―夕方から夜へ:広場―
[ミッシェルの誘いに乗り、トニーを連れて教会から広場へと出る。老司祭はトニーのことを随分と心配そうな表情で見送っていたが、トニーはそれに気づいていただろうか。
広場に着くと、またあの巡礼の列を成す「生贄」達が集まっていた。ヴェスパタインに対して、何やら言う人々を、イアンは見つめて居る。]
……ああ。ものすごい熱気だ。
[巡礼者を見送る人々の視線が、彼らに期待の念を寄せている。]
すみませんが、今日も同行させていただきます。
自分の言葉でこの祭の意味を知るには、私も皆さんに同行することの他に思いつかないんです。
できれば自分の身は自分で守りますが……万が一、私の身に何かあっても気にしないでください。愚かな新聞記者が危険な森に入って死んだだけ、と……そう思ってくだされば十分ですから。
(315) 2010/08/03(Tue) 23時頃