に
向ける視線は誇らしげで、眉間にも皺などあるはずもない]
ま、少しばかり派手な騒ぎになったが。
大っぴらに屠殺出来るようになったと
前向きに考える方がいい。
[だが男たちも出てきたのは面倒だな、と
呟く中で、そうだと今更のように声を挙げた]
これ、お前が殺った、で合ってるだろう?
[今更、今更の答えを求めて向けた視線。
少しずらして兄弟で呼び出されたその兄へも視線を向け]
もしかしたら、願いが叶うかも、な。
[だとしたら。どうする?と目で意思を探る*]
[愛理殺害と聞いて真っ先に思い浮かんだのは昨日の教え子との会話だった。
村を滅ぼすと言っていた。
まずは孕む腹を持つ女からとも言っていた。
そしてそれに提言したのは己だ。
あの時、何気なく愛理がいいのではないかと言ったのは確かに私だ。
だから彼は愛理を殺したのだろう。
村を滅ぼすといったその言葉のままに。
何故、死体を隠さなかったのかと責めたい気持ちはある。
だが手を貸すと言ったのは嘘ではない。
どうやってここから抜け出すか。
それを考えねばなるまい。]
[疑われれば殺される、ならば殺したい相手へ疑いを向ければいい。]
[いかに自分から、教え子から、そして弟から疑いを逸らし。
そして集会場を脱して安全を確保すればいいか。
考えれば考える程に分が悪いこの状況を抜け出す方法。
それを考え、やり遂げなければ。
目まぐるしく脳内を思考が巡る。
最悪、自分が疑われて殺されるのならば。
その時は教え子だけでも逃さなければ。
弟は、私が死ねば死ぬ、そうでなければならない。
だから今考えるべきは教え子の安全確保*]
[願いが叶うかもなどと。
どうしてこの状況でそんな呑気な事を言っていられるのだろう。
だから探るような問いかけるような視線
願いが叶う前に死んでは意味があるまい。
[迂闊に聞かれたら即座に罪人として吊し上げられてしまうだろう。
故に密やかにぽつり、と呟いた*]
【人】 亡命同盟 エツコ[解体には、様々な人々の力を借りただろうか (82) 2017/11/25(Sat) 23時頃 |
【人】 亡命同盟 エツコ―宴間へ― (86) 2017/11/25(Sat) 23時頃 |
[呆れた視線が飛んでくる
ぽつりと呟かれた心配事に、
この状態を好機としない慎重さに
俺の方が呆れてしまった]
動けるときに動かないと、機会は二度と訪れない。
願いが叶う前に死にたくないなら。
願いを邪魔する奴を殺せばいい。
[さすがに声高に宣言まではしないが、
こんな事態を利用しない手はないのだから。
俺の声と彼の声の質が違うのは仕方ないだろう*]
[集会所に見えた男
間違ってはいなかった、と僅かに瞳を細めた。
失策ではなかったのだ、と安堵した貌]
……理由のある殺人なのに
死体を見ても、理解されないのは、
彼らが人間の理屈にたどり着いていないから
可哀そうな皆
生かしておく価値はありませんね。
僕の、初めての解体は失敗しました。
でも、初めての間引きは成功しましたよ。
[
少しばかり、周囲の人間を下に見る風も滲んだ。
先生は何故浮かない貌なのだろうと、思いもしつつ*]
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