─ 知らぬが仏 ─
びゃっ?!
[>>*188怯えた仕草を見せられて、一瞬、傷に触れてしまったろうかと、驚き後ずさりもしたが、敵意はないことを示しながら、またスンスンと鼻先を近付ければ、くってりとしたボロボロの身は、抱き起こすように伸ばした腕の中に、顔を埋めてきてくれた。]
……なぁ、おまい…………
[汚れきった体毛にこびり付いているのは、血と泥だけではなかった。よく憶えのある……ついさっきまで、浸りきっていたあの特有の雄のにおい。
嫌な予感に顔を顰め、傷口に触れぬよう留意しながら、下肢に手を伸ばしてみれば、そこにはやはり、蹂躙の名残があったろうか。]
そ〜か……。
何で、こんなされることなったかは知んないけど……無理矢理はいくないよな。
こんなの、気持ちくなかったろ……。
[放っておけなどと言われても、放っておけるわけがない。
大丈夫だ、何もしないと、優しく囁きかけながら、白黒の体毛を汚している血と精を、少しずつ舐め取ってやる。]
仕方ないとかそんなん、言うな。
生きてればさぁ、きっと……
(*193) nordwolf 2015/01/15(Thu) 02時半頃