[悪趣味極まりない。
そんな苦い言の葉をはいてしまえたら、どんなに楽か。
不意に体制が崩されたのは蝶の悪戯、だろうか>>229眼前に広がるは気だるげな表情をした藤の花。
こげ茶がはらりと、理に逆らう事無く落ちていく。
困惑したま、しかしこの状態を崩さぬように腕に力を入れれば。我が友はどんな顔をしていたのだろうか。
こんなに間近でまじまじと見るのは久しいかもしれない。
……できれば、こんな白い欲で顔を汚した俺の顔など見ては欲しく無かったのだが。
そう、自ら穢れた物を遠ざけるように、蝶を見やり弧を描くとそのまま空気を震わせた。]
…よろしいので?この状態ですと、ヘクター様からは俺の顔が見えないのでは。
[花が放った精一杯の虚勢。
それを悟られぬように花として生きてきた中で一番の妖艶さを纏い、邪魔なこげ茶を退ける。
それすら蝶を喜ばせる蜜の味となってしまったのかもしれないが。
答えは貰えなかったかもしれない、頂けても恐らくはまるで獣のような態勢からは逃れられなかったのだろう。]
(235) 2014/09/16(Tue) 22時半頃