そして御使い、顔を見ることのできぬ方。私は貴方がおられるのかどうかを知りません。けれどももし、ここにおられ、今夜私たちと共に歩まれるのならば、お聞きください。
長く御徴を見ない間に、私どもは変わり、私どもの住む世界もまた変わりました。
貴方の力は強大であり、森の外から来る多くの敵や困難から私どもをお守りくださったと、私どもも記憶しております。
けれども、森の外、世界の残り全ては、今では古い時代と較べられないほど強力です。世界は私たちの行いを「契約の巡礼」ではなく「野蛮な狂信者の殺人」と呼ぶでしょう。森の外の世界が次にこの森に押し寄せるとき、それは機関銃と大砲、イペリット・ガスと戦車の形を取るかもしれません。貴方はそれに対抗し、森をこの森のまま守ることがおできになるでしょうか?
国境線の端から端までどんな森も一つの法と倫理の下に裁こうとする強大な国家から、若者を森から連れ去る都市の誘惑から、強制徴兵から、私たちを守ることがおできになるでしょうか?
私たちの契約は、貴方の不在の間に終わりました。
たとえそうでないように見えたとしても、かつてと同じように存続することが不可能なのです。
(425) 2010/08/01(Sun) 21時半頃