「リジィ、もう行っちゃうの?」
うん、明日にね。
約束しただろう、今夜は眠るまで傍にいるって。
私がアソウギに嘘ついたこと、ある?
[リジィ・ノーマン。それが使用している偽名だ。
拗ねたように俯く10歳程度の少年の頭には、両側に垂れさがる白い装置。
髪を撫でればパリ、と静電気が舞った。
第9師団副官に己の生存を伝えたのは、装置を秘密裏に用意してもらうため。
戦場跡を廻る中で出会った彼もまた、タイプは多少違えど希有な磁気体質だった。
第14には後から追い付く、と告げて暫くの滞在をしているうち、随分と親しくなった
リジィは僕に良くしてくれるけれど、僕はリジィにどうしてあげたらいい?
そう聞く少年に、何時かの不器用な思い出を思い出し、目を細める。決して少年とナユタは似てはいないのだが。
別に何も、元気でいてくれるだけでいいんだよ。
今度は笑って、ただそう返した。]
(232) hinaki 2011/04/05(Tue) 01時半頃