[>>254イアンの言葉に頷きながら。]
まあ。そうですか。
アルフレッドも、貴女と似たようなことを言っていましたよ。
森中の村々には、いろいろと外にはない習慣があります。たとえば毎年夏至の日に、若い娘は花輪を編んで森の泉に行きます。そこで水浴びをすることになっているのですけれど、似た習慣が何百年も前のライン河沿いにあったのだそうです。
アルフレッドは、リョンロート先生の『カレワラ』とか、貴方のお国の書物でしたね『金枝篇』とか、ああいうものが好きでして。自分でもこのあたりの古い伝承を蒐集していました。
田舎の、それもこの森の中でだけ伝わってきたような話ですから。価値があるものとも思えませんけれども。アルフレッドは、こういう土地だからこそ、古い伝承がそのまま残っているのだと、そう考えていたのでしょう。
(256) 2010/07/28(Wed) 18時頃