―時代劇的なアレ―
[赤い煙管を深く吸い、着物から足を覗かせた男娼は気だるげに飾られていた。
もうすぐ大釜へ歳も届く歳だが、長い髪はぞろりとした精気を保っている。
柵越しに客へ媚を売る色子に混じり、外を眺める灰の目はつまらなさそうな感情を隠しもしない。
ふい、と客の頭の上、好奇の視線から逃れるように視線を逸らした先。
見えるのは夜の闇、昼の明かりはまだ遠く――]
直円様が?
[奥からの来客を知らせる声を聞き、ゆうるりと顔を戻す。
名を聞いた途端眉を寄せるも、得意客に挨拶をしないわけにもいかず。裾を払うと、挨拶だけでもと場から立ち上がる。
痴態を強いられた記憶はいまだ色濃く。
着物の下、まだ薄らと赤く残る縄の痕が、疼くように痛んだ。
同時に、身体の一番柔らかな部分が歓喜に震えたが。
気が付かないふりをして、生唾を呑み込むのと同時に奥の奥へと追いやった*]
――ようこそ、直円様。 本日も足をお運び頂き、ありがとうございます。 ……本日は……?
(*114) 2015/01/12(Mon) 00時半頃