おーい。
誰かいないのかーっ。
誰かいるなら出てきてくれ!
[何処へともなく大声で呼びかける。他でもない対象が聞いたなら、獲物を求めての脅しめいた呼びかけかのように感じられたか。うひひひぃ、くく、はははぁ。そんな笑い声と共に。
視線は人間の姿を捜し――]
! なんだ、これ……!
[ふいに視界に飛び込んできたものに、目を見開いた。翼を持つ一つ目の化け物。使い魔だなどとは露知らず、単体のお化けの一体かと認識して。咄嗟に払うように腕を振り]
そうだ、鳥! 鳥出ろ、鳥!
……って、……なんだ、あれ……
[思い付いて念じながら辺りを見回し、今度は別の心情で、同じ言葉を呟いた。遠目に、電柱にぶつかるローブの老人――やはりお化けのようだった――の姿が見えて。
其処で遅れて地面から白と黒の塊が――烏のミイラが飛び出して、空飛ぶ化け物の方へと向かっていった]
(259) 2011/10/21(Fri) 01時頃