162 絶望と後悔と懺悔と
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『――……おではあいつがら逃げた。 でも、今度は逃げねぇだよ。』
『おでは、家族を吸血鬼から護る。』
[5年振りの物真似は自信がない。 戦場で聞いた言葉をそのまま伝える。>>2:457>>2:468]
……逃したんだ。サミュエルのこと。
[ジと理依の顔に注いだ視線は自らの手に落ちる。 掌を開いて閉じて、刀を緩く掴む仕草を見せた。
刃の交わりがあったと言いたげに。]
(*33) 2014/02/12(Wed) 15時頃
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……サミュエルを逃がしたから、 直円が殺された――ようでなくて、良かったね。理依。
[自分は帰還命令が出たから、仕方なく逃しただけ。 戦うでもなく『退け』と言っていたサミュエルの、表情の変化を思い出し。>>35
小さく息を吐き、口端持ち上げる。
会話の終わりには、ひらり手を振り見送る。*]
(*34) 2014/02/12(Wed) 15時頃
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―回想―
[城で迎えた14歳の誕生日の日。 ふと意識が浮上し、明之進にホリーの牙が刺さるのがぼんやりと見れた。]
ひい、らぎ。
[明ではなく、苗字の方を呼び、再び瞼が落ちた。
後日。『柊』と呼び名を改めたのは、彼の言わんとする意味を教えられてから。>>1:*204
『たとへば桑の実の、初は赤きが、後黒となりたるが如しといへり』
桑の実の様だと俄かに思った緋の眸を覗き込むも、伏せて見えなくなった。]
……あぁ。それで。
(*35) 2014/02/12(Wed) 15時半頃
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明。手。
[沈黙を破り、手を出してと促す。 明之進の手に綴るのは『鬼』そして、『柊』。]
鬼を刺す為の…
[掌の肉厚な部分を撫で、唇を寄せた。 牙の側面を当てる。]
……刺が、ないじゃないか。
(*36) 2014/02/12(Wed) 16時頃
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[では、今は? 同じものが生えているだろうと、また牙を見せ。]
痛い?
[――と問うた。 主人には向けられぬ牙。刺。
けれど。この刺は濡れ羽色には刺さる――…と。 この時は思っていた。]
(*37) 2014/02/12(Wed) 16時半頃
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[この牙が刺ではないというのなら。 やはり、まだ生えていないのだろう。 日と月を合わせた『明』の名ではなく。 『柊』と呼ぶのは。 彼がそう為らんとしている姿と知ってか。>>*227 手折る日が来ないようにと願ってか。*]
(*38) 2014/02/12(Wed) 16時半頃
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―『常磐』―
[部屋一面に、緑色の反物が用意される。 萌黄、若葉、若竹、緑青、千歳緑、常磐、深緑、鉄色、天鵞絨、革色……。]
『―――、わかるかい?』
[男児は首を振る。 すると男は障子を明け、小さな中庭の松を指さした。]
『松は桜と違い、秋になっても冬になっても、葉を落とすことがない。 つまり、』
(124) 2014/02/12(Wed) 17時頃
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『――――永久不変、
なんだよ。』
[男児はじっと松の葉を見ていた。触れれば刺さってしまいそうな、細い松葉を。 青みの濃い、緑色を。]
『……では、もう一度。―――。 自分の色を、探してみなさい。』
[柔らかな朝の日差しが室内を照らす。 深呼吸し、男児は目を凝らす。
日の当たる場所。陰る場所。 松葉と何度も往復させ。
小さな指は、やがて―――『常磐』を指す。**]
(125) 2014/02/12(Wed) 17時頃
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―診療所前―
[作戦は完璧だった。が、想定外の事があった。
公衆電話から電話をかける為の、金が、ない。 小遣いを貰おうにも、言い難い。]
………あ。
道端にきらり、光るものを見付けた。 素早く飛び掛かるものの、小銭ではなく。
零瑠はがくりと項垂れた。**]
(-61) 2014/02/12(Wed) 17時半頃
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/* なんで切支丹か、って、単なる当て字ですーって書かれてあるんだが。
丹色、丹色。
牡丹の話はまだ先でも平気かな。
(-62) 2014/02/12(Wed) 18時半頃
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―城の中・自室―
[額に浮かぶ汗を拭ってやる。 握った手が動き、目覚めを知らせた。]
あまね……おはよう。 傷の具合は、どう?
[まずは様子を伺い。]
………まだ、殺さないだけ。 まだ少し、生かしてるだけ。
(138) 2014/02/12(Wed) 19時半頃
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トレイルは、瞬き、言葉を詰まらせた。**
2014/02/12(Wed) 19時半頃
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―城の中で、理依と―
つまり、今回も理依が逃げた――…と?
[笑って言う事かと眉を顰め。>>*41 互い違いの様に表情が変わる。
嫌味のある物言いをしたと左足を下げて身構えたが拳のひとつもとんでこなかった。]
………そう。 その言葉、覚えたから。
忘れたら、――――恨むよ?
[握られたままの理依の拳。 何と一緒に握り締めたのか……何も、聞かなかった。**]
(*50) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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―城・自室―
……
[『そうだよ』だなんてリカルドの物真似をしたら白い目で見られてしまいそうだし、何よりすぐ近くに彼女が居たとしたら気まずい。なので、零瑠は大人しく黙っていた。>>151
手当ての言葉にこくと頷く。>>155 歯を噛み締める音に、眉を寄せる。]
悪趣味……。 なに、周。目覚めなければ良かった?
[手の力を緩めていく。>>157]
(163) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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/* >>*51 .+:。(´∀`)゚.+:。
陽動作戦のことと、ご褒美と! 重ねてありがとうございますぅぅぅ!
