あ、ネズミ!
[動く木がまた何かを出すのが見えた。投げられたそれ、林檎の芯は、大きさを増しながら空中を舞うネズミにぶつかり、そのままネズミを地面へと叩き落とした。ちゅう、と細い鳴き声が響き]
……やっぱ無理か……
くそ、熊でも出せたらいいんだけどな……
この分だと、次は何が出てくるやら、だなあ。
[べたりと足元に落ちたネズミを、尻尾を摘んで持ち上げる。ネズミは潰れて平たくなっていたが、血は一滴も出ていなかった。口から何かの欠片が――乾き切った内臓の一片が――ぽろりと落ち]
……うーん、……
[やはり一旦逃げるべきだろうか。思案しつつ、手持ち無沙汰にネズミの包帯まみれの頭を指先で撫でた。気味が悪い能力と仲間だとは思ったが、己が使役出来る、己のために動いてくれる奴らなのだと思えば、なんとなく親しみも湧いて。
外から見た図は、ミイラ男がミイラの動物をペットのように可愛がりながら不気味な笑い声をあげているという、ほのぼのなど程遠いおぞましい光景だったのだが。
犬はもがき、なんとか雑草に噛み付こうとしていて]
(235) 2011/10/20(Thu) 23時半頃