なに、って…、
[そう問われても答えがない。何やってるんだろう。
返せる言葉が頭の中に浮かばなくて唇は薄く開いたまま続きは消えた。
無理に引き上げられて身体が動く。眠気のせいか血が抜けたせいか咄嗟には足にうまく力を入れられなくて半歩分程よろめめく。]
……変なもんがみえる。
[返答にならない言葉を口にしながら、未だに視界の端をチラつく何かを気怠い動きでゆるりと目で追う。
そういや額も幾許か前に打ちつけたから、痣くらいにはなってるかもしれないけど。手首の疼きが全部を上塗りするから、強く拭われたところで大した痛みも感じなかった。]
どうもしない。
――…ばーちゃんに会いたい。
[幾らかの苛立ちを感じさせる兄の声に反するようにどうでもいいって感じの声しか出ない。実際どうでもいいような気がする。
頭をあげてる事すら面倒で、首をかくりと垂らして俯くとぼやきを零した。
滅茶苦茶にペンを突き立てた手首は傷とも言えない有様で、押し付けられたガーゼはただ痛いだけだから小さく呻いた。
固まり始めた一部の血が肌にこびり付くのが酷く不愉快に感じる。止まらない血が伝っていくのもまた同様に。]
(231) 2014/06/27(Fri) 06時頃