は。でも陽動なら明も!
(-73) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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………周の知りたい『みんな』って、誰の、こと?
[守護部隊の、陸軍の。 そして吸血鬼の。死体の数は多い。]
直円、は……死んだ、よ。 殺された。形見のひとつも、ない……
(165) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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仲間全部……は、ふふ。
周、らしい…。俺のことも、うん。 だから、
[だから周は此処に居るんだろう。 ばかな事を聞いたと項垂れる。]
敵方に、捕まったまま――って。
[嬉しいと思ってくれたことに小さく笑み、言葉の先があるのかと待つ。>>164]
(172) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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……あぁ、涼平も、城の中に居るよ… どうして来たのかは、俺、知らないけれど。
[サミュエルが死んだ情報は手に入れてないと 告げ。リカルダも無事だと告げる。]
……ねぇ、周。おなか、空いてない? 俺。食べられるものを持ってくる、から。
[その前に。 夜桜に指先を伸ばし、桜花を撫でる。 紅の眸がいま求めるのは、ひとつだけ。]
(175) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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―回想―
[居なくなってしまった直円への反応は皆様々で。 主人の視線も様々に見える。>>*51
零瑠が見せる言動は、計算したものではないけれど、 主人の視線と表情とに、喜びを覚えた。]
…
[武勲を立てたものとして真弓の名が上がり、 零瑠は唇を結び視線を下げる。
が、次いで自分の名が呼ばれ、はい、と明るい声で応えた。]
(*55) 2014/02/12(Wed) 23時頃
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[別の褒美とは何だろうか。真弓に視線を投げるものの。 与えられる褒美に喜びを隠せない。
また、あの至福を得られる。
けれど、自分一人の成功ではなかった。 作戦を成功させたのは、明之進も同じ。 この人は全て見ていたのに…。
やや後方に居る彼を振り返り、その視線を主人に向け。 恭しく頭を垂れた。*]
(*57) 2014/02/12(Wed) 23時頃
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そう、涼平まで。周は何も出来ないよ。これは、覚えていて。
[桜花から周の首筋へ。 1度噛み付いた傷痕が、微かに残っている。 背中の傷も、まだ痛むようだ。 あぁ、周は人間なのだなと。思う。
自分の分の食事も――と、首筋に顔を寄せようとしたが、 扉の叩く音に邪魔をされた。それに、リカルダの声もする。>>180]
……先に、周の分を持ってくる。
(194) 2014/02/12(Wed) 23時頃
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[立ち上がり。]
大人しく待ってて。 リカルダに何を言われても、この部屋から出ないように。
いい子で居てよ? 周。 俺に命令を破らせるような事を、しないでくれると助かる。
[ぴんと額を小突いて念押しすると、零瑠は部屋の扉を開けて部屋を出て行く。>>184]
やぁ、リッキィ。周なら起きているよ。 手短にね?
(196) 2014/02/12(Wed) 23時頃
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トレイルは、リッキィの頭に手を乗せ、やんわりと労わる様に撫でた。
2014/02/12(Wed) 23時頃
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…わかっていると、思うけど。リッキィ。
(*59) 2014/02/12(Wed) 23時頃
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周は怪我人だから、無茶な事をさせないで。
それと、万が一だけれど。 部屋や城の外に逃がそうだとか…そんな事、しちゃいけないよ。
周は俺が、此処に連れて来たんだから。 どうするかの権利は俺に在る。そうでしょう?
[再会の為に、部屋を訪れたのだと思いはすれど。 ほんの僅かの可能性だって、潰しておきたいのだ。]
(*60) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
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トレイルは、サミュエルの髪の色は山吹茶だなとふと思い出した。
2014/02/12(Wed) 23時半頃
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……磔にされた周や涼平を、見たくはない――よね? 俺だって、見たくない、よ。
[彼女を疑っている訳ではない。 在るとすれば、焦り。
どんな風にすれば主人が愉しめるか。 『贄』をどうすべきか。>>*63 思考を巡らせる。 余計な事を考えてしまわないように。追い出すように。]
(*65) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
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[やれる事の1つに自分との会話も含まれていた。 目頭が熱くなり、釣り上がる唇を眩しそうに見詰め。>>198]
頼もしい。流石、『おにーちゃん』。
…周はさっき、リッキィの事呼んでたから。 ちょうど良かったんじゃない?
[周の匕首は腰にあるが、学生服の上からは見えぬだろう。 良かったと微笑み。>>199
リカルダとの内緒話が終われば、今度こそ部屋を後にした。*]
(209) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
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/* リッキィが、零にぃさんって… (ほろり
漢字、書けるようになったんだね。
(-84) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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ん、そっか。ごめん。
[余計な事を言ったと、髪を撫でる手は優しく。>>*66]
『家畜』>>*63の辿る末路>>*65を口にした。 周は『特別』なのだ、とは
……言えなかった。]
そう、だな。 聞いておいてよ…。 吸血鬼になるつもりはないか、って。
そうしたら、『みんな』……
(*69) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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…いや。何でもない。
リッキィはリッキィの、したいようにすれば良いよ。 最善を尽くせば、いい。
あぁ。 涼平の事は柊に任せようと思ってるけど、リッキィも気にかけてあげて。
[言葉を途切らせたのは、自分でも何を望んでいるのか分からなかったからだ。]
(*70) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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[指先は、先ほど桜を愛でた。 現実であって欲しいと願った、夜桜。
何か、なにか。 大事な事を忘れている様な、気がするのに。
例えば、どうして流血がダメなのか。 鬼になり、克服させられたことに少なからず安堵したものだ。 理由の分からぬ事への恐怖が、消えたから。]
(222) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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