[何か――聞いてはいけない事を、聞いてしまった。
普段ならまず言い淀んだりしない先生が、言葉の次を口に出すのに時間を掛けたとき。すぐにそれは分かった]
先生は、優しいんですね。その人の願いを叶える為に、こんな"バケモノの巣"、みたいな所まで来るなんて。
[いくら私でも、取り繕うように付け足された言葉が真意でないことくらいは分かる。
でも、それが。それが先生の願いならば。それを叶えることで、先生が喜ぶのなら]
私に出来ることなら、なんでも言って下さい。
その人がヒトになるまで、"バケモノ"の私でよければ。
["幸せ"がどんなものなのか、知らない私には。周りの人が幸せである時にしか、それを実感することは出来ないのだから。
私がどうなろうが、周りの人が――先生が、幸せになってくれればいいと。そう思う]
(240) 2015/07/12(Sun) 00時半頃