25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[届いたのは生殖管理センターからの密書
……知己からの手紙としか取れないそれには
暗号で、この祭りが繁殖の場であると
確定できたとの知らせ。
青年はそれを受け取れば……大儀名聞は揃ったと
……あの人を殺した獣を狩るための……
常の笑顔とは違う暗い笑顔を作る]
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― 大広間 ―
[月光が降る舞台にて、 鳥が歌うは月を偲ぶ歌。
雲間の月への道は、朽ちて儚いけれど。 届かぬ月に恋をした、雛鳥の涙歌]
(4) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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…あぁ、そうか。
[思い出したのは血塗られた記憶。
あの椿の花は主の下へたどり着けるはずもないのだと。
何故ならば…
白い指はそっと、帯の上からするりと己の腹をさすった。]
[そして、使用人を装った密偵は、別に封書を差し出してくる。]
ごくろう……
[人気のないところで、それを開け、中を確かめる。
それは、この花祭がクロであることを告げたものと、今回の仕事の相棒の名があった。]
ふん…そういうことか。
化けたものだ。
[そして、見終わると、耳裏に貼り付けておいた管理センターから支給された通信装置を起動させる。]
雑草はどうせ、腹の足しにでもするつもりなのでしょう?
[勝手知ったる慣れたる事と、醜い主催に囁いて。]
あぁ、噂のみ聞く空蝉の君も、ただの空っぽであるのならあなたの脂肪に変えてしまいましょうかね。
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[歌い終われば、紅石榴が探すは月の佳人の姿。 館の主の傍にその姿を見つければ、 ふわりと花のかんばせを綻ばせる]
さあさ。 鳥の歌をご所望あらば、なんなりとお申しつけを。
――今宵は花祭。
鳥の歌も祭りを彩る花となれば、 これより嬉しき事はございませぬ。
(14) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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[広がるそのにおいは、密やかにけれど確実に
じわりじわりと白を朱に染めていく]
――…愚かなこと。
私を宴に呼んでおきながら、愉しめと。
[硬質な少年の声でなく
艶を帯びた、色香含むこえ。
パチリと
脳裏で響く音に僅か意識を向けた]
さて
[それから聞こえるもうひとつ]
――…其は誰が事ぞ?
[年経ても衰えず、更に容姿が艶を増すのは。
花上がりの分際でここまでの地位に登りつめたは。
こうして祭に花を添えながら、子を欲しいと乞う貴人達のために胎を貸していたからゆえか。
一人食い、一人産むそのたびに、色香を艶を増していく。
それはまるで、遠い昔に死に絶えた男の対たる生き物に近づいていくかの如しこと。]
[主を持たない花は、主のかわりに上司を得る。
チャールズの死の現場、無残に食い荒らされた身体
それを目撃した青年、センターの人々、
隠蔽される事実、
復讐を糧にその事実へ必死で追いすがった。]
[その結果が、現在である]
……刷衛殿……?刀を取りにいけず申し訳ない
寝すぎて時間を失した。
それに昼間は運んでもらったそうで……
重ね重ね申し訳ない。
[包帯は便利だ。その下に通信器具を取り付ければ
気付けるものはいないだろう。]
…食うには頃合いの柔らかさではあろうがね。
[隠した扇の裏側、呟く声は微か]
種をつけぬ花など、肥やしにしかならぬ事。
[く、と喉奥で哂うは声なき声。]
新しく、面白いものが来るというのは、そなたの事か?
[噂は半分が真実
半分は彼らが見た幻
身に宿る其れを
少年自身自覚の無いまま飼っている。
多彩な芸は全て種付ける相手を引き寄せるが為
花は
ときに牙を剥き、生を喰らう]
なるほど、寝すぎか。
まぁ、いい。
しかし、この場がクロとはな。
とりあえず、今は気になる件がある。
[そして、明の件を打ち明ける。
主を探す花がいると、しかし、その主は、居所がしれぬ。管理センターのデータの場所も不在だということ。]
考えたくはないが、
その主が巻き込まれた可能性はある。
[しかし、明自身がもうこの世のものではないことには気づいてはいない。]
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[佳人に褒められれば、素直にそのかんばせは笑みを作る。
花主たちの求めるまま、 星に、花に、と。 忍ぶ恋や焦がれる歌を、鳥は囀るだろう。
沢山の歌を囀りつつも。 鳥の双眸を彩る紅石榴は、 なよたけの君だけを其処に映し続けて居た]
(22) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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――さて?
