223 豊葦原の花祭
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[眼下で揺れる花弁が、確かに願いを音にした。>>154
男の口の端が、ゆっくり上がる。 己に大した事が出来るわけでは無いのだけれど。]
望んだものが手に入る。 いいじゃあねぇか、そういう夜があっても、さ。
[たった一年に一夜だけ。 うすずみさま≠ニしてこの夜を統べる事が許されているのなら。土よ、風よ、時の神よ。どうか彼の、味方をしてやっておくれ。
魚の礼だ。 にんまりと笑って、薄墨桜は眼下の彼らに手を振った。]*
(*0) 2015/04/22(Wed) 00時半頃
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(ああ、会いたいなぁ)
(あんたに会いたい)
[隈取を引いた目を伏せる。 瞼の裏で、遠い遠い面影が揺れた。
もうその誰かのことなんて、 ほとんど顔も思い出せないのだけれど。
さあ、と風が樹皮を枝を撫でた。 もうすぐ月は傾ぐのだろう。花は今も辛抱強く枝にしがみついているけれど。
きっと、じきに、終わってしまう。]
(*1) 2015/04/22(Wed) 01時頃
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『また、この花を見に、必ず帰るよ』
[果たされなかった約束を果たすため、また一年のやり直し。
その為の時間は、永遠は、不変は、手に入れた。
だから何度でも繰り返すのだ。毎年、毎年、『またいつか』と『久し振り』の、小さな約束をたくさんたくさん積み上げて。
そうして、いつか一番初めの約束を、果たすことができるのなら────、]
(*2) 2015/04/22(Wed) 01時頃
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