[吐息混じる短な応え。
暗く翳りを帯びた冬色の瞳を細め、薄く哂う]
まこと申し訳ない。
……ただ、これで私が太刀を求める理由も
さらにお解かりになったでしょう
獣が牙をむくならば切り伏せるまで。
[人狼病発症者はまるで人ではないといわんばかりに]
……アケノシン……の主ですか……
確かにこの豚狼の屋敷に
あのような儚げな花を
活けたまま放置は無用心すぎますね……
[同じく儚げな花が
既にこの世のモノではないとは知らず]
ともあれ、今日の宴がすみ次第そちらの部屋へ向かいます
なるほど、太刀が必要な理由ね。
なれば、やはり選んでもらわなくてはならないな。
[宴が終われば訪ねる旨は了解する。]
精々色っぽく来て貰おうか。
ふふ、冗談だ。
[そんなからかいの言葉も添えつつ。**]
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[なよたけの君からの手招きに、素直に礼を一つ。 羽根の代わりに、長い袖を翻してその傍へと侍れば、 差し出された杯を両手でうやうやしく、受け取った]
鳥は歌うのが仕事。 それにこうして甘露の褒美がもらえるのなら、 幾らでも歌い続けましょう。
(31) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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ええ、飛び切り切れ味の良いものを
選ばせていただきます。
[続いた言葉には小さく哂う]
そちらこそ、艶やかにお待ち頂ければ
太刀の分抱いて心地よく致しましょうか?
[口調こそ畏まったものだが、こうなれば花と主ではなく
仕事仲間。冗談に返す冗談も大概だった*]
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皆で…?
[頂いた甘露に、喉をこくりと小さく鳴らして見上げて]
今まで誰かと合わせた事なんて、なかったけれど。 なよたけの君がそう仰るならば。
[大変美味しゅうございました、と。杯を返上し、 眸を覆う剣を腰に差す花と、笛を持つ花へと紅石榴を一つ送る]
(43) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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───……。
[聞こえる言葉達に、僅か眉をひそめた。
本郷の家は、家系として狼憑きの血筋である。
親から子へ、子から孫へ。孕み、孕ませ、其の血の恩恵によって
裏社会でも表社会においても高権力者の立場を一層濃くしてきた家だ。
ただ、次の当主の性は、判明しない。
酷く不安定なのか、誰もまだ
答えを、知らない]
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[今まさに始まらんとする、笛と舞を見て、 鳥は月の傍から二つの花の傍へと、 羽根の代わりの薄衣を翻し、舞台を翔ける]
…………。
[翔けた後、秋と冬を纏う友人へと。 なよたけの君が向ける言葉を背中で聞いて。
僅かに紅石榴を悲しげに揺らした]
(48) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[歩むたびに響く痛みは、少しずつ少年を染めていく。
じくじくと響く痛み、滲む朱
与える悦びを、知っている。
交える悦びを、知っている。
黒い塊にしか見えぬ彼を
翳った暗い瞳はしっかりと映している]
――私がこの身を使ったなら
海に巣食う魔物の唄でも
安宿では味わえぬ舌技でも披露してやれるがの。
ふふ……ふ
[たとえ少年に自覚は無くとも
生まれながらに、立派な男娼であった。
この時代で望まれぬ子が何処から出てくるのか
――…元を辿れば少年の血族に行き当たる。
血を受け継いだ親に放り込まれた花の為の学園は、良い餌場。
記憶の無いまま、幾度ひとを魅了してきたか
そうして作られた噂の真相を、少年自身知りはしないけれど]
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[笛と舞いにあわせて囀るは、 戦へと赴く男を湛える戦歌。
鳥の華奢な声には、やや荷が重いそれも、 笛と舞が重なり、妙なる様を生み出すか]
(65) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[弦の音が交われば、 尚も高く張り上げる鳥の声。
それは一つの舞曲として、 舞台の上で盲目の花の舞に彩りを添えるだろう]
(81) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[今までただ一人、囀るだけだったけれど。
こうして誰かと合わせる事も、楽しいのだと。 鳥は初めて知る。
ちらりと紅石榴を、琵琶を弾く佳人へと向けて。 ふわりと幼いかんばせに浮かぶ、花の笑み]
ああ…僕は。 歌と同じく、雲間の月へと――
[歌の合間に呟く声は、 笛と琵琶にかき消されて。誰の耳にも、届かない]
(95) 2010/08/03(Tue) 03時頃
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小僧 カルヴィンは、舞台を翔け、琵琶を弾く佳人の傍へ。月明かりの中、寄り添うように楽しげに囀って。
2010/08/03(Tue) 03時頃
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[全ての音が終わる時。 鳥は疲れ果てたと謂う様に、膝をつく。
それでもそのかんばせは、楽しかったと。 笑みを浮かべた侭]
……これが、合わせると。 謂う事なのですね。
[息が乱れ、とぎれとぎれになりながらも。 満足感に身を浸して呟いた]
(110) 2010/08/03(Tue) 03時半頃
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